最終話 Rise up BRAVEman
☆
アイルと五郎が長年をかけて築き上げた、異世界災害への対策。それが魔王の力を前に突き崩され、世界に絶望が広がる。
そんな事態を見つめる勇太にも、絶望と焦りの重圧が募りつつあった。
このまま覚醒できなければ、きっと前世の二の舞になる。
「勇太クン。ここからは動画として放送しない、内緒のパートに入るからね? あなたの師匠・アイルハトゥール・イヴエールは、あなたにこんな伝言を残した。〝お前は私の支えになってくれた〟」
「師匠が? なんでドリィに?」
「魔王が来たことを教えたとき、勇太クンに伝えてくれって」
勇太は嫌な予感がした。
「アイルはどうして、勇太クンに伝言を残したと思う?」
勇太が前世で戦った魔王の背丈は三メートルほどだった。それが五十倍もの大きさとなって現代日本にやってきたとなれば、その強さは計り知れない。
「師匠、……死ぬ気か⁉」
「死ぬ覚悟で戦う人の気持ち、勇太クンならわかるでしょ?」
「…………っ!」
勇太の脳裏に浮かぶのは、前世の最後の戦場。同じことが、日本でも引き起こされている。
「それじゃあいよいよ、そんな勇太クンに、最後のクイズです。あなたが覚醒するためには、何をすべきでしょうか? この最終問題に、選択肢なんて甘いものはない。死ぬ気で戦う仲間のためにも、絶対に答えなくちゃダメ!」
ブラスバンドの最後の演奏が響く中、勇太の焦燥は続く。
早く元の世界に戻って、なんとかしなくては!
「勇太クン? 答えは?」
会場の喧騒の中、ドリィの声だけがはっきりと聞こえた。
思考が渦巻く。
師匠の気は確かなのか?
心陽は俺に何を言おうとした?
どうすれば魔力が覚醒する?
仮に魔力が覚醒したとして、それで魔王を倒せるのか?
「……」
勇太は自分の肉刺(まめ)だらけの両手を見下ろす。
この身体になってから、かつては片手で扱えた剣が、強化魔法がなければ両手でさえ持てな
くなった。その強化魔法も、長続きしない。
誰かになろうとしなくていい。ありのままの自分でいれば、それでいい。
日本に転生して、いつしかどこかで知った、励ましの言葉。
俺は、弱い。でも、それが俺だ。
だから、弱くていいんだ。誰も助けられない。自分すらも、助けられない。それでいいんだ。
――いいわけあるかよ!
本来出せるはずの力が出せず、自分にすらなりきれない者にとっては、その励ましは、残酷な救いでしかない。不完全な自分を受け入れて、諦めるための。
それじゃ、ダメなんだよ。
鍛えたところで、呪いのせいでまったく成果が出ないとわかっていて、それでも鍛えた。
続けられたのは、ココへの想いがあったから。
想いって、なんだ?
「……」
黙したままの勇太を見つめて、ドリィは待っている。
勇太の脳裏に、ユータンだった頃に育った故郷が蘇る。
剣士を志す傍ら、父から鍛冶師の技術を受け継いだ。
魔王軍が勢力を広げる最中、戦いの旅の果てに入手した金属から、自らの手で聖剣を鍛えた。
――すべては、ココと過ごす日々を守りたいと思ったからだ。
ココと一緒にいたかった。と、勇太は自分の想いを再確認する。
その想いは、転生した今でも変わっていない。
「そうだ。俺は、心陽(ココ)のことが――」
「ココのことが、なに?」
静かに、ドリィが問う。
「好きだ」
勇太がその言葉を言ったとき、それは起こった。
勇太は突如として、己の血流という血流が細部まで知覚できるようになり、その流れが高い熱を帯び始めたのがわかった。
「っ⁉」
勇太は自分の身体を見下ろした。
身体中が、熱くなっていく。
魔法微生物が、魔力を生成し始めたのだ。
「今、急に力が……」
勇太の状態を察したか、ドリィは微笑んだ。
勇太は目を閉じ、己の内から沸き上がる、かつてない強大な魔力を感じつつ立ち上がる。
身体が軽い。質の良い魔力とは、このこと言うに違いない!
