第9話 悪魔堕ち・・・?

ボクが目を覚ましたのは保健室のベッドだった。

「ヒロト大丈夫?」

「哀…大丈夫だよ、ありがとう。」


アスタロトの声もミカエル様の声も聞こえない…。

なぜあんな技をボクは出せたのだろうか。


「ヒロト凄かったよ~びっくりしちゃった。」

「あれ…いつもヒロトくんじゃなかったっけ?」

「そうだったね…まあいいじゃない?」


戒斗の姿が見えないけど…。

「戒斗は?」

「さっきまでいたんだけど…どこいったのかな?」


そのころ戒斗は学校の屋上にいた。

ヒロトがあんな技を出すとはちょっとびっくりだったな。

“そうだな…。”

『で?なんでお前オレに憑いたんだ?』

“なぜだろうな…ククク…。”

『ヒロトの中から動けるだけチカラもどってたのか…。』

殆どの闇を浄化したはずなんだが…。

やはり上級ともなると違うのか?


いや…まてよ…だったらもっと早くヒロトから出て行けただろ?

『お前…何を考えてやがる?』

“キサマの抱えてる闇の方が美味そうだしな…。”

そういうことか…。

そうなったら自分に刃を突き刺すだけだけどな

“最初にやっておくべきだったな…。”

“もうキサマは我のものだ…。”


『な…んだと?』

身体が動かねぇ…くそ…!!


うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!


“こいつはいい…やっと自由に動ける器を手に入れたぞ…。”

“ヒロトの身体は奴がいたせいで乗っ取れなかった…がな。”


くそ…ヒロト…哀…すまねえ…。

せめて…神威だけでも…。



ー 保健室 ー


戒斗!?

今…戒斗の声が…?

「哀!!戒斗の声が聞こえなかった?」

「え?何も聞こえないけど?」

「ボク戒斗を探してくる…。」


ガチャッ…。

ベッドから起きようとしたとき手に何か当たった…。

なんだ…?


「これ…戒斗が持ってた神威じゃないか!」

「なぜここに…!?」

「まさか…戒斗になにかあったんじゃ?」


ボクたちは戒斗を探し回った…。

けれどどこにも姿はなかった。

「戒斗…いったいどこに…。」


【すまないヒロト…哀と一緒に急ぎ天界へ向かってくれないか?】

【アスタロトに戒斗は…悪魔堕ちしたかも知れない。】


なんだって!?

それでアスタロトの声が聞こえなくなったのか。

急がないと取り返しのつかないことになる…。


「哀…ミカエル様の声がやっと聞こえた…。」

「戒斗の身体が乗っ取られた…。」

「えええ!?そんな!!」

「哀、ボクを天界へ連れて行ってくれとミカエル様が…。」

「わ、わかった…でもそれじゃヒロトは…。」


【ヒロトの命はワタシが保証しよう…。】


「哀、急いでくれ!」

「う、うん!」


バサッ…!

哀の羽根はホントに真っ白でキレイなんだな…。


ボクと哀は天界へ急いだ。

きっとミカエル様になにか考えがあるんだろうと思っていた。

今のボクじゃこの神威は使いこなせない。

ボク自身が強くならなければ…。






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