第6話 新たなる使命

ボクは何のために頑張ってきた?

母さんの笑顔をみたいから?

周りから認められたいから?

それとも…。


『ウジウジ悩んでるんじゃねえよ!』


「戒斗…。」

ボクは戒斗に騙されているの?

どうなんだよ…。

言葉が出そうになったが飲み込んだ。


『なんだよ…オレじゃ不満か?』

「いや、そうじゃないよ…。」

「ただボクがやろうとしている事は…。」

『本当に正しいのか…か?』

「う、うん…。」


『それで救われる魂だってあるだろ?』


“殺してしまえば楽になれるぞ?”


『黙れ…アスタロト…。』


“どうしたのだ?戒斗。”


『やはりオマエは…悪魔だな…。』


“貴様も堕天だろうに…。”


“ヒロトも殺した方が良いと思っているだろ?”


「違う…。ボクはアスタロト…あんたとは…違う!!」


“何が違う?憎しみしかないだろ?”


「ボクは…人は殺さない…闇に巣食う悪魔を殺す!」


“どうやって…何もチカラの無い貴様が”


『チカラならあるさ…。』

『ホント聞き分けの無いやつだな…。』


スチャッ…。

戒斗は古びた刀をボクに向かって構えた…。

「か、戒斗…?」

『ごちゃごちゃ煩いんだよ!』


ドスッ!!

戒斗は刀をボクに突き刺した…。

「うわぁぁっ!!!」

あれ…痛みが…?


“ぐわぁぁぁぁ!!貴様何を…!?”


『この刀は人は殺さない…が…。』

『人の闇に棲む貴様らなら殺せるんだよ。』


“な、なんだ…その刀は…!!”


『妖刀神威!!』


シュバッ!!


“カハァッ!!”


よ、妖刀…カ、カムイだと…?

ぐあっ…そ、そんなものがぁぁ~…。


「アスタロトは…?」

『ヒロトが心の宿していた闇は殆ど消え去ったからな…。』

『居なくなってはいなけどな…チカラは殆どないはずだ。』


「そうなんだ…って…もしボクのことも斬っていたらどうなったのさ!?」


『あ~…そこで試し斬りしてみて大丈夫そうだったからな』


え…そこでって…まさか戒斗…会長を斬った?


『だってあいつムカつくだろ?』

『もし間違って斬ってもいいかな?って思ってな!』


「いいわけないだろ!!」


『そろそろ出て来ても良いんじゃないか?ミカエルのおっさん!』


【キミはクチが悪いな…。】


「ミカエルって…?大天使ミカエル!?」


『いまは昔のようなチカラは無いけどな…。』

『あの程度の闇で動けなくなっていたんだからな!』


ボクの中にいたのはまさかの大天使だった…。


【まさか人の子の中に宿るとはな…。】


ガブリエルが夢にでてきたのはそう言うことだったのか。


【ヒロト、戒斗キミたちに頼みがある】


『また面倒くさいことか?』

「戒斗…言い方…。」


【まあそう言うな…。】


『大方、残りの四大天使を探せとか悪魔を滅ぼせだろ?』


「え?」


【理解が早くて助かる。】


『イヤだよ御免だね。』

『オレは追放された堕天使だ…何でオレに頼むんだよ?』


そうだ…戒斗は追放されたんだ…。

堕天使の戒斗には言ってしまえば関係ないことだ…。

戒斗には…関係ない…?

いや…あるだろう…。


「戒斗…ボクがやってみたいって言ったら?」

『あ?行かねぇよ…。』


「そうだよね、ボクが他の悪魔に取り憑かれてもキミには関係ないことだよね。」


『……。』


「ボクにはカムイの様な刀もないからアッサリやられるかも知れないけど…。」


「ミカエル様…ボクはやってみます。」


【そうか…ならばワタシの眼を貸そう】


その眼があれば悪魔に憑かれている者も見分けられるワタシの様に人の中にいる同胞を見つけ出せよう…。


『あぁ…もう!!』

『わかったよ行けば良いんだろ?』


【戒斗…ワタシの独断で準天使に昇格させる…。】


『いや…それはこの仕事が完了してからにしてくれ…。』


【そうか…。】


これから長い旅になりそうだ…。

母さんになんて言おうかな…。


【その心配は無用だ…。】


「え?どういうことですか?」


【ヒロトの学園にいる気配を感じる】


『なんだよ楽勝じゃねぇか。』


“フフフ…何も知らぬのだな…。”

“この地は今より数千年前に我らと忌々しい天使が戦った場所だ…。”


『なんだと…?』

「という事は…悪魔もかなりの数が眠っている?」


“まあそう言うことだ…。”


『そうか…そう言うことだったのか。』

「戒斗?」

『アスタロトの様な上級の悪魔がこんなところに居るハズが無いと思ったら…。』

『ここも戦場になっていたのか…。』


【ワタシたちがチカラを失ったのはもっと後の話しだがな…。】


「四大天使は…あと2人だね。」

『あ?なんで分かるんだよ?』

「ボクにメッセージを送って来たんだよ夢だけどね…。」

『だれが?』

「あ…戒斗危ないかも?」

『あ?』


キラッ!

「カイト~~み~~つけた!!!」


ドカァッ!!!

『ぐはぁぁ!!!』

『くそ哀!!何しやがる!!!』


「うっさい盗っ人!!」

『なんだよ!』

「神様の宝物庫から妖刀を盗んだでしょ!!」

『あ~…どうだっけな?』


【神威のことは不問にする…。】


「え?ヒロトなに言って…?」

「あ、ボクじゃないよ…ミカエル様だよ。」

「はぁ?」


【哀と申したな準天使か…。】

「あれ?え?えええ??」

「ヒロトの中には悪魔でしょ?なんで?」


『まあ落ち着け…状況説明してやるから…。』


ボクたちは哀にこれまでの経緯いきさつを話した…。


「なるほどね…それなら私も手伝うね!」

「哀!?」

『いやいや・・・お前は邪魔だ…。』

「なんですって~?」


何だかんだとあったがまた戒斗と哀と3人で行動できるのが

ボクは嬉しかった…。

そういえば…哀といると気持ちが落ち着くのは何故なんだろう。













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