第7話 星空の告白

 ラクシュミを救い出した後、ムハマドは彼女を安全な場所まで連れて行く途中で立ち止まった。夜空には無数の星が輝き、穏やかな風が二人の間をそっと吹き抜けていく。

 「少し休もうか。」

 ムハマドが静かに言うと、ラクシュミはうなずきながら地面に座り込んだ。彼女の目にはまだ涙の跡が残っていたが、その表情はどこか安堵の色に満ちていた。

 「本当にありがとう、ムハマド……もしあなたが来てくれなかったら、私は……。」

 ラクシュミの声は震えていたが、その中には感謝の気持ちが込められていた。

 ムハマドは彼女の隣に座り、夜空を見上げた。広がる星々の輝きが二人を包み込む。

 「ラクシュミ。」

 ムハマドは静かに彼女の名前を呼んだ。

 「何?」

 ラクシュミが彼を見つめると、ムハマドは深く息を吸い、言葉を選びながら話し始めた。

 「俺は……ずっと思ってた。俺なんかが、こんなことを言う資格なんてないのかもしれない。でも、どうしても伝えたかった。」

 ラクシュミは驚いたような顔で彼を見つめた。その目には緊張と期待が混じっている。

 「俺は……お前が好きだ。」

 その言葉は、まるで星空に響くように静かに、しかし確かな力を持ってラクシュミに届いた。

 ラクシュミは目を見開いたまま言葉を失ったが、次第にその表情は柔らかくなり、やがて微笑みに変わった。

 「ムハマド……私も……。」

 彼女の頬には涙が流れていたが、それは悲しみの涙ではなかった。ムハマドは彼女の手をそっと握り、二人はしばらく何も言わずに星空を見上げていた。

 それは、二人にとって新たな始まりだった。ムハマドの告白によって、二人の関係はようやく一歩前進した。カーストや周囲の視線という壁は依然として存在していたが、二人にはそれを乗り越える覚悟が生まれていた。

 夜空の星々が祝福するかのように輝く中、ムハマドとラクシュミの心は、ようやく一つになったのだった――。

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