第2話 ボクはどうしたら・・・

父さん…死んでくれ…。

ボクはそう呟いた。


「それが…親に対する言葉かぁぁぁ!!!」

「ヒロト…父さんに謝って…。」

「謝っても遅い…。」


ザワザワ・・・。


「母さん…ボクの中には…。」


ドックン…!

“ボクの中に何かいる…。”


ピーポーピーポーピーポー…。


ウゥゥ〜…。


誰かが通報したようだ…。


「お巡りさ〜ん!こっちで〜す!」



「はい、はーい…そこまで〜。」

「戒斗もそこまでよ!」

『あ!?』


ガンッ!!


『ってぇ〜な殴る事ないだろうが!!』

ボソッ…。

“あなたにこれ以上罪は犯させない。”

『ちっ!』


哀が通報したおかげで…。

父さんは警察官に取り抑えられた。


「この…クソガキ共…覚えてろよ!」


「べーだ!」


『覚えてろよ…か。』

『ヒロトのヤツ…危なかったな…。』

「そうだね〜お父さんに殺されたかも」

『バカ逆だ…。』

「え?」


ボクはその後入院させられた…。

被害を受けた母さんは父さんを告訴することはしなかった…。

警察署から接近禁止令を受けただけだった。


いつかフラっと来るかもしれない…。

その時は…ボクはきっと…。


         ・

         ・

         ・

そして現在ー…。


12月か……。

外はすっかり冬だなぁ

寒いのはキライだ…。


「ちょっと戒斗みてみて〜雪だよ〜」

キャッキャッ

『あ?うっせーんだよ!』


ここは進学校だ…。

それなりに試験は難しいはずなのに


「なぜキミたちがいるんだ?」

『何でだろうな?』

「私たちも高校生やってみたいもん!」


いやいや…。

何だその理由は

そもそも編入試験はどうした?


ひゅひゅ〜♪…。

誤魔化すな…。

しかも吹けてないし…。


「ところでヒロトくん…。」

「え?」

「いま好きな人とかいないの~?」

「いないよ…ボクは他人には興味がないから…。」


「えー…つまらないなあ」

「そういう哀はいるのかよ?」

「いるよ~ねぇ戒斗~。」

『知らん!』

バシィッ!!

『いって~~!!』


確かにお似合いだよキミたち…。

お笑いやったら売れるんじゃないか?


「ねえヒロトのお父さんって前からあんなんだったの?」

『おい…哀、今それいう事か?』

「そんなわけがない…。」

「少なくともボクが小学4年までは普通の家族だった。」

「そっか…。」


もしも、お父さんが心を入れ替えて許して欲しいって言って来たら?

それは…たぶんありえない…。


『哀…もうやめろ…。』

「あ・・・うん、ごめん」


『さきに帰る…。』

バサバサバサ・・・。

「ちょっと…飛ぶな!!」


「あのさ…哀…ボク思うんだけど…戒斗ってホントは悪魔じゃないだろ?」

「え…ど、どうして?」


「あの羽…あれは天使の羽じゃないか?色は違うけど…。」

「悪魔の翼では無い気がする…。」

「……。」

「あ、ごめん…なんとなくそう思っただけだから…。」

「キミが鋭いね…。」


でも、ごめん…それは言えない…。

そのうち戒斗が自分から話すと思うから


「そっか…。」


キーンコーンカーンコーン♪


放課後…。

哀は戒斗が心配ということで先に帰った。


そろそろ帰るか…。


「あの相沢くん…。」

「ん?」

「ちょっと2年生が呼んでるんだけど?」

「上級生には知り合いはいないけど…?」


ドン!!

きゃあっ!!

そいつらは女子を突き飛ばして教室に入って来た…。


「おまえが相沢だな?」

「ちょっと付き合ってくれ」

「拒否権は?」

「そんなものあるわけねえだろ!」


進学校といってもこういう輩が居るんだな…。

そうか…こいつらスポーツ特待生か。

弱そうなやつ自分が気に入らないやつを見つけると標的にする。


やはり人気ひとけのない場所を選ぶか…。


「あの…どこまでいくんですか?」

「黙ってついてこい…。」


定番の校舎裏あたりか?

黙って着いていくとそこには文字通り大ボスがいた

「生徒会長…ですよね?」

「ほう…1年のキミがボクを知っているとは…。」


いや、あんた入学式の時挨拶していただろ…。


「それで…ボクになんのようです?」

「おまえ!!クチの聞き方に気をつけろよ!?」

これも定番のザコの恫喝…。

「まあいいさ…。」

「来てもらったのは他でもない…。」

「キミの友人かな?黒羽戒斗…わが校に相応しくない。」


ボクから言わせるとコイツ等の方が相応しくないんだけど。


「それは…ここでボクに話すことじゃないですよね?」

「戒斗は友人だけどあなた達にどうこう言われる覚えはないです。」

「友達は選ぶべきだボクはそう忠告してるんだが…。」

「イジメはこの学校には無いと言いましたよね?」

「ゴチャゴチャうるさいんだよオマエは!!」


バキッ!!


「そんなことはどうでもいい…。」

「不要なものは排除するそれがボクの流儀だからね。」

「いじめは必要悪だよ?」


ドクン…。


そんなわけないだろ…?

必要な“悪”なんかあってたまるか!!

弱いものが虐げられるそんなことが許されるわけがない!!

でもそれが綺麗ごとなのもわかっているさ…。

人は自分より劣るものをバカにする…。

でも…それでもボクは…。


「会長…それホンキで言ってますか?」

「無論だが?」


ドクン…ドクン…。


「あんた…それでも全校生徒の上にたつ人間なのか?」

「ほう…ボクに意見するのか…。」

「あんたは…あんたこそ…この学園に相応しくない!!」


“ヒロト…チカラを貸そうか?”

「……!?」


ドクンドクンドクン…!


ヒロトは胸を押さえていた…。

胸が裂かれそうな痛みが襲っていた。


「ぐあぁぁ!!」


“こういう輩は粛清するに限る…。”

「やめろ!!出て来るな!!」


「な、なんだ…コイツ…おかしいんじゃないか?」


『ヒロト~~~~!!!!』


そこに戒斗が現れた…。


ニヤ…。

『生徒会長とその一味ってとこ?』

『いいね~…。』

『あんたら、こんな人気ひとけのないところに人を連れ込んで何する気だったんだ?』


「いや、またの機会にしよう…いくぞ…。」


ハァハァハァ…。

危なかった戒斗が来てくれなかったら…。


『ヒロト…大丈夫だったか?』

「うん…ありがとう…。」

『ん?どうした?』

「いや…なんでもない…。」

『また声が聞こえた気がしたか?』

「なんで…!?」

『おまえはあれ以来魔物の声を聴くようになってる…ちがうか?』

「うん…。」


そうだ…ボクはあの時から奇妙な声を聴くようになった

決まってイライラしてるとき…。

さっきもそうだった。


『そいつはお前を喰らいつくすぞ?』

「え?」

『だから油断するなってとこだ。』


油断するなって…ボクはどうしたら…。


『ところで何で絡まれてんだ?』

「さあボクのことが気に入らないんじゃないかな…。」


戒斗…キミの事でだよって言えなかった。

ボクにはやっぱりキミが悪魔だとは思えない…。

悪いやつには思えないんだ…。

もしかすると…戒斗も?


“ヒロト…そいつらを信じるなよ…。”

“お前は何者なんだ…?”


“オレか?オレは…お前だ…。”








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