第2章 二人目の能力者
第3話 能力者探し
体育館の出入口のドアから中を覗くと、いくつかの運動部が活動している。目の前ではバレーボール部の練習試合が始まったようだ。
「で、リルさぁ、来ては見たもののどうやって見つけるのかな?まさか能力者の人ーって、呼び掛けるわけじゃないよね?」
「うん、大丈夫。能力者は能力者と引かれ合うんだ」
「オイ!何だソレ!どうせ何かの漫画の設定だろー!今まで能力者なんか会ったこと無いだろーが!」
チエのツッコミはもっともだ。でも何の根拠も無いが何故か会える気がするのも事実だ。
「チエよ、何か違和感が無いかよく見るんだ。そして感じるんだ」
「エー?バレー上手いなー位だけどね。超能力的な動きは無いよなぁ。まぁ、もしあったら、既に噂になってそうだけどね」
「うん、でもこんな風に能力を探る様な見られ方をした事は無いと思う。向こうも何か通じるものがあるみたいな、違和感を感じるんじゃないかな。……例えば、ほら、スパイクをバシバシ決めてる背番号3の子とか、何かさっきからチラチラこっちを見てない?」
「うん、言われてみるとチラチラ見てるよ。怪しいかもしれない」
チエと私は3番の子を目で追った。このチームのエースなんだろうか、幾つもスパイクを決め得点を重ねて行く。
でも、何か落ち着きが無い。こちらをチラ見してくるのだ。
すると、弾かれたボールがこちらの方に転がって来た。小走りでボールを取りに来るのは、なんと3番の子だ。
「リル!来たよ、来たよ……!」
チエが制服の袖を引っ張る。
「うん、わかってる」
チャンスだ、他の人に気付かれずこの子と単独で話しができる。こんな偶然あるかな?いや、偶然は必然だこの子と私は出会うべきして出会ったのだ。
私は息を呑んで走ってきた3番の子を見つめる。その子は私達の目の前に転がっているボールを拾うと、顔を上げて私達をキッと睨んだ。
「あのさ、さっきからあなた達何なの?気が散るから、そこに居ないでくれる?」
予想外のリアクションに顔が強ばる。
でも、ここで引き下がるわけにはいかない。
「あ、あのー、何か特殊な能力とかありませんか……」
「ハッ?何言ってんの?キモ!」
バタン!とドアを閉められてしまった。
勇気を出して話しかけただけに、ダメージが大きい。打たれ弱い私はもう心が折れてしまった。
閉じたドアの前で立ち尽くす私にチエが声をかける。
「リルー!ドンマイだよ!頑張ったよー。あいつは多分違うよ、何かセンスが感じられないね」
「そ、そうだね……ハァ、やっぱ私には人探しなんて無理そう」
「そんな事無いよ、今度はアタシが声かけるからさ、頑張ろうぜ!」
チエが一生懸命励ましてくれるので、余計申し訳なくなる。
「ありがとう……とりあえず今日は帰ろうか」
「オ、オゥ……」
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