4話 ベストプレイス・・・かもしれないダンジョン
「いやあ、絡んできたのが地図買った後で良かったわ」
【ですね、マスター、これから予定通りに?】
「ああ、予定通り、ダンジョンに向かう」
まあ、登録終えたし、地図は買ったし、絡まれさえしなければ、防具周りとかも欲しかったけど、もうあの村はスルーして、とある目的の為に地図にある辺境ダンジョンへ向かう予定だ。まあ、大雑把なので時間をかけて向かう事になるだろう。
「しかし、まさかだよなあ」
【はい、私も予想外です】
いや、ホントね、あの後、セーフハウス戻る前にふと目に入ったこの世界の薬草を採集、根っこをセーフハウス内の畑に植えてみたのだ。そしたら・・・
「まさかの無限回収可能なホウレンソウ化。しかも、1日で可食可能なぐらい生えてくる」
【厳密にはホウレンソウではありませんが、味は勿論、栄養素構成とか完璧ホウレンソウでしたね】
まあ、薬草採集的な依頼の時に使えるし、また外出た時にいくつか根っこ掘って持ってくるかね。ホウレンソウ探さなくてもお浸し作れるようになったのは有り難い。と言うか、茹でたらエグ味が出るのって完全にホウレンソウだよな、コレ?
「で、問題は」
【ええ、我々が今直面している問題は】
「【村の北にあるダンジョンってどれぐらいの場所にあるの?】」
である。地球じゃないから衛星無いし、距離調べようにもメートル法かそれ以外なのか分からんから、AIのディーにも距離の感覚が全く不明である。ある程度近いか遠いかも分からない。こうなると、村で派手に動いたのが失敗だったかもしれない。でも、もう村には近寄りたくないから、まあ、ダンジョンを目指せるであろう街道を歩くしかない。
「やっちゃったもんは仕方ない。普通に歩こう」
【ですね】
そう言うと、立ち上がって、服を着替えて、外に出るのだった。クローゼットを良く探したらフィットサイズのパジャマあったのはびっくりだよ。脱いだパジャマは洗濯機に放り込み、乾燥もお任せにする。う~ん、便利なハウスだ、ホントに用意してくれた女神様に感謝。
「は~、なるほど、そんな事になってるんですか?」
森を出て、出来る限り離れた所で街道に出る。そうしてしばらく歩くと村では見た事ない人の集団が歩いていたので合流して話を聞く。ダンジョンの場所は勿論だが、商人の集団であったのが幸いし、様々な事が聞けた。
「神自らの神罰ねえ。恐ろしい話だわ」
「そうだねえ。しかし、神様に許可すらなく、異世界人をガンガン拉致しては自慢するのに飽きたら、男は労働、女は性奴隷にしてたってなら仕方ないよなあ」
「それで神殿、場所によってはお城が全て破壊とか恐ろしい話だわ。悪い事は出来んね」
「んだんだ。神様の力で人間に分類されるのは無事だったって話だし、その神の力でジョブを得た異世界人が大反乱祭りらしいからね、大きな都市」
まあ、ホントに女神様怒ってたし、多分、他の神様も怒ってるだろうし、魔界の魔族まで怒らせたとあってはねえ?まあ、うん、元凶共を人間には含めないとも言ってたしな、うん。まあ、どうなったかはある意味では実は知ってるんだが、その規模は凄まじい事。ここまでシンプルに民衆に伝わるぐらいにやったと言う事は本当に世界中の神殿、王家はやらかしてたんだろう、つまり、同情の余地は無し。
「この辺りは地方で良かったなあ」
「全くだ。たまたま地方に用事があったのが幸いしたねえ、お互い!」
わっはっはっ!と合流して仲良くなった商人さんと笑い合いながらしばらくすると、看板が見える。目的のダンジョンは分かれ道を右、左は街への道のようだ。ほとんどが左で、右に向かう時に商人さんに心配されたが、大丈夫と言い、看板先で別れ、ダンジョン方面へ。
「地図の大体の距離も分かったし、やはりコミュニケーションは大事だな」
【イエス、マスター】
人通りが少なくなったのでスマホを出して、改訂された地図をカメラで読み込ませる時に話す。撮れたら、再びしまう。基本スマホはそういう風に使う事にした。なんか、良い隠蔽アイテムとかあれば良いんだけど。荒事がある場合は、スマホはハウス内に置いた方が良いかも、そうしよう。
「ここから1時間ちょいってとこらしいから、頑張るとしよう。馬の召喚モンスターとか居れば良いんだけどなあ」
そう言いながら、ダンジョンに向かう。思ったより平坦な道だったので、時間の割に疲れはそれほどでもなかった。レベルが上がらない以上は体力も知っておかないとな。しかし、事前、商人さんとの会話で聞いてはいたが・・・人がマジで居ない。と言うか、警戒してスマホしまってたけど、到着まで馬車も人にも会わなかったぞ。どんだけ不人気なの、このダンジョン?!
