第8話 捕らぬ狸の皮算用







  グリーンティは折り合いを付けてくれた、現世での年齢的に考えて流石におかしいということで、前世の事情を知る者たちの前以外では、『お姉ちゃん』呼びをすることに対して生じるパラドックスをよく理解してくれた様子。


 もっとも、本人は『お姉ちゃん』と呼びたくてうずうずしているご様子だが、カズサさんにたしなめられたことにより、しぶしぶと納得してくれたようだ。


 前世で上司にあたるカズサさん相手だけはどうにもならなかったらしい。


 今作においては、カズサさんが要注意人物確定である。


 捕らぬ狸の皮算用というのか、クラスの委員長、各委員会の立候補を募るのは大変なだけに、クラスを受け持つ側として俺たちの存在がありがたいようだ。


 結果、それぞれがなにかしらの委員に立候補する形となった。


 ウィラは生徒会長、ナギ姐は生徒会書記長、カズサさんは生徒会監査役、兄貴は体育祭実行委員、ヒナコは学級委員長、俺は副委員長、そしてジェニファーはカバディ部に興味を示している。


「ジェニー、あんたなんでカバディ部に興味示しとんねん? そら留学生やから委員会活動の役員に属することは出来へんけど、ここで部活動の話をしたらあかんで? ってか、カバディ部あるんかーい!?」


「「「「「「「「HAHAHA!」」」」」」」」


「ウィラ、あたしらが学食で飯を食ってる時に変なの来ただろ? その中にカバディ部もいたよな?」


「いやナギ、そら普通にありえへんわ。日本全国、カバディの競技人口見てみ? せいぜい5000人ぐらいやで?」


「ああ、今回もそのうちの20人ぐらいが、ここにいるんだよ!」


「「「「「「「「カバディ! カバディ! カバディ!」」」」」」」」


「ウィラ! 噂をすればなんとやらだよ!」


「「「「「「「「HAHAHA!」」」」」」」」


 食堂内で長居しすぎた結果、昼時になって腹をすかせた有象無象の生徒たちが集まり、賑わってきたところで新入生を狙った自称部活動の勧誘をする奴らの登場だ。


 カバディ部はまだ無害な方で、どちらかというとマオリ族のハカと化している。


 食堂内を走り回るのも危ないからか、その辺の分別があってか元気よく謎の奇声をあげる未成年の主張だ。


 東方共栄学園には、ちょっと変わった部活も多く、カバディ部を始めとして……。


「「「「キェーーーーーーーーー!! チェストォォォォォ!!」」」」


 薬丸自顕流、あるいは薩摩示現流同好会なんてものもある。


 昼時の食堂内は元々賑わうので、カバディと叫ぼうが、奇声をあげようがなんら問題ない。


 もちろん、ハカ研究会もあり、昼時の食堂では今日も席取り合戦が繰り広げられている。


 特に強いのが、ラグビー部と提携したハカ研究会であり、当然のように武器よさらばなので戦いは数、フィジカル、そして声が大きいほうが勝つわけだ。


 さて、食事を楽しんだ我々は、上級生や部活動勧誘を大義名分に掲げた不審者たちがうるさいので、そろそろ撤収するとしようか————。








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