チートもなにもない普通のどこにでもある盾に転生した俺は意外と楽しく過ごせてます

山田空

第1話 盾に転生した

俺は目を覚ますと野原にいた。


ああこれ転生したのかな


よくあるよね知ってる知ってる。


そうおもい動こうとしたのだが動けない。


まるで岩みたいに固くて俺はなぜ動けないのかしばらく考えていた。


そして、じぶんが盾であることに気がついた。


どうにか動けないかと試行錯誤をしてはみるもののやはり動くことは出来ないんだ。


どれだけの月日が経ったかわからないほどの時間を経過したとおもった。


ぶっちゃけ時計がないし周りになにかしらの変化があるわけでもないので時間の経過がわからないんだ。


そして、そんなときに俺の目の前に現れたのは一人の少女だった。


ボロボロの衣服を身にまとい息をきらしながらも必死に走っているそんな少女の姿が見えた。


最初は幻覚でも見えているのかとおもって盾でも疲れたら幻覚をみるんだなあとおもっていた。


だが違った確かにその少女はいたのだ。


そして、少女はゴブリンに追われていた。


衣服がボロボロなのはゴブリンに襲われる途中で間一髪のところで逃げてきたからだと推測できた。


でもここにあるのは岩に寄りかかっている盾である俺のみ


どうにか助けることは出来ないかと考える。


でも結論はどうしようもないだった。


そりゃそうだ動くことも出来なければ言葉にすることも出来ない。


そんなふつうの盾なんだから


なぜこんな盾に転生したのかと不思議におもうレベルだ。


でも少女は俺を手に取る。


なにやってんだとおもった次の瞬間少女は走りだす。


ゴブリンに立ちむかいゴブリンを押し倒す。


ゴブリンは頭を地面にぶつける。


少女がゴブリンの顔に勢いをつけて盾をぶつける。


地面と盾に挟まれて逃げ場がなかったゴブリンはなす術もなく倒される。


ぐちゃっという音と共にゴブリンは動かなくなる。


ちなみにゴブリンの顔にぶつけられたのは俺の顔である。


なにが言いたいかって異世界でのはじめてのキスがゴブリンであることさ……マジで吐きそうだ。


それでも少女は止まらない。


慌てて武器を取り少女と戦おうとするゴブリンたち


だが少女は怯む素振りも見せずゴブリンの群れを一掃していく。


血だらけの見た目になった少女が大量のゴブリンの死体の上に立っていた。


その少女の左手には小さな盾が握りしめられていた。


その盾の見た目は大きな顔があり後ろに取っ手がある。


少女の見た目は骨が透き通りそうなほどに真っ白なからだとスレンダーな見た目を血だらけに染めていた。


そんな光景に衝撃を覚えていると女性の声が聞こえてくる。


『レベル 1 LEVEL~4LEVEL


スキル 神の導獲得


説明 わたしが色々説明をしてあげます


スキル デコイ獲得


説明 おとりになることで使用者を手助けすることが出来ます


スキル スピークシールド獲得


説明 しゃべることが出来るようになりました』


女性の声は聞こえなくなる。


『おい待てやなんだよスキルってつうかデコイは使えないだろだって俺は動けないんだぞ』


俺の質問に答えてくれるわけもなくむなしい気持ちになるだけだった。


でもしゃべることが出来るようになったのはありがたいそうおもい少女に話しかけようとする。


「よお……えっとだなその名前なんて言うんだ」


久しぶりに人と話すから緊張して変なことを言ってしまった。


あと想像していたよりも野太い声が出た。


ヤバイ引かれてしまったか


そんな不安な気持ちで少女の顔をみる。


少女はなにかを探している様子だった。


そして声の主を探していることに気づき俺はこう答える。


「盾だよ盾まあじぶんでじぶんのことを盾というのはなんだかおかしな話だけどな」


「え?盾がしゃべったの」


少女が首を下にして俺のことをみてくる。


「ああそうだよ」


キョロキョロと周りをみたあと俺をみて驚いた表情を見せる。


見た目どおりの幼さを感じる様子を見て俺は可愛いとおもった。


こうして盾と少女の冒険がはじま……なんか俺のこと置いてこうとしてるんだけどあっ元の位置に戻しやがった。


「おいごらまてやなんで逃げる」


「だって怖いし」


「怖くないからね?お願い助けて」


「いやです」


夢と冒険の物語がはじまる……かもしれない。

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