第6話
「紬央は好きな人いるの?」葉綾が尋ねた。彼女の目は少し輝き、話の流れに期待を込めていた。
紬央は少しだけ黙ってから、軽く肩をすくめた。「いたけど、うまくいかないから、さよならかな。」
「うーん、あっさりしてるんだね。」葉綾は少し驚いたように言った。
「別にあっさりしてるわけじゃないよ。」紬央はすぐに答えた。声にはどこか落ち着きがあり、その言葉の奥には決して無関心なわけではないことが伝わってきた。「でも、ね。人間関係ってさ、執着しても依存しても楽しくないんだよね。」
葉綾はそれを聞いて、少し考えるように黙った。「確かに…楽しくなくなるよね、そういう関係。」
「うん。」紬央は小さく微笑みながら言った。「だから、私はさよならを選んだ。無理に続けても、結局お互いに不幸になるだけだと思ったから。」
「じゃあ、お互いクリスマスに失恋したわけかあ。」葉綾が軽く笑って言った。彼女の言葉には、少しだけ自嘲のような響きがあった。
紬央は微笑みながらうなずいた。「そうだね。でも、クリスマスだからって、別に悲しむ必要もないよね。」
「確かに。」葉綾も頷く。「でもさ、クリスマスに恋人と過ごすとか、そういうのがクリスマスだと思ってる人にとっては、私たちってダメなやつなんだろうな。」
「そう思う人もいるだろうけど、いいじゃん。」紬央は肩をすくめながら言った。「そう思ってる人たちには、そう思わせておけばいいよ。私たちに関係ないし。」
葉綾はしばらく黙って考え込んだ後、にっこりと笑った。「うん、そうだね。私たちは私たちのやり方で過ごせばいいんだもんね。」
葉綾は窓の外に広がる冬の街並みを見つめた。「誰かにどう思われようと…。」
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