第9話 姫の怒り
翌日。とうとうヴォルディオの軍勢とリル島の軍勢がぶつかった。圧倒的に多勢のヴォルディオ軍に対し、リル島側は海流などの地の利を活かして激しく抵抗した。しかし奮闘虚しく敗戦。そして、戦の中でロバートも戦死してしまった。
「そんな、嫌、バート兄様……!だからっ、だから私は一緒に戦うと言ったのに!!」
兄の戦死の知らせを聞いたアッシュは怒りに打ち震え、今にも一人で仇を討たんと飛び出していきそうな勢いだ。それを両脇からレオナルドとアルペが必死に押さえつける。
「待てアッシュ、落ち着け……!今お前だけで乗り込んでいったって敵の首が取れるはずがない!無駄死にだ!」
「レオ兄様、止めないで下さい!!それでも……無駄とわかっていてもやらなければいけない時があるんです!」
必死に抵抗しながら叫ぶ。
「僕だって怒りで気が狂いそうだ、だけど……!アッシュ。今は一旦冷静になって、もう一度軍と計画を立て直すのが先決だ」
アルペの言葉にようやく動きを止めたアッシュは、血が出るほどきつく唇を噛んで項垂れた。
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