人間族、ダイエッターたちからの相談 -1-

 ダイエットを繰り返し、栄養士からのアドバイスを聞かない上に身勝手なダイエットを繰り返しては痩せにくくなった人たちのことを、私はこう呼ぶ。「ダイエッター」。この世で一番手ごわい人たちだ。

「ダイエットの正しい知識を身につけて、デマに振り回されないようにしましょう」

 大抵の人は、そんなに重要だとは思わない人が多い。だから「まぁ、そのうちでいいよ」と言い訳して、そのまま放置している。いざ、体に異変が起きて、医者から「栄養不足」「糖尿病」「動脈硬化症」なんて言われると慌てだす。慌ててもすぐには治らないのになぁ、と思ってしまう。

 

 今日の相談者は人間族の女性たち3人からだった。私も人間族に見られているせいか、馴れ馴れしくため口で聞いてくる。


「ねー? ダイエットしたいんやけど、リバウンドしないダイエット方法ってあるの?」


 どう見てもやせているようにしか見えない人間族たちから聞かれて、私は「ため口で」即答した。


「あるよー。知りたいの?」


「どんなの?」

「それって簡単?」

「お薬飲んでいても痩せられる?」


「簡単だけど、気力とあきらめない心がいるよ」


 この世には短期間ダイエットで一時的に痩せる方法が溢れている。知っているだけでも「それだけしか食べないダイエット」が多くて、うんざりする。例えば「リンゴだけ食べて痩せる」「バナナだけ」「おかずだけ食べる(糖質抜き)」などだ。


「私、ダイエットしたいの。医者からも痩せなさいって言われた。だけど、どうやっても痩せない」

「どうすればいいの?」

「副作用のせいかな? なにをやってもダメなの」


「そうなんだね。良かったらサポートに入ろうか。でも途中であきらめたら、放置するけど、それでもいいかな?」


 まずは、と戸棚から取り出した「ダイエット用 特製ノート」を1冊ずつ渡す。表紙には名前、身長、現在の体重、理想の体重を書いてもらう。わーきゃ、わーきゃ、いいながら熱心に書いている。そして1ページには日付、1日分の食事の内容、おやつ、飲み物を書きこめるようになっている。


「まずね。今の食事状態を知りたいから、とりあえず1週間、食べたものをこのノートに書き込んで。あと、今の病気以外の持病みたいなものある?」


「うん。甲状腺機能(ハシモト)病がある。それ用の薬も飲んでるけど、浮腫(むく)むばかりでね。効いているのか効いていないのかが分からないのよ」


 人間族の1人が言う。ハシモト病っていうと、あれだ。たしかー、と思い出す。

「じゃあ、ヨウ素はとっちゃだめね」


「うん、あたり。ヨウ素って何? 医者に聞いても教えてくれない」


「ヨウ素は栄養成分の1つで、海藻とか、その海藻をエサにしている魚に含まれているの。人間の体にも含まれていて、一番多いのは、たしか、甲状腺ホルモンを作るのに必要だったはず」


「そのー、甲状腺ホルモンって、体内で何をしてくれるん?」


「そのホルモンは全身の基礎代謝量の維持とか、基礎代謝量が上がるようにする維持的な位置のホルモンよー」

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