夜道の歩き方
くろこ(LR)
とてもくだらない序
私は思う。夜間定時制とは、吸血鬼の為の学校なのではないか――?
「いや、そんなことないと思うよ。働きながら学びたい人や、事情があって全日制に通えない人たちのための」
黙れ下郎め。貴様など吸血鬼の風上にも、いや風下にすら置けぬわ。恥を知れ。
「酷くない?!」
全ての夜間定時制の創始者が吸血鬼であったことはもはや疑いようのない事実であるが、それはここ、ほにゃみちほにゃみ高等学校もまた例外ではない。
「ほにゃほにゃって何そのぼかし」
作者の素性がバレるであろうが!
「偽名とか考えればいいんじゃ……」
たわけ! 明らかに地元をモデルにした絵を見つけたが、しかし紹介文のどこにも名前は載っていない……『え、これどう見てもうちの地元だよね? 何で名前無いの? 参考にしたなら載せろよ。分からないとでも思ってんのか? あ? 地元民舐めてんの?』……そんな経験が貴様には無いのか!
「そんなケンカ腰になるようなことなの?!」
愛とは恐るべきものだ。それは他者や己への愛情に限らず、郷土への愛もまた同じ……。
「君が行き過ぎなだけだろ……というか、単純に権利関係に配慮して、名前を出さなかっただけじゃない?」
作中で爆破したわけでもなし、何を配慮することがあると言うのだ。堂々と宣伝しろ。
「その辺は俺には分からないけどさ……まあ、ほら、商業的なものが絡むとさ、色々あるんじゃないの?」
全ては金か? 自由に故郷の名を叫ぶことも出来ぬとは、つまらない世の中になったものだな。
貴様ちょっと国会議員にでもなって国を変えて来い。
「突然の無茶振り止めてくれない?! 嫌だよ、働きたくない」
駄ニートめ。そこの造船所で甲板と共に性根を叩き直して来い。
「あそこの仕事、夕方までじゃない? みんな一斉に帰ってるし……っていうか働かないから俺は」
まあ貴様の誇れぬ称号なぞ使用済みのトイレットペーパーの如くどうでも良いわ。
「確かにどうでもいい存在ではあるけど、ちゃんと流しなよ?」
つまるところ人類はもっと故郷を愛し、誇るべきなのだ。我が町にはこんなにも素晴らしい景色が、文化があるのだと。
「あ〜、まあ君はね……そういう性質だよね」
見ろ、今は亡き山口翁も嘆いておられる。その両目から蛇口を捻ったかのように涙を流しているではないか。
「いや誰?!」
貴様は己が通うことになる学校の創始者の御名も知らぬのか。義務教育から出直してこい。今時はタブレットが配布されるらしいからな、ウィキ○ディアを検索しろ。ゲームをしては駄目だぞ。
「グー○ル先生じゃん! 義務教育関係ねぇ! てかそこは伏せるんだね?!」
検索サイトには特に愛情は無いぞ。貴様はあるのか? 変態か? ペディアフィリアか?
「そんな性癖持ってないけど、若干近いの止めて?!」
さて、誤解無きようにこれだけは言っておこうか。隅から隅まで、心して拝聴するが良いぞ。
※この物語はフィクションです。実在する同名の地域・学校とは全く関係ありません。
「吸血鬼が出てる時点で、どう考えてもフィクションだよ!」
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