ろくでもない自己紹介
さて、学校に入学したならば、まず初めに自己紹介タイムなるものが開催されることは周知の通りであるが、ここで読者の皆々にも告げておこう。
私の名は、兎羅怒と言う。
「何その暴走族みたいな表記?! 普通にヴラドで良くない?」
こやつの名は児累だ。
「俺までそのネームあんの?! やめてよ、イメージ悪いじゃん」
貴様のイメージなぞ既に底辺であろう。
「それはそうだけども!」
だが心優しい私のことだ、貴様の悪印象を払拭するべくテーマソングを選んでやったぞ。心して聴け。
「いや、別にテーマソングとか要らない……」
これはまるでアルデンテ! せんべ〜い、じる! (じるじる)
「八戸の人に謝れ!」
一部、不適切な表現があったことをここにお詫び申し上げますッ! だが反省はしていない!
「しなさいよ反省を」
考えてもみろ、B級グルメのお祭り会場でこの愉快な曲を聴いて真っ先に「わ〜、ジルの名前連呼してる〜テーマソングみたい」などと考えるような者がまともな精神状態であるはずが無かろう。つまり作者は心神喪失状態にあり、責任能力は無いものと思われる。
「まあ確かに。正気じゃないね。何考えてんだホント」
貴様の入場時に後ろで流しておいてやるから、踊りながら教室へ入ると良いぞ。注目を浴びること間違いなしだ。
「俺の平穏な学校生活の始まりをぶち壊さないで?!」
学校生活と言えば、我らの愉快な日常を描くこの物語の舞台は現代の尾道なわけだが。
「もはや隠す気ゼロ! 前回ほにゃほにゃ言ってたのは何だったの」
一見、吸血鬼たる我々とは無関係のように思える土地であるが、何故この地を選んだか分かるか?
「え、俺たち何か縁でもあったっけ……? 記憶にないけど……」
作者の住処だからだ。
「本ッッ当に無関係だったわ! 有りもしない記憶探すところだったよ」
尾道と言えば寺の町。ラーメン、さくら、ネコ、坂道。これらを程よく無視した夕闇の学園生活を、我々は皆々にお見せしようというわけだ。
「程よく無視してんの?! せっかくなんだから活かしなよ、大事な観光資源を……というか、それならわざわざここを舞台に選ぶ必要なくない?」
うん、無いぞ。全く無い。
「言い切ったね?!」
あまりにも無さすぎる故、むしろ舞台に選ばない方が良いレベルだ。
「なら何で選んだんだよ……」
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