森の星(5)

「久しぶりね。ミッドレ」

 端正な顔立ちの女がミッドレの部屋に入って来た。ミッドレの従兄妹でダンルの妻のロゼムが優しく声をかけた。

「驚いた。どうしてレシスにいるんだ」

「カイキスへ視察よ」

「女王の代わりか。忙しそうだな」

「城にいるより楽だわ」

 同じ年頃の二人とダンルは幼い頃から良く遊んだ仲だった。

 王族を支えた旧領主の家系であるロゼムとダンルは従兄妹でありながら愛し合った。周囲はいつか結婚すると思っていた。

「あなたはどうなの」

「相変わらずさ。ブラーゴと戦闘ばかり。独り身だから気楽だがな」

「そう……」

 二人はロゼムが死産してから破局した。

 お互いに傷ついていた時にダンルがロゼムに結婚を申し込んだ。

 ダンルは二人の事情を知った上だった。

「ダンルと子供を作らないのか」

「私が休んだらレナン様もダンルも大変だから。王族は忙しいのよ」

 ロゼムは愚痴っぽく言った。ミッドレは笑った。

「そういう理由なら仕方ないな」

「あなたも早く誰か見つける事ね」

 ロゼムは笑って答えた。

「地球の言葉でいう癒しの時間か。いい気なものだ」

 格納庫で二人の様子を端末で見ていたシャルンは冷たく呟いた。

 数日後、ブラーゴ侵攻作戦が始まった。

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