「うわあ、マジで過疎化してる。お約束のノベルとかに良くあるスタンピードとか無い所為か、コレ?」
【商人様の会話が正しいなら、シンプルに辺境すぎるという事でしょう】
人が居ないのを確認して、スマホを出し、カメラアイでディーにも確認させる。こう、鉱山の入り口のような穴が開いているのだが、ファンタジー小説にはお約束の門番まで居ない。万が一でもモンスターが出てきたら、伝言他どうすんのよ、コレ?
「まあ、好都合だけど、好都合すぎて、なんか怖い」
【同感ですが、私達にとっては大変都合が良いとも言えます、入ってみましょう】
まあ、衛兵が居ない、人が居ないは好都合だ。入るとまずは下に降りる階段、しばらくすると、ヒヤッとした空気が流れる。後に知ったのだが、ダンジョン特有のゾワリとする感覚がコレらしい。よし、人は居ないので階段脇にセーフハウスを発動させる。そして入ると、先ず行うのが・・・
「よしよし、玄関のドアの覗き穴から覗ける」
外の状況が見れるかの確認である、これは重要。出来る限り、人とかち会うのは何らかの交渉か商売の時だけにしたいからね。それを確認したら遅めの昼御飯。肉の色どりが欲しいが、もうしばらく我慢だね。
「さて、過疎化はしてるけどダンジョンだ、気合を入れていくとしよう」
【イエス、マスター。現在のカード構成で2枚までの組み合わせ予想はこうなっております】
「グッジョブ。さあ、気合入れていこうか」
先ずは覗き穴を見る。人が居ないのを確認してから開ける。そして、先ず行うのは。
「ディー、コレが遺跡の壁の欠片、撮るから解析を頼む。バッテリーが怪しくなったら報告してくれ」
【了解です】
とある考えの下にディーに解析を頼み、ポシェットに小さな欠片がカメラに見えるように入れ、その間はダンジョンを潜る。大抵のダンジョンは低階層はそれほどでもないらしいので、音や声を警戒しつつ、拾った石を通路に投げたりして罠が無いのを確認しながら慎重に進む。
「お、居るな」
獣人、言うなればコボルトと言った所だろうか、数匹が曲がり角の先の方に居る。嗅覚が犬並みなのですでにバレてこちらに向かって来ている。では・・・
「ミニソルジャー召喚、重ねて、ファイアースプライトを召喚!出でよ!火炎の騎士!」
炎を纏った騎士がコボルト4体を蹂躙した。殲滅を確認したら送還し、この世界で言うドロップを確認する。パックは無しか、1%だし、しゃあない。なお、ドロップしたのは焼け焦げた皮4つである。まあ、そうなりますよねとしか言いようがない。次からは流水の剣士にしよう、うん。
【マスター、解析完了しました】
「OK、セーフハウスで結果を聞こうか」
コボルト達が居た通路にセーフハウスを発動し入っていく。ダンジョン内で安全な休憩室はマジで助かる。定住しようかなあ?でも、人が来ないから不向きなんだよね、ここ。
「充電器、充電器、接続と。で、どうだった?」
充電器をマルチタップを使い取り付けると、100%が80%に減ってる。解析は結構電気食うんだな、気を付けよう。
【まあ、石ですね。ただ、1%だけ、リンを含んでいました】
「ただの石じゃないアピール?」
【おそらくは。地球だったら大歓喜した研究者が殺到しますね、コレ】
石の中にたった1%と言うのがここは地球じゃない事を完全にアピールしている。ついでに、遺跡も私が普通の場所では無いとアピールしまくってるという。こりゃ、どこかに行く度に色々解析しないと見逃したらまずいもんとか普通にありそうだな。
