第5章 行動計画
第21話 作戦会議
「改めて自己紹介といこうか、オレの名前は
来た、なんだかんだ言って、とうとう4人目の仲間だ。これは強力な仲間だぞ。ただ、相変わらず隕石との関わりが想像出来ないけど。
「では、ボクたちも自己紹介しよう。ボクは兎見ミッケ。あまり自覚は無いけど、能力は人に勇気を与える事」
「自覚は無いのか?でも、何度か交わしただけだけど、オレは確かにミッケの言葉に勇気をもらったよ」
「そ、そう?だったら自信持っちゃおうかな」
確かにミッケの言葉が無ければ、カノンとこうして話す事は無かっただろう。
「あの……次は私、いいですか?遠童モノと言います。心を読む能力を持っています」
「……もう、隠し事は出来ないって事か。オレの心は、さぞかし愚かで滑稽に見えるんだろうな」
「いえ、そんな事はありません!ただ深い悲しみと怒り、そして後悔が見えます。でも、とても純粋で……ごめんなさい!私余計な事を……」
「いや、いいんだ。お前らの前では見栄を張るのはやめた。オレの復讐に付き合ってもらうんだ、全てをさらけ出すつもりだ」
カノンは覚悟を決めているようだ。こっちもその覚悟に応えなきゃいけない。
「じゃ、じゃあ次は私。藍川リルです。このグループの言い出しっぺで、予知夢を見ます。そもそもは、私が夢で隕石が落ちて地球が滅亡するのを見て、それを防ぐには5人の能力者が必要だったから探してたんだ。だから、カノンの事が上手く行ったら、その後はこちらの協力をして欲しい」
私の発言にカノンが驚く。
「何ー!?隕石が落ちて地球が滅亡?オレの復讐どころじゃないんじゃないか?」
「ううん、こっちはまだ大丈夫だと思う。あれから夢も見てないし。何よりまだ能力者が5人揃ってないから、カノンに協力していく過程で、出会えるんじゃないかなって予想してる」
「5人揃ってない?ここには、5人いるけど……」
カノンがチエに視線を送る。
「あー、またこのやり取りね、アタシは能力とか無い一般人だから。名前は市衣チエ、ただのリルの付き添い。リルが他人と上手くコミュニケーションが取れてるか見守る役目さ」
「ちょ、何それー!あーあ、チエが時を司る能力者だったらなー」
「おおーい!司るって何だ?そんなのラスボスクラスの能力だよね!?」
私達のやり取りを生暖かい目で見守っていたカノンが口を開く。
「自己紹介ありがとう。みんなの事は良く分かった。では、早速、作戦会議と行きたいんだけど、いいかい?」
みんなはカノンに向き直って頷く。
「まずは復讐の相手―――社長だけど、父さんはプラットエージェントという小さな広告代理店に勤めてたんだ。だから、その社長がターゲットって事だ。名前は『青柳築治郎』、年は52歳。顔も分かっている。会社のホームページに載ってるんでね」
なるほど、大概の会社はホームページとかあるからな。社長なんて簡単に身バレするよね。
「で、問題は、オレの因果応報の能力は、相手に面と向かって言わないと効果が無い事。試しに、ホームページの写真に向かって言ったり、会社まで行って、ビルに向かって言ったりしたけど、結果は出てない」
「そうか、相手に直接言わないといけないんじゃ厳しいね。会社から出てきた時を狙ってとかかなぁ?」
「通勤は恐らく車みたいなんだ。2回程、1日中会社の近くで見張った事があるんだけど、姿は見なかった」
「1日中見張ってたの!?既に行動を起こして色々やってるんだね」
「あぁ、当然だ。後はアルバイトとかで、会社に潜入出切ればとかも考えたけど、そんなの募集してないしで、なかなか名案が無くってね……」
カノンはこれまで一人で頑張ってたんだな、当初の印象と大分変わってきた。
「オレが協力して欲しいのは、みんなの能力で何とかできないかって事。例えば、誰か社員の心を読んで、社長の外出先を狙うとかね」
「……あの、私の能力は、その時考えている事を読むだけなので、社長の行き先を知っている社員が、ちょうど考えてる時じゃないと駄目ですね」
モノが申し訳無さそうに答える。
「うん、最悪出て来た社員に手当り次第、社長の予定を聞いてみるとか?」
「また、チエはいい加減な事を、そんなの怪しすぎるでしょ。通報されるわ」
「だったらリルは良い案はあるのかよ?そーだ、予知夢で社長の行動を見ればいいんじゃないの?」
「うっ、予知夢って見たいものを見れるんじゃないんだよね。勝手に見ちゃうだけで……」
うーん、自分で言ってて情けなくなってきた。私の能力って役立つのか?
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