ボクの中の天使と悪魔

涼宮 真代

第1話 オマエたちはいったい…?

ボクの名前は杉澤ヒロトごく平凡な高校1年生…。

父はボクが小学生の時にいなくなった。

それからは母はボクを一生懸命育ててくれた…ボクは母さんに笑っていて欲しかった…俗に言う良い子を演じていた…。


あの日からボクの日常が変わってしまった。



━━ 3ヶ月前…。━━



ボクは夏期講習の為に、一駅となりの塾に通っていた…。

塾など行くつもりはなかった余計なお金もかかるし…。

図書館で勉強している方がボクには良かった。


講習が終わり駅に向かっていた。


「夕方でもまだ暑いな…。」


駅に着くと1人の女の子がキョロキョロと何かを探しているようだった。

可愛い子だな…。

すると…目があってしまった。

ボクは目線を反らした…。

その子が寄って来た。


「あの〜…。」

「……。」

「いま目が合いましたよね?」

「いえ…気の所為じゃないですか?」

「そうかな〜?」


金髪に碧眼…。

夏なのに…白いコートに背中には小さめのリュック…。

なんだ…小さな羽根?


見るからに怪しいんだけどな…。

もしかしてそっちの人?


「で?何ですか?ボク急いでるんで…。」


「そうなの?」

「はい、用が無いなら行きますね」

「私はキミを待っていたんだよ?」

「はい?」


なんだこの人は…?

キャッチセールスか何かか?


「少しでいいから話し聞いてくれないかな?」

「話し?」

「うん!」

「ま、まぁ少しなら…。」


「では、あなたは神を信じますか?」


「さよなら!」

「ちょっちょっ待って〜!」


『ははは!』

『あんな奴の話など聞く必要など無い!』


そう言って馴れ馴れしくボクの肩に手を置いた…。


「なんなんです?暑くないですかそれ」


その人の風貌は…。

上から下まで漆黒に包まれていた…。

瞳は紅い…。


『暑くなど無ーい!』

「そのわりには汗ダラダラですけど?」


「ちょっと邪魔しないでよ!」

『何のことかな?』

「あの子は私の担当なの!」

『は?バカは休み休みいえ!』


「バカ…バカ…バカ…。」


『そう言うことでは無い!!バカ女!!』


「じゃ、ボク帰るんで…。」


「待って!ヒロト君話しを聞いて!」


「な、何で…?」


何でボクの名前を…?


『はーははは、知っているのは名前だけじゃ無いぞ?』


『誕生日は6月20日』

「7月20日」


『星座はしし座!』

「惜しい!かに座…。」


『ん?』

『血液型はAB型だ!』

「A型でしょ?」


『現在母親と2人暮らし』


「オマエたちはいったい…なんなんだよ!」


「私の名前は哀…天使よ?」

『オレは戒斗見ての通り悪魔だ!』


「だから…天使だの悪魔だのサッパリわからないんだよ!」


『なら単刀直入に言おう!』

『オレと契約しろ!』

「ちょっと…!」


『あの…興味無いので他あたって下さい』


『なぜ自分に嘘をつく?』

「な、何のことですか?」


『さっきのでわかったヒロトお前は闇を抱えているな?』

「……。」

「だから私はキミを癒しに来たんだよ」

『オレは違うがな!』


「ボクは母さんに笑っていて欲しいだけだ…だったら嘘もつくさ…。」


『母さん、母さんか…。』

『まだ、ママのオッパイが恋しいのか?』


「…!!」

「バカにするなよ…母さんがどんな苦労してきたかボクがどんな気持ちでそれを見てきたか何も知らないくせに!!」


「ヒロトくん…。」

ギュッ…!

「な!?」

「私はわかっていたよ…。」

「ごめんね何もしてあげられなくて」


なんだろう…心が落ち着く…。

これが天使の癒しなのかな。


「戒斗は見た目通りクチは悪いしやることも粗暴だから…気にしないで」


『お〜い、哀さ〜んフォローになってませんよ〜。』

「フォローしてないもん!」


「あのさ…疑問なんだけど…。」

「なにかな?」

「何で天使と悪魔が一緒にいるの?」


「良い質問だね〜。」

「それは…神様の命令だから!」

キリッ!

「は?」

『まあ何だ…そう言うことだ…。』


哀は本当の事を…言っているけど

戒斗は別な目的があるんだよって顔をしていた…。


「別に何もしてくれなくてもボクは…。」

「急ぐんで帰ります!」


「ヒロトくん!」


その場から逃げ出した…。

ボクはこの人たちに関わらない方が良いと思った…。

心を覗かれているようで怖かった。



『良いんじゃないか?』

「え?」

『ヒロトが承諾しなければ意味ないんだろ?』

「まあ…ね」


でも…放っておけないよ!

心にぽっかり穴が開いてるんだよ?

闇にのまれちゃうよ!


『オレはその方が都合いいけどな!』

「バカ戒斗!だからアンタは!!」

        ・

        ・

        ・

ボクは逃げるように自宅に帰って来た…。

一番会いたくないヤツが家から出て来た。


「おう、ヒロトか…。」

「父さん…何しに来たんだよ」

「自分の家に帰って来たらダメなのか?」


ボソッ…。

ここはアンタの家じゃないだろ…。


「なに?」

「もう一度言ってみろヒロト!!」


「アンタの家じゃないって言ったんだよ!!」

「このバカ息子がぁ〜!!」


バキィッ!!

「ぐはっ!」


だ、誰の…バキィ…おかけで…ドカッ!

ここまでデカくなったと…思っているんだ〜〜!!


ビキィィッ!!


「ぐあぁぁぁっ!!」


ヒロトの腕があり得ない方向に曲がった…。

哀と戒斗がヒロトの家に来た時にはヒロトは

地面にうずくまっていた…。


「酷い…どうしてそこまでできるの?」


『親は何しても良いって思っているバカな親もいるんだよ…。

吐いて捨てるほどな…。』


悲鳴にも似た声が響いた時に母親が慌てて飛び出してきた…顔にはアザがあった


「やめて〜ヒロトには…!!」

「オマエがこんなんだから…!!」


ヒロトの父が庇おうとした母に殴りかかろうとしたとき…。


ガシッ!


『オッサンいい加減にしろよ…。』

「何だオマエは!?」


戒斗は我慢しきれなかった…。


バカ!干渉するなって言われてるのに…。


フラッ…。

ヒロトは腕を折られていた…。

痛みを堪え立ち上がった。


「もう…良いよ…父さん…。」



死んでくれ…。




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