「俺はやっぱり馬鹿だ。なんで今まで、あの子に直接言わなかったんだ……?」
そう自責したときだった。
体内を巡る魔法微生物が、とある言葉を訴えてきて、それが脳裏に浮かび上がった。
勇太がその言葉を心の中で唱えると、全身を温かな風が取り巻いた。
そうして勇太は目を開く。
会場がどよめき、ドリィまでもが、驚愕に言葉を失って勇太を見ていた。
「え? ここ、ドリィの世界なのに、どうして魔法、使えてるの? そんなことできるの、魔王サマくらい……」
「え?」
勇太は、自分の声が普段よりも低く、男らしいものになっていることに違和感を覚え、ふと身体を見下ろした。
地面が遠い。まるで誰かに肩車されたかのように。
大人サイズのブーツとズボンが見える。
「えええッ⁉」
勇太の体型が、別人のそれに変わっていた。
――いや。
勇太はその姿に見覚えがあった。
「ほい、鏡」
ドリィが指を鳴らし、勇太の眼前に立ち鏡が出現。
「っ!」
勇太の思った通り、かつてのユータン・ライスフィールドの姿が、鏡に映っていた。
【究極変身】なる、魔法微生物が訴えてきた変身魔法で、勇太はかつての自分の姿に変身したのだ。それも、ドリィの支配を押し退ける形で。
「ドリィの支配を逸脱したの、お見事! 灯台下暗し、だっけ? 簡単なようで超難しい最終問題、見事に正解!」
ぽかんとする勇太を余所に、会場の人々の歓声が、ブラスバンドの演奏と混ざり合う。
「つまり、俺の魔力が覚醒する条件って、心陽(ココ)に好きって言うこと……⁉」
「あなたって不遇なようで、答えはごく単純で、恵まれてるじゃん! おもしろ!」
ドリィは可愛らしい笑みを顔いっぱいに浮かべ、満足そうに続ける。
「お、俺に、こんなことできたなんて、……もっと早く気付けていれば……」
「今まで抱えてきた思いとか、重ねてきた努力とか、そういうぜんぶが合わさったおかげだと、ドリィは思うね。あなたの中で、あなたを見てきた魔法微生物だからこそ、成せるものだよ?」
悔恨の声を漏らす勇太に、ドリィが言った。
「なら、気付けてよかったと思うべきか……?」
勇太は、自らの大きな手のひらを、ぐっと握りしめた。
「過去を断ち切れ。アイルはそうも言ってた」
「師匠が……?」
ドリィは頷いた。
「いろんなこと、ずるずる引きずってないで、あの子に向かって直接、好きって言いなよ」
ドリィがそう言って指を鳴らすと、勇太の眼前に木製の重厚なドアが出現。
「覚悟ができたら、そのドアを開けて進みな? その先でどうすればいいかなんて、誰にもわからない。勇太クンが自分で決めるの」
ドリィはドアを指差した。
「っ!」
勇太は口を引き結び、ドアの前に立つ。
「なぁ、ドリィ。お前の目的って、本当に復讐なのか? いったい誰に――」
「そんなのいいから、行きなよ。時間、無いんだから」
と、ドリィは穏やかな表情で目を閉じた。
「――ああ。行くよ」
「頑張りな。少年」
ドリィの言葉を背に、勇太はドアを開け、降り注ぐ光の中、一歩を踏み出した。
☆
「誰もが、もう終わりだ、ダメだ、って思う。……そんな中でも、頑張れる子は、戦い続けるんだね。ドリィはこの世界へやってきて、山田勇太という少年から、高峰心陽という少女から、アイルハトゥール・イヴエールというおば、……お姉さんから学んだのでした」
ドリィは言って、勇太が残していった洋菓子(マカロン)を頬張る。
「ドリィのママも、ドリィが知らないだけで、きっと、アイツと戦ってた。勇太クンと同じ目をしてたから……」
クイズ会場に残る観客がどよめき始めた。
ドリィが一度大きく手を叩くと、会場は夢のように静かになった。
「――さてと」
ブラスバンドも、観客も、誰一人いなくなった会場で、一人スポットライトを浴びるドリィは、大きく伸びをした。
