3話 自己紹介
だだっ広いリビングに置かれたテーブルにリーリェ、赤髪の少女が横並びに、リーリェの向かいに俺が座る。
ニアと呼ばれていた黒髪の幼い少女については、あの頭突き以降どういう訳かそのまま引っ付いてきたため、現在抱っこするような形で俺の上に乗っかっている。
細身で身長も140cm前後だからか、軽く負担は一切ない。しかし幼いながらに全身柔らかく良い匂いがするため、内心気が気ではなかった。
と、そんな一部特殊な座り方をする少女もいるが、ひとまず全員が一堂に会したため、早速自己紹介から始めることにした。
まずは俺の向かいにいるリーリェが口を開く。
「リーリェです。年齢は19歳で探索者ランクはS。長所はポジティブなところ、短所は家事が少しだけ苦手なところです」
「……少し?」
赤髪の少女が怪訝な表情を浮かべる。
「少しです」
リーリェは自信満々に即答する。
その姿をジトッと見た後、赤髪の少女は「まぁ、いいわ」と言う。
そして小声で「いずれわかるだろうし」と続けた。
……どんだけ壊滅的なんだ?
そう俺が不安を覚える中、リーリェはゴホンと咳払いをすると、再度口を開く。
「限界レベルは190で、器もかなり大きいようです。なのでいつでも雄馬様の聖液を受け止められます。よろしくお願いします」
スラスラと淀みなく言うと、彼女は小さく頭を下げた。
……この子に羞恥という感情はないのだろうか。いや、うっすらと顔が赤いから言いながら恥ずかしくは思っているようだ。
そんなリーリェの様子を面白く思っていると、赤髪の少女が彼女の発言を受けて真っ赤になった顔のまま口を開いた。
「
「わかった、よろしく憐花」
「よろしく。……じゃあ続けるわね。えっと、年齢は18で、探索者ランクはA。それと限界レベルは……160よ」
限界レベルの部分だけ言い淀む憐花。何か思う所があるのだろうか。
憐花はグッと唇を結んだ後、相変わらず赤らんだ顔のままビシッと俺を指差した。
「わ、私も器は大きいらしいわ。だから……その、覚悟しといてちょうだい!」
「なにを!?」
言いながら返答を待つが、憐花は腕を組みふんっと横を向いてしまった。
……女の子って難しい。
ということで半ば強制的に憐花の自己紹介が終わったため、最後は俺に抱えられている黒髪の少女、ニアの番である。
彼女は馬乗りのまま近距離でこちらをじっと見つめたまま、その小さな口を開いた。
「
「210でしょ」
「ん、それ。……よろしく」
「おう、よろしく。えっと呼び名はニアでいいか?」
「なんでもいい」
そう言うと、ニアは俺の胸元へと顔を埋めた。
……あれ、歓迎されてない?
あまりの素っ気なさに思わずそう思っていると、赤らんだ表情から元に戻った憐花が付け足すように声を上げた。
「気にしないで。ニアはいつもこんな感じだから。……というか多分あんただいぶ気に入られてるわよ。少なくともこんなくっついてるニアは初めてみたから」
「そうなのか」
「そ。さぁ、最後はあんたの番よ」
「おう。えーっと、臨海雄馬だ。年は24で……限界レベルも言った方がいいか?」
「一応お願いいたします」
「あーじゃあ、限界レベルは25だ」
「ふーん。そこは一般的なのね」
「まぁな。んで、趣味は探索者の配信を見ること。特技は……特技かぁ。しいて言うなら料理かね。まぁとりあえずどうしてこうなったのかと絶賛混乱中だ。よろしくな」
俺の辿々しい挨拶に、凛とした表情で拍手をするリーリェ。燃えるような真紅の瞳でじっとこちらを見つめる憐花。そしてなぜかくっつく力を強めるニア。
そんな三者三様の歓迎? を受け、こうして俺たちの自己紹介は終わった。
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