53歳で後家になる

@nanababa

第1話

45年前。

私は、秋に結婚式を控えていた。

夏だつたかな?

仲の良い女友達が、「よく当たる占い師が駅前に居るから、行こうよ。」と。

私は、気が乗らないけれど、行きました。

占い師は、女性の年配の方。

手相や、人相などなど、みてくれた。

「あなた、53歳で後家になるわ。結婚する家は、商売しているでしょ。あなたが30過ぎる頃に、その店をあなたが任されるようになるね。」


確かに、ご両親で喫茶店をやっていた。

でも、主人は、店を継ぐ気は無く、サラリーマンになった。

何か、変に当たっている!?

私、53歳で後家!

主人は、53歳で死んじゃうの!


主人は、長男で跡取り息子。

結婚後は、同居。


私は、心の奥に「53歳後家」止めました。

占いの通りにならなきゃ良いんだから、

私は、絶対に喫茶店を手伝わない!

元々、主人もその気が無いので、両親には、店は、手伝わせないと言っていた。


同居しながら、店が忙しい時も、私はノータッチ。この同居が上手く行くはずないです。

3年後に、私と主人は、跡取りを二男に譲って家を出る事になった。


そして、主人が55歳になった時。

もういいだろう。

私は、心の奥にしまった「53歳で後家」を主人に軽く伝えた。

主人は、「へえ、そうだったんだ。いつ死ぬか分かってたら、生き易いじゃん。」


そうなんだあ。



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