第4話 二人目の能力者
二人でトボトボと下を向いて歩く。
打たれ弱いのは私の数ある欠点の中の1つだけど、やっぱり能力者を探すなんて所詮無理な事だよね。本当かどうかも分からない予知夢の話に、チエを付き合わせるのも悪いし。大きく膨らんでいた冒険へのワクワクが一気に萎んでしまった。あーあ、早かったなー。
そんな事を考えながら下駄箱に着いた。
「あれ、あの子どうしたんだろう」
チエの視線の先には別のクラスの女の子がいる。
帰宅部の私たちは、他のクラスとほとんど関わりが無い。従ってあの大きな眼鏡をかけた子も知らないのだけど、何かキョロキョロして挙動不審だ。
よく見ると手に持っている靴がビチョビチョで水が滴っている。でも、その子は濡れたままの靴を履くと、ピチャピチャ音をさせながら下駄箱を後にした。
「ハハッ!そのまま履いてったよ、ウケるー!」
「やっぱビチョビチョ作戦で正解でしょ?」
柱の陰から出てきた如何にも性格悪そうな女子二人から、すれ違いざまにそんな会話が聴こえてきた。
「チエ、これって……」
「カーッ、今時イジメかよ!ちょっとあの眼鏡の子を追いかけよう」
「エッ?待ってチエ!」
チエは急いで靴を履き替えると走り出した。
意気地の無い私は、あまり関わると……なんて思ってしまうけど、お節介で後先考えずに行動する所がチエの良いところでもある。
私達は道を濡らしながら歩く眼鏡の子に追いつくと声を掛けた。
「あなた、ちょっといい?」
驚いて振り返る彼女にチエが話しかける。
「あなたの靴をこんな風にした奴、アタシ見たよ。何かキツそうな女子二人組だったけど」
「あっ、はい……わかってます」
困ったように眼鏡の子は答える。
「エッ?わかってるって、犯人知ってるの?」
「え、えぇ……」
眼鏡の子は目を逸らす。
「もしかして、いつもこんな事されてるの?」
「まあ、たまに……大した事じゃないですし」
「大した事じゃない!?何言ってんの!ああいう奴らは懲らしめないと、一緒に先生に言ってあげるから!」
「ううん、いいんです。少なくとも片方の子は悪い人じゃないんです」
「エッ、どうゆう事?」
私とチエは顔を見合わせる。眼鏡の子は、モジモジしながら口を開いた。
「二人とも私と同じ4組なんですが、あの髪の長い方……彼女は擁護できない程性格が悪いのですが……でも、もう一人のショートの子は付き合わされてるだけなんです。今回も、初めは靴を燃やすとかボロボロにする位のつもりだったみたいですが、ショートの子、笹木さんと言うのですが、上手く言って水浸しにするだけになったみたいです」
チエが驚いて尋ねる。
「エッ、そんな事知ってるんだ!話してるの聴いてたとか?」
「いえ、そうじゃないですけど……」
「そうじゃないですけど?」
「私……人の心が読めるんです……」
私達は驚いて顔を見合わせた。
「それって!」
「能力……!見つけた!能力者!」
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