3人目 悪夢
非通知からの着信なんてフル無視していればいい。しかし、取らずにいたその夜には必ず、あなたは嫌な夢を見ます。
あなた自身が何度も『殺される夢』を・・・・・・
様々な殺され方をします。絞殺、毒殺、刺殺、溺死、撲殺、焼殺、酸殺、ショック死、大量出血死、事故死、転落死etc…
煩わしさから、取るだけ取って後は無視をし受話口まで耳を付けずにいても、それは取らなかったと同じ扱いをされて、また『夢』で殺される。
夢を見ないと言う人がたまにいますが、本当にそんな人がいれば羨ましい。覚えていないだけであり、そんな人にあなたが見る『悪夢』を見せてやりたい程に妬ましかった。
なぜそう思うのか。
電話と悪夢のこの関連性がなぜあるかという根拠は、睡眠中に電話が掛かってきたことがあり、その後に悪夢は見なくなった。それと、夢の中でも電話が掛かってくることもあり、それに出ると殺されなくなったという、まるで暗示と兆しを示すように現象がリンクしてくるからだ。
これが何度も続くと、嫌でも電話に出なきゃいけないと洗脳されているかのようになってしまっていた。
夢占いで殺される夢は「吉兆」と言われている記事を読んだこともあるが、そんな気休めでこのストレスと、取らなければ寝不足になるほどの現状の救いになることもなかった。
夢の中での犯人の顔は、まるであの有名な名探偵アニメに出てくるように真っ黒な顔をしていてフードを被り、個別の識別なんて出来ない。身長も中肉中背、男女もハッキリしない。霊媒などの映画やドラマによくあるように、予知夢だとか予兆のような夢であればまだマシなのだが、そんなこともなくずっとただの嫌がらせのように迷惑電話と殺される悪夢を見せてくる。
あなたは特に誰からも恨まれるようなことをする人でもなければ、身に覚えもない。そもそも普通の電話番号なんて誰にも教えていない。今どきはビデオチャットだとかSNSの通信を使ったインターネット通話が一般的で、普通電話なんて仕事や親ですら使わない。役所だとか電気やガスといった必要最低限の手続き上に書いた連絡先からぐらいのはずなのに、こんなことになぜなるのかと自分の人生を疎むようにもなってしまう。
といっても、迷惑電話は一日に一回だけで日常やスマホの使用に困窮するというほどでもなく、ただしかし気持ち悪いし、ジワジワとしたストレスを感じることがまるで取り切れないささくれのように気になってしまうのが嫌だった。
言っている内容も支離滅裂。「お前は誰だ」「私はここに居る」「ずっと待っている」など、急にこっちも何かを知っている
目的が何なのか。それが分からないことがまた苛立ちを抑えられない。誰かの呪いかなにかだろうか。
♫♬♪♩♫♬♪♩♫♬♪♩♫・・・・・・
「・・・はい・・・なんだ、お母さんか。なぁに?」
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