第26話
チーズケーキ2種を食べた私たち。
といっても京ちゃんはレアチーズケーキのソースがかかった部分しか食べなかったから、私は約1個半を腫らした目のまま食べた。
少し恥ずかしかったけど、隣に京ちゃんがいて「やっぱり甘いものを食べてる時の飾利は素敵だね」なんて言うものだから食べてしまった。
会計をした犬飼のなんとも言えない顔を尻目にお店を出て、いつも通り2人で手を繋いで帰る。
京ちゃんは「左手はまだダメ、健吾との間接手繋ぎになるから」と言いながら右手を差し出していた。
「結構時間経ってると思うけど」
「あと3日くらいはダメかも。飾利は可愛いから守らなきゃ」
そんな京ちゃんらしい不思議な感性を笑いながら歩く。
「あのさ、京ちゃん」
「なに?」
「真剣に考えたって言ってたけど、犬飼と付き合う可能性はあったの?」
「犬飼、呼び捨てじゃん」
うっ、隠してた嫌悪感が出た。
「どうなの?」
それをごまかように私は答えを急かす。
「うーん、0ではないかな、50%くらい?」
「えっ!?」
あまりにも高い可能性に目を剥いてしまう。
「そんな驚かないでよ! 冗談だから、”確認作業”だよ」
笑ってこちらの表情を見て嬉しそうな顔をする。
いつもこちらを不安にさせてそんなことを言うのだから困る。
京ちゃんを嫌いになることはないけど、でもやっぱり不安になるのは胸が詰まる。
「笑えない……」
というか、例の”確認作業”……
私を困らせたり怯えさせたり、どこからどこまでかは怖くて聞けない。
もしかしたら復縁の匂わせすら……なんて事まで考えられてしまう。
「はぁ~本当可愛いなぁ」
握った手をブルンと振って京ちゃんは笑う。
いやでも私は心から笑えない。
京ちゃんに好かれてるのか遊ばれてるのか定期的に分からなくなる私としては、正直これはかなりキツいかも。
好きでいてほしい、そのままでいれば好きでいてくれる。
とはいえそのままとは?
京ちゃんは笑ってくれている。
きっと京ちゃんは私を好きでいてくれる。
それを信じるしかない。
でも本当に好きの度合いが噛み合っていなかったら私たちはどうなってしまうんだろう。
京ちゃんの”確認作業”は回数が増えるごとにスケールも大きく、心に与える刺激も強くなってきている気がする。
ついていけるだろうか、飽きないだろうか。
それだけが不安で、今回も「あのお店に行きたくない」って言ったら終わってたかもしれない。
目の前で復縁する様子を見せるって目的が叶わないから。
言う事を聞かない、思い通りにならない私に京ちゃんは焦れて飽きてしまうかもしれない。
だからきっとこれからもなにか京ちゃんに提案されたら、怖くても断れない気がする。
最初は京ちゃんの言うことを聞いてあげたいっていう感情も強いけれど、徐々に嫌われたくないからという感情の割合が大きくなる。
これでいいのかな……?
そういった感じのいろんな不安を頭で噛み砕いて心に沈めた。
愛を確かめるという”確認作業”を京ちゃんが仕掛けるたびに溜まっていく不安。
だんだんそんな不安がヒタヒタで溢れそうになっているのを感じる。
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