「ドリィはもう満足。あとはアイツに、ケリをつけるだけだね」
『こうなったのは、標的を見誤ったわたくしの責任ですの。ここは命に代えても踏み止まり、お二人を援護しますわ!』
インカムから聞こえてくるキリエの声は、涙ぐんでいた。
「誰もあなたを責めたりなんかしないよ。いつもありがとう、ピンポイント」
耳に手を当て、心陽は言った。
「さっそくで悪いが、ピンポイント。ミニサイズになった魔王の弱点を探ってくれ」
『了解ですの! ハーフエルフの誇りにかけて!』
キリエに指示を出して、アイルは胸の前で拳を握り合わせ、バキバキと鳴らす。
「しかし驚いたよ、魔王。努力してデカくなったんじゃなくて、単にデカい身体を操縦していたとはな」
「努力など、弱き者だけが使う低俗な言葉だ」
巨体の肩に腕を組んで立ち、魔王が言った。
「その努力の成果を見て、同じことが言えるか試してみろ!」
心陽は怒りを吐き出し、拳を構え直す。
「心陽、少しでいいから、時間を稼いでくれ。私たちで仕留めるぞ」
「はい!」
アイルが心陽に耳打ちし、二人同時に動いた。
アイルは魔法陣を解いて地上へ急降下。心陽は魔導ブースターを噴射し、魔王へ。
魔王は心陽が繰り出す豪速の拳や蹴りを難なく受け止め、躱し、いなす。
アイルは地上を猫の如く高速で駆け抜け、懐から取り出したお札を四方に仕掛けた。
『見えましたわ! 魔王の弱点は、身体の正中線――おへその上あたりですわ!』
「心臓でも頭でもないのか! 常識の通じない魔族らしい」
アイルはそう言って地を蹴り、魔王の巨体を四足獣(しそくじゅう)のように駆け上がる。
「いくぞ心陽!」
「はい!」
「結界魔法・天蓋掌圧(てんがいしょうあつ)ッ!」
タイミングを合わせ、アイルが結界魔法を発動。
「――む⁉」
突如魔王を襲う、目に見えない重圧。その強烈な重みは、容赦なく魔王の頭上から圧し掛かり、鎧を軋ませる。
「ここだ!」
動きが鈍った魔王の腹部目掛け、なんの影響も受けていない心陽が拳を突き込む。
「こっちからも!」
魔王の背後から、アイルも蹴りを打ち込む。
「連撃(れんげき)!」
「はい!」
アイルと心陽。二人の長年の努力によって研鑽された
四つの拳と蹴りが立て続けに魔王の胴部へ叩き込まれ、凄まじい衝撃波の波が、小銃の如き音と共に爆ぜ続ける。
しかし、驚異的な威力とスピードの連打を受けたにもかかわらず、魔王の鎧には傷一つない。
「目障りだ」
魔王は吐き捨て、心陽とアイル、それぞれの片手を掴み取り、大地を目掛け叩き落とした。
「ぐッ⁉」
「うぁ⁉」
二人は背中から地面に激突。咄嗟の魔法障壁で即死は免れたが、あまりの衝撃で全身に強い痛みが残る。
「
魔王がさらに唱えると、その頭上にまたも黒球が出現。サイズこそスカイツリーの時より小ぶりだが、数はざっと見ても三十以上はあった。
魔王が片手で心陽たちを指し示した瞬間、それらの黒球が隕石の如く、二人に降り注ぐ。
「「覇っ!」」
心陽とアイルは再び魔法障壁を展開。黒球の爆発を僅差で防ぐ。
爆発は大地を抉り、衝撃波が木々を薙ぎ飛ばし、飛散したヘドロの如き液体が草を枯らした。
そうして公園の地形が変わったところで、黒球の集中砲火が止む。
テレビ局のドローンが一機、上空から様子を伺う。
爆心地に、心陽とアイルが仰向けに倒れていた。
魔法障壁が破られ、身体も衣服もボロボロになった状態で。
「――アイル、さん」
「う、うぅ……」
心陽が歯を食い縛り、手を伸ばすが、アイルはそれを掴めない。
魔王のように、魔法障壁を常時展開しておけるほどの魔力は、二人には無い。
もう、あとも無い。
このままでは、首相たちの粘りも虚しく、核弾頭が発射されるだろう。
『アイルさん! 高峰さん! 何が起きた⁉ 応答してくれ! こっちはたった今――』
