第9話ミリタリーショップで裏の2人と少年の初邂逅
「おれオススメのミリタリーショップはここだよ。『ミリタリー・ガイド・ショップ』、略してMGSってんだ。
ここは品揃えも品質も良いんだ、なのに良心価格。
店長と店員も感じ悪くないからとてもオススメ」
自分のお気に入りを紹介出来るのが嬉しいのか気持ち胸を張ってドヤ顔気味に前を進む。
「ほほぅ、在庫セールの物ですら良品とは中々やるな。
これなら期待出来そうだぜ」
「店長と交渉して表に出せないけど高品質なブツをお得意様に紹介して貰うつもりだよ」
「…それ、イリーガルな方のブツじゃねぇよな?」
「問題ないよ。単に一般人には売れない規格のブツってだけだから。
お得意様のように手慣れてないと危険だけどな」
「あ〜…そっち系のブツか。確かに体も鍛えず訓練も受けてねぇド素人にゃ無理だわ。
狩りに慣れてる猟師でも持て余す奴だろ?」
「Exactly! 流石にお得意様以外に紹介出来ないから正直楽しみなんだよね。
そっち系の在庫はナマで見る事は滅多に出来ないからさ」
「そらぁそうだろうよ。ありゃあ、弾抜いてても素人に触らせるもんじゃねぇよ」
そう雑談を交わしながら店長を探していると、ハイテンションな少年が店長と会話をしているのが視界に入る。
随分と騒がし…賑やかだ。話が終わるまで少し待つしかないのか?
少し離れた場所で手持ち無沙汰に立っていると、2人が店長に用があるのに気付いたのか、少年は「あっ!?」と声を出しながら申し訳なさそうに、そそくさと下がり漸く店長に要件を話す事が出来るようになった。
店長もお客そっちのけで少年と談笑してた事に気付き、謝罪しながら2人に近付いてくる。
「久しぶり店長。店長向けのお客さん連れて来たよ。
おれのお得意様なんだけど、装備を揃えたいって事なんで……例のブツ見せてやってくれません?
彼の腕はおれが保証するからさ」
店長への挨拶から始まり、途中で誰にも聞こえないよう小声で囁き取り扱い厳重商品を求めた。
「へぇ…おめーさんがそこまで保証するほどの腕なら見せてやるよ。
2人ともこっち来な!」
腰にぶら下げたゴツい鍵を持って幾つかの通路を潜る。
どうやら場所もショッピングスペースからかなり離れているようだ。
「かなり歩かせてすまんなぁ。
店員にも見せられないブツだから距離を頑張ってとったんだわ」
「なるほどね〜」
「情報屋…お前知らなかったのか?」
「おれが保証出来るほどの腕の持ち主がいなかったから入れなかったんだよ」
「なぁるほどなぁ。俺ほどとは言わねぇが、経験豊富な奴ぁ平和な日本で早々いねぇわなぁ」
「待たせたな。ここにオレの秘蔵品が保管されている。
分かってる奴にしか触らせる気はないから滅多に売れないんだがな」
「ようやく拝めるってぇ訳だ。楽しみだねぇ」
そう言いながら通常の鍵に加え、カードキーや生体認証も使いやっと解錠された。
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