4話 それなんてエロゲ?
自己紹介が終わった後、俺たちの話題は今後の生活についてに切り替わった。
これまで少女3人暮らしだった所に急に1人男が入るのだ。当然色々と決め事もあるだろう。
ということで、まずは生活における役割分担の話をした。
ある程度大雑把に役割を決めていく中で、ひとまず俺は彼女たちが探索に行く日の料理担当ということになった。
もちろんその他にも当番制のお風呂掃除等あるが、まぁメインはソレという訳だ。
こうして役割が決まった所で、続いて俺はかねてから気になっていたことを聞くことにした。
「なぁ俺って今無職だよな」
「扱いとしてはそうなります」
「……雄馬、無職?」
「えっ、そうなの?」
「引っ越しの際に退職いただきましたので」
「ふーん、なら本当大きく環境が変わるわけね」
実際そうだ。これまで俺が住んでいたのは地方のそれも割と田舎寄りだったが、現在は都内の一等地だ。いわば上京したようなものであり、環境の変化も相応に大きいと言える。
「大変ね」
「気遣いありがとな」
「別に気遣ってなんかないわよ」
言葉の後、憐花はフンっと顔を背ける。
そんな彼女の姿に素直じゃないなぁと1人思っていると、突然俺の頭を小さな手が撫でた。
「雄馬えらい」
「おう、ありがとな」
感謝を伝えると、背後から「ん」という返事が返ってきた。
……って、話がだいぶ逸れたな。
「あー、その上で質問なんだけどさ、今後俺に仕事とかってあったりするのか?」
言って視線をリーリェへと向ける。彼女は顎に手を当てた後、少しして口を開いた。
「今のところ特に決まってませんね。なのでひとまず1週間程度は新生活に慣れるために行動してください。それ以降どうするかは……こちらでも考えてみますが、ぜひ雄馬様側でも案を用意しておいてほしいです」
「了解」
つまり内容によっては働くこともできるというわけか。流石に彼女たちが働いているのに俺だけずっと無職というのも気が引けるからな。とりあえず1週間の中で案を出せるように準備するか。
こうして俺の質問が終わった所で、続いて家の案内を受けることになった。
俺、リーリェ、憐花が立ち上がる。ちなみにニアは俺が立ち上がる際に器用に動き、現在は俺におんぶされている形になっている。
……ずっと引っ付いているのは気に入られたのか、単に動きたくないだけなのかなんとも判断が難しいところだ。
こうしてニアをおんぶしたまま、俺はリーリェと憐花に続いて間取りを把握していく。キッチン、洗面所、そして3人の部屋と順々に見た後、最後に俺の個人部屋を案内されることになった。
「こちらが雄馬様のお部屋になります」
言葉の後、リーリェが入り口のドアを開ける。するとそこにはおよそ12畳ほどか、1人で過ごすにはかなり広めの部屋が広がっていた。
……おいおい、俺の住んでたアパートより広いじゃねぇか。
その広さにぼうっとしながら思わず言葉を漏らす。
「随分とすごい部屋だな」
「気合いを入れて準備いたしましたので」
「みんながやってくれたのか?」
「そうよ。感謝なさい」
「おう、ありがとな」
憐花に素直にお礼を言った後、改めて部屋を見回す。部屋にはすでに家具が置かれているのだが、ブランドに詳しくない俺でもそのどれもが一目で高級品だとわかる。
……ん? あのイスって、たしか30万くらいするやつじゃ……いや、考えるのはよそう。
そんな部屋の中で特に目立つのは、これまた明らかに高級なマットレスを使用していることがわかるベッドなのだが……いったいどういうわけか、サイズがキングサイズであった。
俺は半ば呆然としながら、隣に並ぶリーリェへと声をかける。
「な、なぁ、本当にこんな良いベッドを1人で使っていいのか?」
俺の問いに、リーリェは至極当然とばかりに返答する。
「1人ではありませんよ」
「……へ? 1人じゃない?」
「はい」
何故だが嫌な予感がしながらも、俺は再度問う。
「じゃあ誰と?」
「もちろん私たちです」
一拍置き、リーリェは言葉を続ける。
「雄馬様には日替わりで私たちの1人と寝ていただくことになっております」
「日替わりで」
「はい」
「君たちと」
「そうです」
「なぜ?」
「仲良くなるためです」
「……それなんてエロゲ?」
「私もそう思います」
「あんたたち会ったばかりなのに随分と息ぴったりね」
言って憐花が驚いたように目を丸くした。
とまぁ、最後にとんでもない取り決めもあったりしたが、そんなこんなで俺たちの生活が始まった。
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2024/12/10
本日21時にもう1話投稿いたします。よろしくお願いします。
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