第3話
高くそびえる鉄柵、監視カメラが無数に設置された壁面…
スズラン刑務所の威圧感は、外から見たとき以上に圧倒的だった。
美香、裕也、淳の3人は、車を降りると同時にその威圧感に言葉を失った。
「でかすぎるだろ、これ……」
「うん、確かにすごいね…でも、これくらいじゃ僕らのやる気は削がれないよ」
「そうだな」
私たちはおしゃべりを開始するが、その剣幕もすぐに看守の声に遮られる。
「おい!おしゃべりしてないで前を向け!」
鋭い声に全員が背筋を伸ばす。
そこには看守が立っていた。
「よし、お前ら。今から荷物検査を受けてもらう。一度警察署で受けたと思うが、念の為もう一度な…。まずはお前。そのゲートを潜れ。」
指を刺された大柄な男性はゲートを潜った…が、
特に何も起きなかった。
「じゃあ次だ。そこのお前。潜れ。」
指を刺されたのは小柄な男性。
その人がゲートを潜ると…
『ピーーーッ』
ゲートからとてつもない音量で警告音らしきものが鳴った。
「お前、何を持ってやがる?」
「すみません…親の形見なんです!どうか捨てないでください!」
その人の手からは高価そうなネックレスが出てきた。
「捨てはしないが、脱獄に利用されると困る。これはお前が釈放される時に返してやるよ。」
その人は安心したようにため息をつく。
「このように、検査で発覚したものは全て釈放の時に返す!また、今は罪にはならないが、次回このような場で荷物を持っていることが発覚した場合は処罰対象だからな!気をつけるように!」
そのまま次々と行われる荷物検査だったが、
持ち物を持ち込んでいる人はそれ以降はいなかった。
「お前らはここに監修されるにあたって囚人番号というものを決めさせてもらう。囚人番号というのは、この刑務所の中での名前のようなものだ。」
ゲートを潜った順に囚人番号とその番号が書かれた布が渡される。
「あぁ、そうだ。この布は後で渡される囚人服に縫ってつけろ。」
そして、私たちの前に看守がやってきた。
「お前は380、そして、お前は381、最後にお前が382だ。」
私が380。
裕也が381。
淳が382だ。
「それみんなじゃあここで待ってろ。グループごとにそれぞれ専属の看守がつく。」
そこで私たちが待っていると、新たな看守がやってくる。
「こんにちは。俺はあんたらの看守を務めさせていただくことになった看守の田邉秀や。よろしくな。」
看守は少し日焼けしていて、運動ができそうな感じの関西人だった。
「よろしくお願いします。」
「よし、じゃあ今からお前らの房に案内したる。着いてきぃや。」
私たち3人は看守に案内されて、刑務所の奥へと進むと、
中央に螺旋階段の見える巨大な家のような場所があった。
「お前らの囚人番号は380〜382なぁ…」
囚人番号が部屋番号と直結しているようで、私たちは3階に案内された。
そして380と書かれた部屋の中に入らされた。
ガチャッ
しっかりと房に施錠される。
「それじゃあ、改めて。刑の確認をさせていただくで。えーと、380番、381番が1年後に死刑。382番が無期懲役やな。それじゃ、明日は刑務所内施設紹介と簡単な刑務作業をするからな。ちゃんと休めな。」
そう言い残して看守の田邉さんは去って行った。
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