第2話 まずは私を師匠と呼びなさい
意味がわからないまま呆然としている僕を放置しながらミナさんは話を続けた。
「異世界人なんて、初めて見たわ!異世界のこと詳しく教えて?」
元気な声でミナさんは質問をする。
だめだ。呆然としてるようでは、僕は知らないといけない。
「まず質問させてください。何故、異世界人のことを知っているのですか?」
「それは本に書いてあるからだよ。有名な本でね。異世界から来た人が自分がいた世界について書いたの。でも残念なことにその人は行方不明になっているんだよ。他に質問はある?」
「有魔の世界って言いますが、どんな世界なんですかここは?」
「そうだねー、じゃあこの世界について説明するね!」
ミナさんが言うには、この世界は有魔の世界…
つまり、魔素がある世界。魔法や魔物…ファンタジーの世界だ。僕やミナさんのような人族の他にもたくさんの種族がいて、その一部が魔族である。魔族には分別があって、人に化け、意思疎通ができるのが魔人、獣が魔力によって突然変異したのが魔獣。そしてスライムやゴブリンなど異質な形をしているのが魔物というらしい。
そして…
「その王が魔王…」
「あー言ってなかったね。魔王は数年前に討伐されてね、今魔王の席は空席なんだ」
どうやら僕が魔王を倒すような世界ではないらしい……そしてどんな質問よりも大切な質問が僕にはある。
「僕が元いた世界に帰るためにはどうすればいいんでしょうか?」
「それはごめん…わからないんだよ。でも、もしかしたら…いやごめんわからないや。」
「じゃあ…僕はどうすればいいんですかね。」
「そうだねー、君はまずこの世界で生きていけるように強くならないといけない。」
「よしわかった!君を強くしてあげよう。」
「それはなぜですか…」
「それは優しさだよ。君はこれからこの世界で生きていかないといけない。君は強くなって、この世界を知っていくんだよ。」
「そうですか…」
「ほら顔を上げて!まずは私を師匠と呼びなさい」
「師匠ですか…」
「君は元気をだしなさい。君は帰りたいんだろう、元の世界に…なら君はすぐに進まないと」
そうして話はゆるくまとまった。
僕はどうやらこの世界で生きていかないといけないらしい…それは残酷なことなんだろう。しかし僕はミサさん…師匠によって救われた気がした。
「もう一度自己紹介をしよっか。私はミナ。子守の魔法使いだよ。」
子守の魔法使い…?
「お子さんがいるんですか!?」
「違うよ!面倒見がいいから子守の魔法使いだよ。それに私まだ15歳だから!」
なんと子守の魔法使いで僕の師匠のミナさんは、僕より年下だったのだ。どうやら僕は僕よりも年下の魔法使いが師匠になったらしい。
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