4人目 新着
やっとSIMが届き、あなたは不毛な喜びを露わにした。
日中は通常SIMを使い、プライベートのゆっくり時間では通信専用SIMへと切り替えて使おうと言う算段である。
この時点ではもう迷惑電話にも慣れてきて、相手の意味も分からない言葉を聞いては切る。これがルーティン化しつつあり、もういちいち苛立つことも無くなっていた。
細かな設定が一通り終わった途端
♫♬♪♩♫♬♪♩♫♬♪♩♫・・・・・・
目の前で、あなたの手元でスマホが鳴り響く。表示は「非通知設定」。そして着信は通所電話では無く、あなたが普段使っているSNSからだった。
「・・・はい」
あなたは少し青ざめながら、恐るおそる着信を出た。
≪・・・楽しいか?今の人生≫
プツッ・・・・・・
不毛で虚無感に溢れた心の野原は、雑草ですら枯れた気分だった・・・・・・・
ネットの記事やニュース、裏社会をテーマにした映画やドラマでしか見た事はなかったが、投資詐欺やロマンス詐欺と言った迷惑電話は目的がハッキリしている。金という浅ましい目的だが、目的が分からないという不気味で釈然としないあなたの心境よりかはマシだろうと、今の自分の状況を嘆く。そして下手な希望を抱いた分、ギャップで落ち込みが激しい。
♫♬♪♩♫♬♪♩♫♬♪♩♫・・・・・・「!?」
また非通知からの着信。しかし今まで一日に一回しかかかってこなかったのが二回目で、しかも連続・・・・・・
「・・・はい」
あなたは迷惑電話ではなく普通の着信かも、との可能性も含めて改めて電話に出た。
「・・・助けて・・・お願い」
女性の声がか細く、今にも死にそうな声色で話し出した。
「え?あなたは誰ですか?」
「私は・・・あなた・・・助けて・・・・・・」
プツッ・・・・・・
今までで一番、悪意を感じなかった分、後味が悪い迷惑電話だった。
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