第9話
・
美咲と別れた後、私はコーヒーをもう一杯と、昼食のサンドイッチを注文した。
そして今は、さっきまで美咲がいた席の輪郭を呆然と目でなぞっている。
娘のために店を飛び出していった美咲が昔と変わっていなくて安心した。
そして人の気持ちに少し鈍感なところも昔と変わっていなくて、「モテないわけではないでしょ?」と訊かれた私は思わずため息をついたのだった。
そして昔と変わらず、私は美咲と話すときに緊張してしまうので、それを悟られないようにするので精一杯になってしまう。
しかし、私も美咲も、もう大人になったのだ。
美咲は背負うべき存在ができて、親としての責務を全うしている。
私は?
いつまで経っても昔のままでいいの?
いや。
いい加減、自分の想いを伝えられるようにならないと。
私は運ばれてきたサンドイッチに思いっきりかぶりついた。
次からはもっと大胆に行動しようと思った。
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