第8話 DJバトル?
僕はいつものようにナオと元町で待ち合わせをしていた。今日はテレビの横浜特集で商会されていた最近流行っているハンバーガーを二人で食べに行く予定にしていた。
大きなハンバーガーが目の前に二つ。それをナオが小さい口をを大きく開けて頬張っている。それを僕は笑顔で眺める。
「ちょっとそんなに見ないでよ!そういえばクリから聞いたんだけど、テツって野球めちゃくちゃうまかったんでしょ?」
「中学の時は県大会で優勝したんだ。俺は1番ショートでスタメンだった。当時は天才って言われてたんだぜ」
そう言ったときに何故か野球を辞めた後悔みたいなものが頭をよぎった。クリのサーフィン、ジュンのバンドそれに負けない趣味として選んだDJだったが練習してもそれを披露する場所が限られていた。
だから上達しているのか自分ではわからなかった。
「ふーんすごいなー。テツはクリとかジュンに比べてって思ってるかもしれないけどテツの野球は二人に負けない立派な才能だったと思うよ。でも今はDJ頑張っているか」
「練習しているんだけどなんかやる場所がなくて。クラブは未成年入店禁止って言われちゃうし、ナベくんに相談してもまだ練習が必要かだっで言われちゃうし…この前の文化祭楽しかったな」
「焦らなくていいんだよ。大学生になったらクラブも行けるしその時は有名なDJになってるよきっと」
僕はナオといるのは楽しかった。でもそんなナオは横浜でも有名で何度も一緒に歩いているときにスカウト受けたりしていて、僕と本当に釣り合ってるのか不安があった。それが僕を焦らせてもいた。
「ナオ実はねこんなのナベくんから貰ったんだ」
DJバトルのフライヤーをナオに見せた。
「俺これに出ようと思って。少しでもナオに釣り合いたいと思って」
「またそんな事言って。私はそのままのテツが好きって言ってるじゃん。あっもうこんな時間になっちゃった。英会話のレッスン行かなきゃ。」
ナオと別れた後、ナベくんの店に行った。このバトルでいい成績を出す事がナオに釣り合う男になると信じていた。
そのために僕はナベくんの店で練習に明け暮れた。
同じ音が出るレコード2枚をターンテーブルに乗せてループさせる。スネアの音を使いスクラッチして音を繋げて行く。わずか10分間の間にどうそれを構成するのか構成力も試される。
ナベくんは必要以上のアドバイスは絶対にしない。ポイントだけ伝えてあとは僕に考えさせる。
中学校の頃の野球のコーチに教え方が似ていた。
基本的には自分で考えさせる。そういうスタイルだった。でも僕にはそれが心地良かった。
練習を見ていたナベくんが伝える
「おし!結構いいんじゃないか?構成もバッチリだし大きなミスも無くなってる。やっぱテツお前センスあるよ。あとは細かいところまで磨き上げる事だな。」
「本当に?やった!本番まで練習するよ」
「おう頑張れよ。何かあったらいつでも来い。うちの店暇だしな」
その言葉を聞いたギターコーナーにいた社長から厳しい視線が届いているような気がした。
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