【6月11日 春の出会いを追想する】
第3話
飾利
「キュートアグレッション? って言うらしいんだよね」
京ちゃんはカラッとした表情で私に言った。
横文字が難しくてよく分からない。
高層マンションの一室、京ちゃんの部屋で私はちょこんと座りながらベッドの上であぐらをかく京ちゃんを見上げる。
付き合って2ヶ月弱しか経っていないのに、この光景を見慣れてしまったことが恐ろしい。
「キュート……なに?」
「キュートアグレッション。可愛い子ほどいじめたくなっちゃう心理現象? みたいなことをそう言うんだって。子犬とか尻尾いじって怒らせたくなるでしょ?」
それが当たり前でしょと言わんばかりに指を一つ立てる京ちゃんに私は共感が追いつかない。
「そういうもの? SとかMとかそういうのじゃないの?」
「ちょっと違うかな。可哀想にすることが好きなんじゃなくて可哀想な飾利が好き」
「なにそれ」
「なんにしろ、私は飾利を見てるとそんなキュートアグレッションで胸がいっぱいになるんだ」
そこで私は春の出会いを思い出す
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