第2話 しゃべる盾

「お願い連れてって?」


「いやです」


「なんでだよお自分だけだと動けないんだよ」


「知りません」


「鬼悪魔ゴブリン殺し」


「鬼と悪魔については知りませんがゴブリンは殺しましたねあなたで」


「そうだったなぜか盾で攻撃するとかいう意味不明なことをしたな」


「まあ面白いでしょ」


「面白くねえよ」


そんなコントみたいなことを数時間ぐらい続けていた。


「ああそうです忠告しておくとしゃべる盾なんて希少な武器ですから狙われる可能性がありますよ」


「おうそれがどうしたんだ」


「ですからしゃべらない方がいいですよ誰が見てるかわかりませんから」


「………」


「うふふそれでは」


そういって俺に背を向けて逃げようとする女の子を見て俺はいう。


「おいごら待てやこれ逃げるためについたウソじゃねえか」


「あははバレちゃいましたか」


「バレちゃいましたかじゃねえよ」


「まあ良いじゃないですか」


「よくはねえけどな」


「ああでもしゃべる盾が希少であることは事実ですよ」


「ああそうかいそれで連れてはいってくれないのか」


「親にペットは買ってはいけないといわれてますから」


「ペットではねえよ」


「あはは面白いです」


あっそうだ良いこと思いついたぜ。


「俺を連れていけばずっと楽しく会話が出来るんだぜほらお得だろそれにスキルも色々もっているからよ」


「それは少し気になりますね」


「だろなら仲間にしてくれよ」


「良いですよそれじゃあ名前はなんて言うんですか」


「名前?」


思い出そうとするがまるでもやがかかったように思い出すことが出来ない。


それに前世のことを思い出そうとすればするほど激痛がする。


どれだけの月日が経とうとお腹は空かなかったしゴブリンに攻撃をしたときも痛みはなかった。


そのことから自分は感覚がないのだとおもう。


それなのに激痛がしたということはなにかあるのかもしれない。


「まあ名前はねえな」


正確には思い出せないんだけど


「そうですかそれならわたしが名前をつけてあげます良いですか?」


「おうよろしく頼むよ」


「それじゃあシールドだからシールで」


「おおう分かったが安直だな」


「子どもですから」


「おうそうだな」


「それではわたしはエルフ族のミルフィーです」


そういって楽しそうに笑う女の子を見て俺はふと疑問におもう。


「エルフなのに耳が短いんだな」


「ええまあわたしはエルフと人間のハーフですから」


そうエルフィーが口にしたときエルフィーが少しだけ暗い顔をした。


「もしかしていやなことを聞いてしまったのかそれなら悪い」


「いえ別に気にしないでください」


「わかった」


気にするなと言われたなら触れない方がいいだろう。


「それで仲間にしてくれるんだな」


「ええいいですよ」


ここから冒険がはじまる……なんか家に来たら台所でまな板代わりに使われたんだがおかしくないか。


おいごら冒険どこに言ったんだよ。


「あの奥さんやめてくれません?」


「キエキエキエキエ」


大根みたいな見た目をしていて人みたいに手足が生えた魔物のマンドラゴラが切られていた。


俺の真上で


恐らくミルフィーの母親であろう人がマンドラゴラに向かって包丁を切りつけている。


ミルフィーがお母さんらしき人に俺を渡したとき拒否はしたんだぜなのによ動けないからってよやりたい放題されたんだ。


だがまさかまな板として使われるとはおもわないよ。


それに俺が喋っているのに気にせずマンドラゴラを切っているミルフィーのお母さんおかしすぎるだろ。


気にしろよなんで俺をみたときの第一声が


「あらまな板として使えそうね」


これだぞおかしいだろなんで盾をまな板として使うんだよ。


そうおもっていたらアナウンスの声が聞こえる。


『4LEVEL~7LEVEL


スキル りんごの果実


使用者が少しの間回復することが可能になります


スキル 身体能力アップ獲得


説明 使用者の身体能力を底上げすることが出来ます


スキル 眷属獲得


説明 眷属を召喚することが出来るようになります』


『おいなんで俺の上で魔物を切っただけでレベルアップされるんだよ』


やはり答えは聞こえない。

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