第3話 哀の役目、戒斗の役目
戒斗はボクを助けてくれた…2度も…。
そんな彼が悪なわけが無い…。
そういえば哀は何か言いたげだったよな。
思えばボクはキミたちのことは何も知らない…。
知らない人を信じていいのだろうか…。
ボクは…知らないうちに眠りについていた。
“そいつらを信じるな…。”
ボクはお前のことも知らない…。
お前がボク?
どういうことだ…?
“知りたいか?ならば…教えてやろう…。”
「ヒロト!ダメ!!」
“チッ…。”
!!?
「ヒロト!!起きてよ!!」
『どうした?』
「様子を見に来たら…ヒロトが!」
『おい!ヒロト!!起きろ!!』
ゲシッ!!
「いてっ!!」
なんだ?何かに蹴られたような…?
ボクは目を覚ました…。
って…戒斗?それに哀まで…なんで?
「というか…戒斗おまえボクを蹴っただろ?」
『いや?』
「ホントの事いわないと…こうだ!!」
コチョコチョコチョッ!!
『ぎゃはははは…やめ…やめろ!!』
ゴン!!
「いって~~…。」
ぷっ!あはははは…。
「バッカみたい…あははは…。」
『ムッ…なんだよ哀…。』
戒斗は少し照れくさそうにしていた…。
『ヒロト…油断するなっていったよな?』
「あぁ…うん…。」
「戒斗…ヒロトにあのこと話した方がいいんじゃ?」
『そうだな…。』
あの事?
それは、ボクと同じ境遇だった子供の話しだった。
その子も心に闇を抱えてそこに魔物が棲んでいたそうだ。
普段から虐待を受けてて満足に食事も与えられていなかった。
ある日、両親に理不尽に叱責され押し入れに閉じ込められた時
事件はおきた…。
その子は暗く狭いところに恐怖を感じた…。
殆どの子供はそうなのだろうけど…閉所暗所恐怖症…。
その子は叫び続けた…。
ごめんなさい!!ごめんなさい!!と何度も何度も声が枯れるまで…。
でも、両親は気にも留めなかった…。
数日後、その子は死んだ…。
そして…闇の中から魔物が姿を現した…。
“オマエタチガ、イケナインダ…。”
“ボクハ、ワルイコトシテナイノニ…。”
“ユルセナイ、ユルセナイ…!!!”
両親はその姿に恐怖し命乞いをした
もう二度とこの子を虐めたりしません…と
死んだことにすら気がつかない。
“シネ…。”
両親は跡形もなく飲み込まれた…。
そして…その子供っていうのは…。
『オレだ…。』
え…?
「戒斗が…?」
『あぁ…そしてオレは地獄の世界に堕ちた…。』
「バカ戒斗、そこまで話さなくていいのに。」
『あ…そうか…。』
戒斗が…両親から虐待を受けていたって…。
だから、ボクをたすけてくれた?
いや…おかしくないか?
戒斗は被害者なのになぜ地獄に堕ちた?
両親が堕ちるのはわかる…戒斗が…絶対オカシイ…。
「戒斗…その話…。」
『ん?』
「いや…なんでもない…。」
キミは…本当は天国にいけるはずだったんじゃないのか?
「とりあえず…いまヒロトがしなきゃいけないことは…。」
「自分を見失わない事だね!」
「あのさ…前も聞いたけどさ。」
「うんうん何かな?」
「なんで哀と戒斗は一緒にいるんだ?天使と悪魔なのに…。」
『だから~
神様をジジイって呼ぶのはどうかと思うが…。
神様は何を二人にさせたいんだろ…?
きっと、それぞれに役割があるはずだよな…。
哀の役目は…ボクの心を癒し魔物の復活を阻止?
じゃあ…戒斗は?
悪魔ならそれを邪魔するのが役目じゃないのかな?
むしろ二人で協力してる気がする。
もしかして…戒斗は悪魔じゃなく…堕天使?
人を自分の意志じゃなくとも殺してるから天使になれない
だから…ボクをたすけて…いや考えすぎか…。
『ヒロト…半分正解…。』
え?心を読まれた?
“ヒロト…獲物が来るぞ?”
獲物って…なんだ?
“すぐにわかる…。”
うっ…ううう…。
『おいヒロト?どうした?』
「ヒロトくん!?」
ガシャーン…!!
あなた!!やめて!!
うるせえ~~オレの家だ何しようと勝手だろ!!
「か、母さん!?」
ボクは慌てて居間にむかった…。
そこには…父さんがいた…。
「母さん!!」
「ヒロト逃げて~~!」
「おう…ヒロト…お前もこっちこい!」
「やだ…。」
お前もヒロトもオレの所有物なんだよ!!
だまってオレのいう事聞いてればいいんだよ!!
「所有物って…ヒロトくんはモノじゃない!」
『オッサン…あんたは…。』
「おまえ…この前もいた小僧だな?」
あなたもうやめて~~~!!
母さんダメだ!!
ザクッ!!!
「ぐあ…お前…なにを…?」
母さんは父さんをナイフで刺した…。
「もう…やめて…あなたお願い…。」
「この…バカ女がぁぁぁ!!!」
父さんが振り向きざまに母さんが持っていたナイフを取り上げ
母さんの胸に突き刺した…。
ドクン…ドクン…ドクン…。
かあさん!!!
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
ヒロトくん!!
ヒロト!!ダメだ!!!
ザワザワ・・・。
ヒロトの様子が変わった…。
“今度こそ…殺してやる…。”
「ヒロト…殺すのか親を?父さんを!?」
“お前は親じゃない…許さない…!!”
哀!!かあさんを…救けて!!
「ヒロトくん…!?」
はやく…お願いだ!!
「わ、わかった…任せて…でもヒロトくんアナタは!?」
“お前を殺すのはボクじゃない…心の闇に飲まれて死ね!!”
「なんだ!?なにも見えない…おい!!何をしたぁぁぁ!!」
「お…。」
ヒロトがそういい放つとヒロトの父は闇に包まれ消えた…。
『お前…ヒロトか?』
“我が名はアスタロト…。”
『まさか…そんな大物だとは…な…。』
“貴様らは我に敵対する者か?”
『いまのところはそんな気はない…。』
「ヒロトくん!!お母さんは大丈夫だよ…戻って来て!!」
そうか…よかった有難う哀…。
“ヒロトか…この者は優しすぎる…我を受け入れ共存を望んでおる”
“ふははは…面白い…。”
“我が必要なら呼ぶがよい…では、さらばだ。”
このあとヒロトは三日三晩ねむった…。
『とりあえずこのことは
「そうね…。」
「まさかこんなに早く目覚めるとは…アスタロト…。
悪魔の中でも上級の悪魔よ?」
『そうだな…ちょっと厄介だな…。』
『オレたちだけで…。』
でも…こいつは利用できるかもしれない…。
オレは哀とは違う…きっとこっち側なんだろうな。
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