第15話 俺は転校しなくて済みそう? (2)
えっ! 嘘? マジで? 冗談だろう……。じゃない! ないよなぁ~、みんな~?
そう、この馬鹿夫婦は何を言っているのだ~~~!? と俺が自身の心の中で絶叫も吐くが。発狂もするけれど。
俺は決して、もしかしたらできるかも知れない? 弟か妹へと不満がある訳では無い。実際に家の親父はもう数年もすれば50歳になる爺だが、家のお袋さまは女盛りの三十代前半だから、もう一人ぐらいは子供を産んでも罰は当たらないとは、俺も思うから。俺の目につかないところで子作りをするのは別に構わないとは思う。
でもまだ一人息子で、弟か妹ができても長男になる俺に対して馬鹿はないだろ、馬鹿は……? 実際高校へと進学してからの俺は担任の久美ちゃん先生のお蔭で立ち直り、勉学に勤しんでいる訳だから、長男に対して馬鹿と阿保と言うのはよくないぞ……。馬鹿や阿保と言う奴こそが本物の馬鹿と阿保だから、と俺がブツブツと不満を募らせ、不貞腐れていると。
「あなた?」
家のお袋さまが親父さまを呼ぶ声が俺さまの耳へと聞こえてきた。
だから俺は今度は何だ! お袋! と思いつつ、部屋の畳に耳を当て──。どんな小さな声も見逃さないように耳を澄ました。
◇◇◇
「……ん? 何だお前?」
「……新作をお兄さんの家に下宿をさせてもらうと言うのはどうかな?」
俺がお袋さまの親父さまへ呼び掛けは何だろうか? と聞く耳を立てていると。俺が予想すらしていなかったことをお袋さまは親父さまへと尋ねた。
「……ん? 新作を兄貴の所にかぁ?」
「うん、そう、あなた……。新作のことをお兄さんに預ければ。あの子は基本他人に迷惑をかけることが嫌いな子だから。不良の健ちゃん達を今迄のように家に呼んで、不良の溜まり場にするような事はしないと思うのよ。あなた……」
余り気が乗らない声音で言葉を漏らした親父さまに対して、お袋さまは微笑みながら、自分の策は妙案だと告げる。
「う~ん、新作を兄貴の所にかぁ……」
お袋さまが胸を張り提案した策なのだが、親父さまの声音は先ほどと一緒で余り乗り気の無い声音で呟く。
「うん、そう、あなた。お兄さんに聞いてみてよ」
俺が伯父さんの家に下宿することに対して親父さまが余りよい顔をしなくても、お袋さまは気にもしないで。俺のことを伯父さんの家に下宿……。伯父さんの家から【えのがわ学園】へと登校できるように嘆願をしてくれと告げている。
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