1話 ミフネ「小さいまんまのお姉ちゃん」前編
「たどり、着いたっ。うぁ……! やっとっ、見つけた……! はあっ、はっ、はぁ」
大学の門の近くで友人を待ちつつ、スマホでソシャゲの周回をしていた おれの元に。
「ふうっ、ふうぅ……! はぁっ、 ───ようやく、逢えた……っっ!!!」
息を切らしながら駆け寄ってきたのは、おれの肩にも届かないくらいの背丈の和装の少女。その小さな体躯に違和感なく着こなしたシンプルな浅緑の着物姿は、否応無しに人目を引く。自然、その子と目が合って、 瞬間。
おれは、
「コっ…………っっっ!!???」
これ以上ないくらい動揺して、思わず叫びそうになった。
驚いた。愕然とした。
あまりにも、唐突すぎて。
「あ、あのっ! わかるかな、わかりますかっ、わたしのこと……!!」
早口にそう言いながら真っ直ぐ眼を見て おれに訴えかけてくる少女は、逸る気持ちを抑えられないといった様子。
なんで、どうして? そんな……まさか。
だって、
「えとえと、
今おれは、金魚のように口をぱくぱくと……さぞかし間抜けな
そんな おれとは正反対に、くるくると表情を変えながら息つく間もなく捲し立てる少女。
その顔立ちが。声が。ふるまいが。記憶を次々呼び起こす。
憶えてる。
忘れてない。
忘れるわけない。
「そうだった、『
ぴここ。と、頭からは
ぞるう。と、背後からのぞく二本の
さらりと流れ落ちる長い髪と同じように……陽の光に濡れて淡く 紺瑠璃に艶めく基本色、落ち着いた美しい
くりくりとした黒目が同時、
…………正確には、首から下げた御守り?だったり、生えた尻尾の本数に、違和がある気もするけれど……そんな程度は、些細なもので。
その、『
なぜかって、それは。
人間離れしたはずの、今の、その、少女の姿が……。
『どうしようもなく、懐かしい』……見慣れてしまったものなんだから。おれ に とっては……!
そして、そんな変色した妖しく眩い瞳を不安げに揺らしながら、探るような上目遣いでこちらを窺う、その少女。
彼女は─────
「どう、のじゃ……? これで、思い出せるかな……思い出して、みぃ
「コン、ねーちゃん……!!?」
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