第2話 恋をした夜は

中学生の頃に罹った病に、この年になって再びかかってしまったようです。

発症するとウキウキした曲が好きになります。


『恋をした夜は、すべてがうまくいきそうで・・・』


昔聞いた時は、なんだかなと思っていた曲ですが、最近は大好きでよく聞いています。

今の僕の気分にマッチしているようです。


恋の病とは言い得て妙です。

日記の写真を見たり、頂いた手書きの名刺を指でなぞる度に、心がかき乱されてしまいます。図々しい事なのですが、この病気を治してくれるお医者様は、あの女の子しかいないのです。


今日はそんな僕の心の治療にやって参りました。

電車の中でお店から、1時間遅れた時間にご案内になります。と伝えられます。

僕より先に入った兄貴が、延長でもしたのでしょうか。

僕のか弱いメンタルが波打ちます。


喫茶店で本を読んで時間を潰してから外に出ると、すっかり夜の街になっております。

煌びやかな看板が街にあふれ、エロティックなお城がライトアップされています。

どこのお店も、ココだよ! と僕にアピールをしてくれています。

周りのネオンの華やかさにときめいて、ウキウキとしながらお店に到着します。


豪華な待合室で暫く待っていると呼ばれます。

どうぞ、と呼ばれたカーテンの先で、エマちゃんがニコニコとしながら待っていてくれます。

何度お会いしてもこの子は綺麗です。


エマちゃんは、僕のこと覚えていてくれました。

三度目の正直です。

多少でも僕は、エマちゃんの心に入り込むことができたのでしょうか。

お部屋に案内していただいてエマちゃんとイチャイチャします。


前回の口コミは非掲載だったと打ち明けると、何を書いたか読みたいと言いだします。

僕の書いた評価を、御本人が目の前で読む。


これは公開処刑でしょうか。


エマちゃんが過去に在籍していた〇〇〇にも是非行ってみたい。などと書いてありますので、

そういう部分を読むごとに、チクリチクリと刺されます。

でも、僕のエマちゃんに対する気持ちは分かって頂けましたでしょうか?


こんなの掲載される訳ないじゃん。

次も落ちます様に・・・。

パンっと手を合わせて天井を拝んでいます。

ひどい言われようです。


出だしの正座で緊張してしまいましたが、気を取り直して再びイチャイチャとさせて頂きます。

今日のエマちゃんも、ものすごく可愛いです。


エマちゃんは、見て欲しいものがあるのと、トルコ石のような美しい色の下着姿を披露してくれます。


そして、 『ココ♡』 と言いながら、見せてくれたエマちゃんのヒ・ミ・ツ。


一瞬、目を疑うような驚きでした。

こうやって人を楽しませることを、自分でも楽しめる女の子だからこそ、とてつもなく惹かれてしまうのでしょう。

興に乗ったのか、僕だけのために素敵なポーズを取って、くるくると踊ってくれます。

僕は専属のカメラマンの様に、エマちゃんを心のフォルダに収めていきます。


お風呂ではエマちゃんに椅子に座ってもらい、下から覗いてみます。


なんという迫力でしょうか!


大興奮で飛びつこうとしますが、上からシャワーをけられます。

目も開けられず息もできません。

もがき苦しんでスケベ椅子から這い出すと、エマちゃんは笑いながらお風呂に入っています。一緒に入らせてもらい、お姫様だっこでエマちゃんを抱き寄せます。

こんなに近くでエマちゃんが見つめてくれます。

柔らかくみずみずしいエマちゃんを頂きます。


お風呂から上がってエマちゃんとイチャつきます。

汗が止まらない僕を、タオルでミイラ男のようにしてしまいます。

こんな行動も、全て楽しく感じてしまいますが、突然エマちゃんに、女の表情が浮かびます。


私、知ってるんだけど・・・

最近〇〇ちゃんに興味持ってない?


うぉっ!

これは、ビビっちゃう話し方ですが、やきもちを焼いてくれるんですね。

なんか嬉しいです。


気を取り直して、大好きなエマちゃんを味わいます。

この行為は何度かしか、したことがありません。


楽しい時間は早いものです。

あっという間に終了時間です。

グミが好きだというエマちゃんに、硬いミルクケーキをプレゼントします。

がっかりした表情を楽しみたかったのですが、素直に喜んでくれます。

欲しいものなど無いと思いますが、こんなつまらない物に喜んでくれるエマちゃんは、すごく優しいのでしょう。


今日は少しビビりましたが、そんなことがあったので、ちょっとだけですが、一緒に暮らしているような夢を見ることができました。

本当に幸せで楽しい時間でした。



駅までの道すがら、ちょっと焦ります。

僕の家までは、結構な距離があります。

もう終電の時間まであとわずかです。

エマちゃんとの会合は、遅くなると、途中下車で夜を明かす必要があるかもしれません。



恋をしてても、していなくても、全てがうまくいくのは、きっとイケメンだけなのでしょう。


なんとか終電には間に合いましたが、走ったせいかいつもより苦しい感じがします。

薬の効果は一時的です。

処方された特効薬は、即効性はありますが持続性はあまりないようです。

副作用で症状が悪化した様に思います。

もう、薬なしではダメな身体になってしまったのかもしれません。


さっき会ったばかりなのに、エマちゃんに会わないと崩れてしまいそうです。



またあそんでね。

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