5人目 開放・解放

 ブーゥ・・・ブーゥ・・・ブーゥ・・・・・・


 今日も飽きずにスマホがポケットの中で鳴っている。電車に乗っているあなたは取るかどうかを悩んだが、夜の悪夢に何度も起こされるのが嫌で返答の声を出さずに電話を取った。


≪・・・カイホウしろ。お前に社会性など必要ない。カイホウしろ≫


《プシューーー・・・○○駅ー、○○駅ー。お乗り換えはー・・・・・・》


 この街の主要駅へと電車が到着した。ゾロゾロとあなたの前を通りすぎる多くの人が無表情に横切っていく。

 人の入りが点々とした車内で座席の殆どが空き、あなたは落ち着く端っこの座席へと座ると途端に、一瞬で眠りに落ちていった。




 気が付くと、いつの間にか家に着いていた。お酒を飲んできた帰りだったが、記憶を無くすほど飲んだつもりもない。




 あなたは同窓会に呼ばれて参加していた。何度も誘われてはいたがずっと忙しいとの理由で不参加だった。これにウソはない。本当に忙しくて行けなかった。たまたま中学まで同級生で比較的に仲が良かったと偶然に街中で出会い、何度目かのお誘いをされていたのと、たまたま時間が出来たので参加してみた。ずっと行けずに申し訳ない気持ちでいたのもあって。


 合計で約、十五名ほどが集まっていて懐かしい面々が顔を合わせる。各々が当時も仲が良かった者同士バラバラで飲みながら話をしていて、あなたは当然のようにミカの隣に座り飲みながら昔話に花を咲かせる。



 そこで、話が食い違う話題が出てきた。

 これも良くある話です。記憶違いや勘違い、勝手な妄想や噂話が飛び交う思春期時代。そんな誤解が解消されながらもその様な会話が楽しいものですが、あなたが知っている友人の何名か、間違いなく同級生、同い年の子が居たのですが、ミカを含め他数名にその子たちの特徴や出来事を話すも、誰も覚えていない・・・・・・


「名前はなんていう子?」


 そう聞かれて、確かに名前まではあなたも覚えていなかった。その後、転校していった子なのか、小学生か保育所の子なんじゃないか?と言われ、あなたはそうなのかも・・・と腑に落ちてはいないが、何となく自分を納得させていった。


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