第5話 ボクは…。
その夜、夢を見た…。
天使がボクに語りかけてくる夢だった。
哀?いや…違うか…誰だ?
私は大天使ガブリエル…神からのメッセージを伝えに来ました。
人が人を粛清することは傲慢の何ものでもありません…。
考えを改めてください。
それは神のみが行える行為なのです。
神様は何もしてくれないじゃないか!!
いくら祈ってもお願いしても…。
弱いものは
そんな世の中は間違ってるんだ!!
だから…ボクは!!!
ヒロト…騙されてはイケませんよ?
よくお考えなさい…。
ボクは騙されている?
戒斗に?
アスタロトに?
アスタロトは神と戦いでチカラを失い人の闇に寄生してる
ヒロトあなたが罪を犯すことであなたの闇が膨れ上がり
アスタロトの力の源になるのです。
あなたには天使のチカラも宿っているはずですよ?
天使のチカラ…?
よくお考えなさい…。
夢だったのか…?
ボクが目を覚ますと戒斗はどこかに行っていた…。
アスタロト?
“……。”
ボクの呼びかけに答えない…か。
哀が居てくれたら相談もできたのに…。
「私がどうしたって?」
「え?」
「ヒロトくんお久しぶり~。」
「でも、どうして?」
「なにが?」
戒斗が神様が人間界に行くなって命令が出たって
言ってたけど…?
「あぁ~それね…。」
「ちょっと事情がかわってね…。」
ヒロト~起きてるの~?遅刻するわよ~。
「母さん今行くよ!」
「あ、そうだ…哀…母さんを救けてくれてありがとう。」
「よかったね。」
「うん!哀も学校いくんだろ?」
「あぁ~今日もパス…。」
「じゃあボクは行くよ…ありがとう」
「うん、気をつけてね~。」
さてと…戒斗を探さなきゃ…宝物庫から盗んだものを
取り返さなきゃ…。
よりによってアレアレを盗んでどうする気なのよ
例え戒斗に恨まれてもやめさせなきゃ…。
ヒロトくんまで巻き込むなんて許さない。
「じゃあ、母さんいってくるよ。」
「はい、いってらっしゃい」
目につくんだよなぁ。
特にあの生徒会長…気になるな…。
「おや?杉沢くんじゃないか今日は登校したんだな。」
げっ…。
「ん?いま、げっ…って言わなかったかい?」
「気のせいですよ…。」
「というか…会長あの話し本気ですか?」
「あの話し?なんのことだい?」
え…?
「いや…なんでもないです。」
「あぁ…そういえば…。」
「はい?」
「来週の学力テストも期待してるよ。」
「キミには次期生徒会長になってもらいたいからね。」
何を言ってるんだ?
生徒会長?ボクが?
それにしても、この前と雰囲気も全然違うぞ…?
いったいなにが?
“逃げたな…。”
アスタロト?
逃げたってどういうことだ?
“あの者に憑いていたヤツが逃げたのだ”
“やはりあの時に殺しておくべきだった…。”
まさか…会長に悪魔がとりついていた?
“ヒロト…獲物は早いうちに狩れ…逃げられては意味がない。”
意味がないって…何を言って…。
【ヒロト…騙されてはイケませんよ?】
ボクは…騙されてる…?
いや…そんなことはない…心に闇を抱えてる奴を…。
待てよ…闇を抱えてるってことは
悪魔が棲みついてるだけじゃないのか?
なにも命を奪う必要は無いだろ…?
闇さえ祓えたら…会長のように正気に戻るかも知れない。
アスタロト…キミの狙いはなんなんだ?
“それを知ってどうする?”
“戒斗とやらに協力すると言っていただろ?”
それは…。
祓うだけじゃダメなのか?
“フフフ…ダメだな…。”
“そいつの命を奪うことに意味があるのだ…。”
何だ…この違和感は…ボクに人を殺させて
なにを…?
そういえば…夢でガブリエルが
アスタロトはそれを餌にしてチカラを
貯めようとしているって…。
たしかに裁かれるべき人間が裁かれないのは不条理だと思う。
人を殺しておいて無罪を述べ生きている。
自分の子供を酷い目に遭わせておいて…。
でも、もしかしたら…?
ボクは決心が揺らいでいた…なにか間違ってる気がしてきた。
【人が人を粛清するのは傲慢ですよ…。】
でも…神様はそれをしようとしない…!
だからボクが…。
ちがう…ボクじゃない…。
ボクの闇の中に取り込むのはアスタロト…。
だったら…いまのうちにボクが居なくなれば済むことじゃないか。
そうだよ…。
ボクは居ない方がいいんだ…。
なんの役にも立たないボクは…要らないよね…。
母さん…。
ヒロトの心が沈んでいく…。
このままではヒロトの心は壊れてしまう。
闇に飲まれた人ほど操りやすい
アスタロトの思うつぼになってしまう…。
“いいぞ…壊れてしまえ…フフフ…。”
そのときヒロトの中にもう一つの何かが目覚めようとしていた。
それは夢でガブリエルが言っていた天使なのか…。
はたまた最悪の者なのか…。
哀…ボクをたすけて…。
戒斗…。
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