第6話 俺の先生は? (3)

 だから下の部屋から。


「えっ! い、いや。そ、それは無い。無いよ。母さん……」


 家の親父さまの情けない様子が手に取るように見える声が聞こえてきた。


「嘘おっしゃい! お父さん! 私なんかよりも若くてピチピチしたボン・キュ・ボンの先生の方がいいのでしょう?」


 そんな親父さまへと家のお袋さまは更に攻撃を加えたようだ。


「いや、そんな事は無い。無いよ。母さん……。母さんだって十分に若いじゃないか……。歳だって先生と余り変わらないだろう? それに母さんだって肌もピチピチしているし。ボン・キュ・ボンで、スタイルだって未だに良いじゃないか……。だから儂は母さんに満足しているし、浮気心もないよ。本当だよ。信じてくれよ。母さん……。儂は本当に母さんだけ一途なのだから、お前信じてくれよ。頼むよ……」


 だから家の親父さまの情けない声音での言い訳が、二階の自分の部屋に居る俺の耳へと聞こえてくるのだが。家の親父さまの言う通りで、実は俺のお袋さまは、他の同級生タメの奴等のお袋さま達よりかは若いとは思う? 俺が今話をしている時代がと呼ばれた時代背景だから、偶に俺のお袋さまと変わらない32歳の母ちゃんやママさんを持った奴もいるけれど。

 これがと呼ばれる時代背景ならばうちのお袋さまは独身のピチピチお姉さまと呼ばれても可笑しくない年齢なのだ。


 そう家のお袋さまは家の親父が経営している会社の工場にアルバイトで入り、15歳で知り合い種付けされて、翌年には俺を産んでいるのだ。


 だから久美ちゃん先生が確か24歳か25歳だと、自己紹介の時に言っていたと思うから?


 俺のお袋さまと久美ちゃん先生は10歳も年齢差がないのだ。


 まあ、そんな若いお袋さまだから、家の親父さまは本当に頭が上がらず、俺を産んだ尻に敷かれている状態だよ。


 だから家の親父さまの声音は笑いがない、今にも泣きだしそうな声音でお袋さまへと必死に言い訳をしている。


「いいや、もう辞めてよ。触らないで、離してよ。お父さん……。二度と私に触らないで、このエッチ! スケッチ! ワンタッチ! もう私のオ〇パイを握らないでよ。お父さんは~。もうエッチ~! 辞めてよね~! 二階には新作がいるのだから~!」


 だからお袋さまはこの調子……と言うか? 二人は下の部屋で何を始めようとしているの? 二階には俺が居ると言うか? お袋さまが親父さまに俺が二階にいるから離せと言って暴れ、抗っているみたいだけれど。家の親父さまはお袋さまに何をしている? 何をしようとしているの、だぁあああっ!?






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