第9話 俺には恐ろしい幼馴染が…… (1)
「うわぁ、あああっ! あぁ、あああっ! 辞めろ! 辞めてくれぇえええっ! 二階の部屋には俺がいるのだからぁあああっ! 頼むからぁ、辞めてぇ、辞めてくれよー! 親父! お袋! これ以上ピー! だけはしないでくれお願いだ……。頼むよ、二人共……」
家の両親がつまらないことを下の部屋……。多分リビングではないかと思われる部屋で夫婦仲良く第二ステージへと突入したので。二階の部屋にいる俺は自分の両耳を押さえながら、学習机の椅子に座る訳ではなく……。椅子から転がるように畳へと横たわり……。
その後はこの通りで、自分の両腕で耳を押さえながら、俺は部屋の中を下の部屋で元気一杯な両親に意図的に聞こえるようにと、室内を転がり、回りつつ、うがうがと鼻息荒く暴れ、抗うのだが。家の両親のアダルトビデオ並みの嬌声やダンスは、俺の暴れ、抗いの音を掻き消すほど凄まじいもので……。
俺は先ほどのファーストインパクトのように三十分近くは苦しめら。今の今、家の両親の仲良くは「はぁ、はぁ」の、俺を合わせた親子三人の荒い息遣いと共に終わってくれた。
だから俺は「はぁ~」と大きな嘆息を漏らし。その後は部屋の中心で大の字で天井をボォ~と眺めつつ、やっと俺の許へと帰ってきた安息の時を過ごしていると。
「母さん、それはそうと新作って真面目だけれど。クラスで虐めに遭ったりしていないのか?」
家の親父さまがお袋さまへと、俺の高校での身の上を心配して尋ねる声が耳へと聞こえてきた。
だから俺は、ん? 俺? と思えば。
「……ん? ああ、新作ならば大丈夫よ。お父さん……?」
家のお袋さまはピー! を終えれば親父さまに対して『あなた~』と甘え声音ではなく、いつもの呼び名である『お父さん』に俺は平気だと告げる。
「そうなのか?」
「うん」
「本当に大丈夫なのか?」
家の親父さまは余程一人息子の俺のことが気になるのか? 俺が学園で苛めに遭っていないのか? と。この後もお袋さまに何度も尋ねた。
それでもお袋さまは、
「新作のことなら大丈夫……。絶対にあの子はクラスメイトから苛めに遭うことはないから。お父さん心配しないで」
と苦笑を浮かべながら説明をしてしまうから。
「ん? どうしてだ、母さん?」
親父さまは困惑しながらお袋さまへと尋ねる。
そんな親父さまにお袋さまはまだ名残惜しそうに優艶に甘えていたけれど。その行為を辞め、ニヤリと微笑み。
「だって新作と同じクラスに、近所のガキ大将だった健ちゃんがいるから、新作は真面目な子でも、クラスの悪い子達に、また中学校同様に虐められ事はないんだって。新作が私に教えてくれたの」
お袋さまは親父さまへと説明をする。
「そうなの?」
親父さまはお袋さまの説明を聞き、再度尋ね返した。
「うん、そう……。だから大丈夫でしょう、お父さん?」
またお袋さまがニヤリと微笑むと。
「確かに母さんの言う通りだ……。近所の苛めっ子、健ちゃんがまた新作と同じ学校で、同じクラスならば。あのえのかわ学園でも新作は苛めに遭うと言う事は先ず無いな……。ありえん」
親父さまも俺と近所の幼馴染が同じ学園に通うクラスメイトだと聞き安堵……。胸を撫で下ろす……。
そう実はね? と言うか? 先ほどから何度も話の中にでてきたけれど。俺は担任の久美ちゃん先生があの、爆乳を張り、威張りしながら文部省に告げることができるくらい。高校生になっても違法改造の学生服を着衣することもなく文部省推薦のピチピチ学生服を好んで着衣しているほど素行がいい真面目な高校生なのだが。
でも俺は頭も悪く、偏差値も低いからヤンキーにも、真面目な生徒にもなれない中途半端な存在でね。
そんな俺が、県下一素行が悪く、ヤンキーの巣窟……。あのスク〇ルウ〇ーズのような学園に通っている訳だから。
家の親父さまは俺が泣〇虫先生のように、本当に虐めに遭い泣いているのではないか? と息子の身の上を心配してくれたのだが。
家の親父さまは、今のお袋さまの話しを聞き。
「おぉ、おおおっ! 大島さんとこの健ちゃんがまた家の新作と一緒の学園で、同じクラスか。それはまた縁があると言うか? 良い事だ……。まあ、それならば母さんの言う通りで新作は大丈夫だな。健ちゃんと家の新作は近所で幼馴染だから。新作が中学校の間でも同じ学年の子から虐められる事はなかったから。そりゃ、大丈夫。大丈夫だな。あっ、ははは」
と安堵しながら歓喜した
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