「んじゃ、もう少し討伐をやってみよう」
再度覗き穴から、モンスターや人が居ないかもチェックしてから、外に出る。うん、マジで便利だな、セーフハウス。
「しかし、マジで人気が無いんだな」
【地方であり辺境であり、かなり奥まった場所にあるなどの条件もあるかと、事実として商人の方々会話から分析するなら、首都などの近辺ダンジョンは人気なのだとか、おそらく、ドロップ等が美味いのではないかと】
「それが一番あり得そうだな。おっと?」
ポシェットと話す不審な人物に見られるな、このままだと。なんかこう、良い感じに籠手に付ける感じとかなら、そういうアイテムと見られるだろうか?と思いつつ、自分達のでは無い足音に気づく。先の曲がり角の先辺りだろう。
「ディー?」
【二足歩行では無い足音、動物の系統と判断】
なら、さっきみたいに曲がり角から飛び出て召喚は危険か、良し。
「ミニソルジャー召喚、重ねて召喚、アクアスプライト。出でよ、流水の剣士!直ぐに戦闘になる、行くよ?」
流水の剣士が頷くのを見ると、同時に通路に出る、敵はボア、つまり猪が3!流水の剣士は即座に1匹を斬り捨てる。そして、もう一匹にかかってる時、最後の一匹がこちら目掛けて突進するが自分も流水の剣士も慌てない。
「サンダースプライト召喚!重ねてファイアースプライトを召喚、出でよ、雷火精!」
『ふっ!』
雷を纏った人間大の炎の精霊が一直線突進してくる猪に雷撃を食らわせると、一撃で倒れる。まあ、雷ビームを食らったら、そら一気にライフ削れるわね?剣士の方も倒せたようで、3体のドロップが出る。お!来た来た!
「猪肉が2つ、焼けた魔石?」
ちょいとじっくりと調べてみるか。皮とかみたいに焼け焦げたとかではないのが気になる。集中するのでセーフハウスに再び入る。
「ディー、先ずは猪肉の解析を頼む」
【了解、マスター】
無いとは思うが、冷蔵庫に入れる前に奇麗なパッドの上に置いて寄生虫を確認するのだ。解析機能便利だねえ。さて、自分はこっちだ。
「焼け焦げたじゃないから、気になるんだよねえ」
・焼けたブルバッファローの魔石:この魔石を取り付けた武器は火炎突進攻撃付与する
とても良く分かる、誰かに相談しないと市場に流したらアカン奴ゥ!しかし、火炎は分かるが、突進ってどうなるんだろうか、コレ?武器に付けたらギュィイイイインって武器がカッ飛んで行くのか?大丈夫、腕もげない、コレ?
「焼けたと言っても炎を纏っている訳じゃないから、倉庫もとい室内で肥やしだね」
何故か食器棚にあったタッパー1つを取り、その中に保管する。炎だけに冷蔵庫に入れとけば暴走しないかな?と思い、冷蔵庫のフリーザー室に入れる。
【マスター、スキャン解析完了しました。寄生虫はおりませんので冷蔵庫に保管は可能かと】
お?マジかこっちの方が嬉しい。見かけたら積極的に狩るのも良いかもな。ただ、猪に食ってどんな調理法が良いんだろ?猪鍋なら味噌かな?いや、ネギとか無いから鍋はなあ・・・とりあえず、肉の味が恋しいので薄切りにした肉を茹でて、茹でた肉とジャガイモを味噌で煮込むなんちゃって肉じゃがで食べてみるのだった。これで元手がタダって、異世界生活、意外と悪くないかもしれない。玉ねぎとか街で売ってたりすんのかな?あったら買おう。
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