第4話 コスプレ&バーガー


 ひとまず下着を買うと、次は服屋に向かった。

 元々こっちが本題なんだよなぁ。


 とりあえず色々見て回るか。

 興味深そうに服を散策するアルシュカ。

 こう見るとやはり美少女だな……。


「へぇ、色々あるねぇ」

「今の季節だと春モノのセーターとかワンピースがいいんじゃないか」

「おっ、なかなか詳しいじゃないか」

「そりゃあ女の子の幼馴染がいましたし?」


 …………自分で言ってて虚しくなってきた。

 その幼馴染は寝取られてるんだよなぁ。

 ああ、悲しい。


「なんなら試着してみるか?」

「え、いいのかな?」

「試着コーナーってあるだろ」


 というわけでアルシュカが気に入った服を持ち込み、試着することに。

 ちょっとドキドキしながら試着コーナーの外で待ってみる。

 終わったようで「じゃ~~~ん」と言いながら飛び出してきた。


 白いペレー帽に白いセーター、流行り物のスカート。

 胸元にはちょっとした小物のペンダント。

 う~~~ん可愛い。


「へぇ、いいんじゃないか?」

「でしょ? でしょ? 他のも着てみるね!」


 そう言ってアルシュカはいくつもの服装を見せてくれた。

 ワンピース姿、チャイナ服、メイド服、パジャマ姿……。


 おい、ほとんどコスプレじゃないか!?

 どうなってるんだ、この店は!! 推せる!!


 一通り着終わったのか、元のジャージ姿に戻って出てきた。

 これで影で模倣できるように……なったのか?


 なんか申し訳ないな。

 金が入ったらなるべく買うから……。


「大体イメージは掴んだし、次行こうよ、次!」

「次って、もう目的は達成しただろ?」

「こんだけ大きいお店なんだから色々みたいじゃん!」


 ……というわけで本屋にいったり家電屋にいったり。

 映画館やゲームセンターなんかもちょっとだけ見た。


 見た、と言っても金は使わず本当に赴いただけなのだが。

 とにかくお金がないからな。やっぱりバイトしないと。


「また今度行きたいね~~!」


 ……なんてアルシュカは言っていた。

 こいつ、匿われている自覚があるのか?


 ひとまず本屋で週刊誌と、アルシュカが気に入ったらしい小説だけ買っておいた。

 家電屋は……ゲームを買うほど余裕があるわけじゃないからな、うん。


 そのままフードコートに行き、ハンバーガーを頼むことに。

 平日の昼だからかそんなに人がいないのは助かった。


「アルシュカ、何のセットが食べたい?」

「よくわかんないや。なんでもいいよ。ああ、でもトマトとにんにくは抜きでね」

「にんにくは……まぁ弱点だもんな。トマトは?」

「赤いものはなんとなく苦手なんだよね、僕。特にトマトが苦手」

「トマトケチャップは?」

「それは大丈夫」


 子どもの嫌いなものと同じ理論だった。

 食えよ、トマトも。


 とりあえずアルシュカにはてりやきバーガーセット。

 俺は新作の花見バーガーセットとやらを買ってみた。

 フードコートの席に座って、セットを並べると興味深そうに見つめている。


「バーガー、食べたことないのか?」

「1人では食べないね。食事って大体しないでいいし」

「まぁ食ってみろよ。美味いぞ」


 もしゃもしゃとてりやきバーガーを食うアルシュカ。

 にっこりとしているから気に入ったようだ。


「ふぅん、なかなか新鮮な味だね」

「ポテトもあるぞ、食ってみろ」

「ありがとっ」


 ポテトをひとつつまんで渡そうとすると、そのまま咥えられた。

 まるで餌付けするかのような気分だ。


 ポテトも気に入ったようでもしゃもしゃと食いつつ、コーラを飲むアルシュカ。

 目が><になっている。コーラの炭酸が気に入らなかったようだ。


「えへへっ、来てよかったかも。日本」

「元々何処に住んでたんだ?」

「北欧だね。飛行機でビューン、と。催眠とか出来るから諸々は余裕だったよ」

「催眠か、すごいな」

「眷属には必要ないけどね」


 ……つまり催眠する必要もないほど主導権を握られていることなのだが。まぁ楽しそうにもしゃもしゃてりやきバーガーを食べる姿を見ていると、それもいいかなと思えてくる。


 美少女って……癒やしだな!!

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