第2話

高層マンションの最上階の部屋で、甘い声が部屋に響く。


大きなベッドの上で、陶器のような白い肌を顕にした女の腕を、易々と片手で押さえつけた男は片手で女の胸元に触れる。


「……っ、いや、」


「お前は俺の妻だ。拒否する権限なんてねぇ」


そう言って男は甘い声を響かせる女に、優しい口付けを落とした。



「こんなの、聞いてない…っ!」

女は——飛槻 紅葉は目の前の男を睨みつけた。


「自分で決めた道だろ。今更文句を言っても、何もかも遅い。」

睨みつけられようと怯まない男——夜白やしろ豹牙ひょうがは馬乗りの姿勢のまま、紅葉の胸元を愛撫し続ける。


「っ、はな、して、ってば、っ!」

「こんなに反応してんのにか?」


どこか嘲笑にも似た笑みを浮かべた豹牙は、硬くなった乳房の先端に舌を這わせた。


「?!」

声にならない様な声を上げた紅葉は、この男にも復讐しなくては——そんなことを考えながら、声を我慢しようと瞳を瞑る。

意識を逸らすべく、紅葉はここに至るまでの自分の経緯を思い返した。

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