第7話 哀の過去・・・
ミカエル様から四大天使の捜索を依頼された…。
ガブリエル様は天界にいると思われる。
ミカエル様はボクの中に…。
残りはウリエルとラファエルの2人。
ボクの学校の生徒のなかに同じく宿している人が居る・・・?
簡単に探せるのだろうか。
アスタロトの言う通り悪魔の存在も気になる。
取り敢えずボクたちは家にもどった。
「母さん、ただいま…。」
「あら?早かったのね…もしかして具合よくないの?」
「大丈夫だよ…。」
おじゃまし~す!
じゃまするぞ~。
「あなたたちは…ヒロトのお友達かしら?」
母さんはあの時に戒斗や哀の記憶はなくしている
説明も面倒だから友達ってことにしておいた方が良いかも知れない。
「戒斗に哀…一応クラスメイトだよ。」
よろしく~。
「ヒロトが女の子連れて来るなんて母さん嬉しい~。」
「母さん…。」
「ヒロトをよろしくね。」
「か、母さん…もういいから…。」
「ご飯食べていってね!」
ありがとうございま〜す!
『前から思ってたんだけどよ?』
「ん?なにを?」
『ヒロトの母さんってハーフか?』
「まあ、ソレを言うならボクがハーフなんだよね」
『は?』
『いやどっから見ても日本人だろ。』
ボクは小学生の頃青い目が気持ち悪いってクラスで言われてから
カラコンを使っていた…茶色の瞳に見える様に…。
『そっか…。』
「ヒロトくんのお母さん元気そうで良かった。」
哀が空気を察したのか話題を変えてくれた。
「母さんは…女の子が欲しかったらしいからね。」
「へ〜。」
『そうなのか…。』
「なーんかさぁ~前から思ってたんだけど…ヒロトのお母さん見てるとさ…
懐かしいなあって気分になるんだよね~変だね。」
懐かしい?
それは哀が人としての記憶なのかな?
戒斗はハッキリと覚えてるようだけど哀はどうなんだろう?
「哀…聞いてイイかな?」
「え?なにを?」
「答えにくかったら答えなくていいんだけど…。」
「だからな~に?」
「哀って昔のこと覚えてるのかな?」
「……。」
聞いてはイケない事だったのかも知れない…。
「ごめん…忘れて…。」
『ヒロト…哀は昔のことは覚えてねえよ?』
「そうなんだ…ごめん」
「覚えてるよ…お母さんの鼓動、やさしい声…。」
「でも…顔は知らない。」
「私は生きて産まれなかったんだって神様がいってた。」
「ごめん…辛い事思い出させたね…ごめん。」
「あは、いいんだよ~気にしないでヒロトくん!」
そういえば、一度だけ母さんから聞いたことがある
ボクにはホントは姉さんがいたらしい…と
でも死産だったと…。
まさか…な…。
「じゃあ、哀って名前は誰が…?」
「神様がくれたんだよ?」
私は…愛を知らない…。
哀しみの子だから…。
誰かを好きってこともわからないんだよね〜。
哀しい子、哀れなって意味の哀…。
そんな名前を神様が…?
『もういいだろ…ヒロト…。』
「あ、うん…ごめん…。」
『それより今後どうするかだろ?』
「うん…そうだね…。」
『ヒロトお前なに泣いてんだよ!』
なぜかボクは急に申し訳なく思い悲しくなってしまった…。
「いや…ごめんなんでもないんだ…。」
「もうしょうがないな〜ヒロトくんは」
ギュッ…。
そう言うと哀はボクを抱きしめてくれた…。
「哀…ごめん無神経だったね」
「良いんだよ〜…。」
「泣かないの〜よしよし」
【そうか…哀…この者は…。】
【いまは…言うまい…。】
“なんだ?言えば良いだろ?”
【貴様にはわからない事だろうな!】
“なにを言っている、それぐらい分かるわバカにするな!!”
あのさ…ボクの中でケンカしないでよ…。
ケンカするなら出ていってくれても良いんだよ?
“わ、わかったよ…。”
【すまないヒロト…。】
なんか素直過ぎて拍子抜けした…。
結局、対策らしい対策はなかった。
ボクはおびき出して戒斗が神威でズバーン…それで良いんじゃね?
だそうだ…。
晩御飯の支度をする為に母さんは買い物に出かけようとしていた時に
哀が私も行きたいと言い出し着いて行った。
「あいちゃん、ありがとね助かるわ」
「いえいえ〜。」
「うちにもあいちゃんみたいな子がいたら良かったなぁ…なんてね。」
「ねぇ~ヒロトのお母さん。」
「なに?」
ヒロトの母と哀はどことなく似ていた
金髪に青い瞳…端から見ると親子かと思うくらいに…。
「金髪に青い瞳…綺麗ですよね!」
「ありがとう、私は…ドイツ出身なの。」
「でも日本語お上手ですよね〜。」
「こっちに来て20年になるかしら…。」
母は日本に語学留学で来ていたが父と出会い
交際を始め妊娠をキッカケにそのまま結婚したと…。
「へ〜いいですね!」
「その時の子供がヒロトくんなんだ〜」
そう哀が言った時、母の顔が曇った…。
「こんな事、あいちゃんに言うのも変だけど聞いてくれる?」
「はい!」
哀は笑顔でそう答えた。
「実はね…。」
最初に妊娠したのは…ヒロトが産まれる2年前の話しなの。
「その子はどうしたんですか?」
産まれて来た時は…既に亡くなっていたの…
産まれていたらあいちゃんくらいかな…。
女の子が欲しかったから嬉しかったのに…。
元気に産んであげられなくてゴメンなさい…って…今も思い出すの…。
「へ…へぇ〜…女の子だったんだ…。」
「あいちゃん?」
哀が泣いていた…。
母は突然のことに気がつけば哀を抱きしめていた…。
「ゴメンなさい…変な話しを…。」
この心音…この優しい声…。
そうか…私は…この人に…このお母さんに愛されてたんだ…。
「あいちゃん?大丈夫?」
ぐす…。
「大丈夫です…。」
ヒロトは…私の弟だったんだね…。
でも…この事は秘密にしておかなきゃ。
姉が天使だなんて言えないよね…。
「お母さんって呼んでも良いかな?」
「はい…良いですよ!」
厶ギュ〜ッ…。
「お母さん…。」
わぁぁぁ~…。
哀は小さな子供の様に泣き出した…。
母は驚きもせずに優しく抱きしめた。
良かった…私にもお母さんがちゃんといたんだ…。
「Mutter liebe ich…。」
“お母さん愛してる…。”
「Ich auch」
“私もよ…。”
しばらくして母さんと哀が帰って来た…。
母さんも哀もニコニコしている…。
きっと何か良いことがあったのだろう。
「今日はごちそう作るわね!」
「手伝うね!お母さん!」
「はい、お願いね。」
「戒斗…哀って料理するんだ?」
『あぁ…見た目はプロ級だぞ?』
「見た目…?」
『味は破壊力バツグンだ!』
グッ!
スパーン!!!!
誰の料理が核兵器だってぇ〜!?
言ってねぇよ!
言ったよ!ねぇヒロト?
言ったような言わないような?
哀は何か吹っ切れたように感じるし
彼女の笑顔は周りをなごませる。
いいムードメーカーになってくれそうだ。
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