第5話 出会い

アスターが稽古を受けはじめてから早くも四年が経った。彼女は皆の想像以上にぐんぐんと頭角を表し、剣も弓も今や同年代の男子でも彼女に勝てる者の方が少なくなってきていた。


「やあアッシュ、今日もよく頑張っているね。実は君に合わせたい少年がいるんだ。僕たちの遠い親戚の子でね、君とも張り合うくらい優秀なんだ。だから本家のうちで引き取ることになったんだよ」


ロバートはそう言って一人の少年を手招きした。


「ユニフローラム家のアルペストリス君だ。アッシュより二つ年上だよ。アルペストリス、この子は僕の妹のアスター。お互い切磋琢磨するんだよ」


「これからよろしく。女子だからって手加減する気はないから」


ロバート紹介されたアルペストリスはにこりともせず、しかし真摯な目で真っ直ぐアスターを見据えて言った。


「よろしく。大丈夫、負ける気はないから。あなたこそ女子に負けたからって文句言わないでよ」


ムッとしたのを隠しもせず、彼を睨みつけながら返す。

少年は確かに利発そうな顔立ちであったが、アスターにはその澄ました顔が少々癪だと思った。少年は少年で、このアスターという少女は随分利かん気が強そうだと思っていた。

つまりお互いの第一印象は最悪だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る