第4話

病院に着いた時には、土砂降りの雨に打たれ全身がびしょ濡れだった。然しそんなことに構ってなど居られない。

受付の人に奇妙な目で見られようと、そんなことも気にならない。それよりもお母さんが心配でならない。


「母が此処に…違う。飛槻 楓の、娘です」

できる限り冷静になろうとした。でも無理だった。心配と不安が入り交じり、受付で待たされる時間すら惜しい。



「3階でお待ちです。」


その続きを聞く前に、3階へと走る。

エレベーターなんて待っていられない。

階段を使って駆け上がる。


3階に行くと、看護師が忙しそうに駆け回っていた。

その中で1人の看護師が声を掛けてきた。


「飛槻 楓さんの娘さんですね?こちらです。お母様は、医師の判断で…お部屋にいらっしゃいます。」

医師の判断?ということは、大丈夫なの?

疑問符しか浮かばない。元気あって欲しい。そんな祈りを胸に急ぎ足で向かう病室は、果てしなく遠い様な気がした。

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