第4話

紬央は、玄関を上がってリビングへ案内された。リビングには柔らかな光が差し込み、静かな午後の時間が流れていた。葉綾はソファに座りながら、紬央にお茶を勧めた。


「どうぞ、紬央。お茶でも飲んでリラックスして。」


紬央はありがとうと言って、葉綾が出してくれた紅茶を受け取った。葉綾はカップを手に取り、少し沈黙が続いた。


やがて、葉綾がぽつりと口を開いた。「実はさ、昨日のお見合い、うまくいかなかったの。」


「そう。」紬央


葉綾は肩をすくめ、ため息をついた。「相手の人が私を気に入らなかったのは仕方ないとしても、やっぱりちょっと悲しい。」


紬央は黙って葉綾を見つめ、少し考え込んだ。「でも、無理に合う相手と出会う必要なんてないと思うよ。もしかしたら、葉綾にとってもっと素敵な人がいるかもしれないし。」


葉綾は少し微笑み、カップをテーブルに置いた。「ありがとう、紬央。紬央は本当にそう思ってくれるんだね。確かに、無理に合わない人と出会う必要はないんだよね。」


「葉綾はすごく魅力的だし。」紬央は優しく言った。


葉綾は少し顔を赤くし、目を伏せた。「ありがとう、紬央。紬央がそう言ってくれると、元気が出るよ。」


二人はしばらく、お茶を飲みながら過ごした。葉綾が話している間、紬央は何も言わずに黙って聞いていたが、その優しさが葉綾の心を少し軽くしてくれたようだった。


葉綾は深く息をつきながら、窓の外をぼんやりと見つめた。外はすっかり夕暮れ時で、空は橙色に染まり始めていた。彼女は少し顔をしかめ、再び紬央に視線を向けた。


「紬央。お見合いの後、その人が『君のことはちょっと…』って言ったとき、私は心の中で何かを感じたんだ。ああ、やっぱり私って、他の誰かにとってはちょっと違うんだな、って。」


紬央はしばらく黙って、葉綾の話をじっと聞いていた。


葉綾は少しだけ笑顔を見せた。


葉綾は深くうなずきながら、少し目を閉じて考え込んだ。少しの沈黙が流れた後、葉綾は少しだけ声を上げた。


「そうだね。無理に答えを出さなくてもいいのかもしれないね。ありがとう、紬央。」


「こちらこそ、葉綾。そう言ってもらえると嬉しいよ。」紬央は微笑んで答えた。


その後、二人はしばらく、部屋の中で過ごした。葉綾の心の中で、少しずつモヤモヤしていた気持ちが軽くなっていくのを感じた。


夕方の柔らかな光が二人を包み込み、外の街並みはすっかりクリスマスムードに染まり始めていた。葉綾は少し顔を上げて窓の外を見つめ、深呼吸をした。


紬央は静かに頷きながら、お茶を飲んだ。二人はしばらく無言で、ただその時の空気を味わった。外で流れるクリスマスソングが、どこか温かく感じられた。


――大丈夫。これからだって、きっといいことが待っている。


葉綾は心の中で、そう思った。

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