第4話 粛清されるべき者・・・。
ヒロトの中の悪魔が目覚めた…。
それは哀や戒斗にとっては喜べることでは無い
本来ならそれを阻止することが目的だったからだ。
アスタロトの目覚めの方が予定より早かったというより
ヒロトがそれを承認し共存を望むという予想もしないことだった。
悪魔との共存…それがどういうことなのかこの時まだ
ヒロトは知らない…アスタロトもそれを愉しもうとしている。
罪を裁くのは法では無いボクだ!!
弱いものを虐げるいまの世の中を変えていくなどとこの時は
まったく考えていなかった。
ただ一人を除いて…。
ヒロトが目覚めたときヒロトの母が傍に居た…。
「ヒロト…大丈夫?」
「ボクより母さん…大丈夫なの!?」
「え?母さんは大丈夫よ?見ての通り元気元気!」
あれ…母さん少し明るくなったような?
それに父さんのことも覚えてないのかな?
“天使どもが母親の忌まわしい記憶を消したのだ…。”
そっか…哀が…。
“ヒロトお前は我に何を望む?”
なにも望まないよ…。
ボクは…。
“ほう…。”
「ヒロト、学校へは明日から行くって連絡してあるから
今日はゆっくり休みなさい。」
「あ、ありがとう…母さん。」
“いい母親だな…。”
ボクの闇の元凶は父さんだったんだ…。
ずっと…お父さんは母さんを虐めてきた…。
母さんもいつしか抵抗するのをやめたんだ…。
ただそれがボクにたいするものだったら母さんは身体を張って守ってくれた。
自分が傷だらけになっても…そういう人なんだよ。
だから、ボクは母さんを…。
“なるほどな…。”
ボクはまだ…いまはこのままで居たい。
それを許してくれるならアスタロト…あなたと共にありたい。
“悪魔との共存か…面白いな…貴様は。”
そういえば…戒斗と哀はどこへ?
ボクがこんなふうになってしまったから
天界に戻って報告と対処を考えているのかも知れない…。
ボクは神様からしたら粛清される者…。
“そうでは無い粛清されるべき者は…。”
“他にいる…。”
他に?誰だ?
“それを決めるのは…。”
『ヒロト…どうだ具合は?』
「戒斗…どこへいっていたんだ?」
『なんだ?寂しかったのか?』
「そんなんじゃない…哀もいないし。」
母さんの事を救けてくれたのに
ボクはお礼を言ってない…。
『哀なら…もう来ないぜ?』
「え…?なぜ…?」
『お前の事があってオレたちは
「そうだったのか…。」
『そしたら
「ボクを…殺せ?」
『バーカ違うよ!』
『もう人間界に行く事は許さんだと。』
“ヤツらしいな…。”
「どういうこと?」
『
「それなのに戒斗はなぜ?」
『オレは…天使じゃないからな。』
「そして、悪魔でも…ないよね?」
『おま…どうしてそれを…!?』
「キミの過去話を聞いて思ったんだ。」
キミは天使になれるハズだったのに
結果的に両親を殺した…。
堕天の烙印を付けられたんだろ?
『わかってたのか…でも…少し違う。』
『オレは天使だった…哀と一緒にな。』
『オレたちは今みたいに人間界に来て生命の尽きた魂を
天界に引き上げる仕事をしていた…。』
だがあの日…哀ミスをした…。
まだ助かるハズだった命を奪った。
そしてオレが罪を被った…。
元々オレは天使なんて柄じゃないしな…。
そして天界を追放された…。
行くところも無くフラフラしているところをチャンスをやると言われて…。
ヒロト…お前のところに来たってわけさ。
『結果はお前も知っての通りだよ…。』
「ごめん…。」
ゲシッ!!
「痛ッ!」
『バカ…謝るんじゃねえよ!』
「でも…。」
ニヤリ…。
オマエは法律で裁かれない…やつらを裁けるチカラを手に入れたんだぞ?
悪魔のチカラを…。
「戒斗…キミは何がしたいんだ?」
オレは…オレと同じような子供を助けたいだけだよ…。
でも、虐げている奴らは自分が悪いことをしているとは思っていない。
遊びの延長…自分の子供だから何をしても構わない…人を人と思っていないヒロト…オマエのオヤジの様にな…。
だけど…その子にとってはたった1人の…親なんだよ…。
だから何をされても嫌われたくない…いつかはパパもママも愛してくれる…。
いつかは…いつかは…ってな。
子供は親にすがるしかねぇ~んだよ!!
はぁ…はぁ…。
「つまり…戒斗はボクにチカラを貸せと…そう言うことだね…。」
『だが…オマエは罪を背負う事になる』
『それがどういう事かわかっているか?』
ニコッ…。
まともな死に方は出来ないってことだろう?
いいさ…やってやるよ…神を敵にするのも面白い
『神か…。』
『敵は人間の皮をかぶった悪魔どもだけどな…。』
いまさらヒロトから逃げんなよ?
アスタロト…。
“逃げはしないさ…。”
“天使と呼ばれていた貴様と行動を共にするのも面白い。”
ヒロトの中のもう一つの者が目覚める前に…。
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