第20話 俺に許嫁が?(3)

「理香さん、美奈子の件は覚えているよね? と。お兄さんとお姉さんが私に深刻な顔をして尋ねてきたの。だから私もね、新作の嫁の件ですよね? と、二人に尋ねたの。するとね、お兄さんとお姉さんは、うんと頷いて、美奈子ちゃんのことはよろしくと、私に告げてきたのよ」

「そうなのか~~~?」

「うん、そうだけれど……。あなた声が大きい! 二階にいる新作に聞かれたらどうするの?」

「あっ、いや、御免……」

「うん、別いいけど……。新作に聞かれたら本当にお兄さん家で毎晩、美奈子ちゃんへと種付けしそうだから聞かれ、悟られないようにしないと……」

「うん、そうだな」

「うん、そうよ……」


 あなの~、御二人……。何を納得しているのだよ……。俺マジでそんなことしないから……。お、俺一応は久美ちゃん先生命……。一筋だから……。た、多分大丈夫だと思う……と、俺が頭の中で余り自信の無い、曖昧な言葉を漏らして、やばいなぁ~とマジで思えば。


「じゃ、美奈子を新作の嫁にもらうしかないな」


 家の親父さまが、姉ちゃんが俺の嫁で決定だと嬉しそうに告げた。


「うん、そうだね……。兄さんとお姉さんは、未だに美奈子ちゃんと新作の件は覚えているから。美奈子ちゃんを新作の嫁にもらうしかないみたいよ。あなた……」


 だから家のお袋さまもノリノリでね、姉ちゃんは自分の義理の娘にするのだと告げる。


 だから俺はどうしよう? どうしたらいいだろう? と、また自分の顔色を真っ青にして頭を抱え、二階の自分の部屋で転がり回り。この後も脳内で『うわぁ、ああああああっ!』と俺は絶叫を上げた。



 ◇◇◇


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