森の星(5)
「久しぶりね。ミッドレ」
端正な顔立ちの女がミッドレの部屋に入って来た。ミッドレの従兄妹でダンルの妻のロゼムが優しく声をかけた。
「驚いた。どうしてレシスにいるんだ」
「カイキスへ視察よ」
「女王の代わりか。忙しそうだな」
「城にいるより楽だわ」
同じ年頃の二人とダンルは幼い頃から良く遊んだ仲だった。
王族を支えた旧領主の家系であるロゼムとダンルは従兄妹でありながら愛し合った。周囲はいつか結婚すると思っていた。
「あなたはどうなの」
「相変わらずさ。ブラーゴと戦闘ばかり。独り身だから気楽だがな」
「そう……」
二人はロゼムが死産してから破局した。
お互いに傷ついていた時にダンルがロゼムに結婚を申し込んだ。
ダンルは二人の事情を知った上だった。
「ダンルと子供を作らないのか」
「私が休んだらレナン様もダンルも大変だから。王族は忙しいのよ」
ロゼムは愚痴っぽく言った。ミッドレは笑った。
「そういう理由なら仕方ないな」
「あなたも早く誰か見つける事ね」
ロゼムは笑って答えた。
「地球の言葉でいう癒しの時間か。いい気なものだ」
格納庫で二人の様子を端末で見ていたシャルンは冷たく呟いた。
数日後、ブラーゴ侵攻作戦が始まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます