第5話

葉綾は肩をすくめると、少し自嘲気味に口を開いた。「相手の人、ちょっと年上でコンピューター関係の仕事してて、仕事の話されたけど、私はあんまりよくわからなくて…。」


紬央は頷いた。「話の内容、あんまり理解できなかったの?」


「うん、そう。」葉綾は少しだけ顔をしかめながら言う。「つまんないって思われたのかもね。私、コンピューターのこと全然わからないし。」


「つまんない人だって思われたっていいじゃん。」紬央は言うと、葉綾を見つめた。「だって、葉綾はお笑い芸人を目指してるわけじゃないし。普通の見合いだったんだから、別に面白い話をする必要ないよ。」


葉綾はしばらく黙ってから、少し考え込むように言った。「そうだね。」


「気持ち、わかるけど。」紬央は葉綾の手を軽く握った。


葉綾は深いため息をついてから微笑んだ。


葉綾は軽く肩をすくめながら、ふと視線を下げた。「話を合わせてくれるけど、見下してるような人もいるんだよね。そういう人じゃなかっただけ、まだ良かったのかもしれない。」


紬央は驚いた顔で見つめた。「そんな人、いるの?」


「いるよ。」葉綾は少し顔をしかめながら言った。「表面では話を合わせてくれるけど、実際は私のことを馬鹿にしてたり、見下してたりする人、意外と多いんだよ。そういう意味では、まだよかったのかな。」

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