離れた場所に落ちたらしいアイルのインカムから、ノイズ交じりの五郎の声がする。
アイルの結界魔法で動きが鈍った魔王だが、それでも二人の動きに追随し、容易く投げ飛ばすほどの力を有していた。
「すべての者が、我が支配下に加わりさえすれば、争うことなく、最低限の暮らしができるものを、愚かにも、どの種族もそれを拒み、争い、苦しむことになる。見飽きた光景よ」
魔王は語り、虚空に手を翳す。すると、そこに生じた小さな転移魔法(ワームホール)から、
魔王がそれを掴んで引くと、抜身の大剣が出現。
息を呑む心陽とアイル。
その大剣は、心陽とアイルの元居た世界で、こう呼ばれていた。
【魔剣】と。
「
魔王がそう唱えると、魔剣に黒いオーラが纏わりついた。
そのオーラの禍々しさに、心陽たちは思い知らされる。
絶望は、目に見えるものなのだと。
だがそこへ、
「――魔王サマぁ!」
突如として虚空に出現したドリィが、剣を持つ魔王の腕に抱きついた。
「ドリィよ、よくぞこの世界を見つけ出した。――すぐにでも褒美を取らせたいところだが、どこで何をしていた?」
「魔王サマをお迎えするために、お色直ししてたの!」
「山田勇太はどこにいる?」
「それよりさぁ、魔王サマ。コイツらの止(とど)め、もう少し待たない? もっと面白い殺し方があると思うんだよねー?」
魔王の兜に手を触れ、ドリィは横目で心陽たちを見下ろす。
「最後の、最後で、裏切るのか? ドリィ……」
絞り出すようにして、アイルが言った。
「ドリィは誰の味方もした覚えはないよ? 面白そうだったから一緒にいただけだもん」
「ドリィ、もう一度聞く。山田勇太はどこだ? 奴の剣に用がある。あの剣さえ破壊すれば、脅威はなくなる」
「ああ、魔王サマの目的は、勇太クンをただ単にやっつけるだけじゃなくて、聖剣を壊すことかぁ! 確かに、そうすれば脅威はなくなるもんね!」
「ドリィ。質問しているのは、この俺だ」
魔王が介入し、ドリィは穏やかな微笑を、アイルに、そして心陽に向けた。
「バイバイだね、二人とも」
と、ドリィは魔王に向き直り、両手を首の後ろに回す。
「ドリィはね? ずーっと昔から、とある目的を夢見て生きてきたの。夢魔なのに、自分で自分の夢は操れない。だからずっと叶わないままだった。でもね? 勇太クンたちに出会えたおかげで、今日やっと、それが叶うの!」
「なんのつもりだ? ドリィ」
「それでは問題! そんなドリィの目的とはなんでしょう? 正解は――」
魔王が魔剣を構えるのと同時、ドリィも懐から、アイルのお札を取り出した。
それは、ドリィがアイルから盗み取っていた、【
「――てめぇに復讐することだよ、クソ野郎」
ドリィは魔王を睨み、別人のような低い声音で、お札を心陽目掛けて放った。
お札は不思議にも、風に吹かれることなく、まっすぐに心陽の肩に貼り付いた。
再活性のお札には文字通り、身体を活性化させる魔法が込められてある。そのお札を貼りつけた者の大半の魔力と引き換えに、貼りつけられた者の傷や体力を大幅に回復させるものだ。
瞬間、肉と骨が断ち切られる、鈍い音がした。
「うぐ、ぅ――」
ドリィの胴体ほどもある太さの魔剣が、彼女の華奢な身体に大きな裂け目を穿ったのだ。
「ドリィ!」
心陽が叫ぶ頭上から、ドリィは人形のように落下。魔法障壁など張れる余裕もなく、地面に叩きつけられた。
手足が不自然な方向へ曲がり、額、口、腹部から大量の血を流して、しかしドリィはまだ意識があった。
「ドリィ、どうして……?」心陽が身を起こした。
「自分のご主人さまに、逆らったかって? ――あはは、びっくり、した?」
これまでの威勢など見る影もなく、消え入りそうな声で、ドリィは薄く笑った。
「ずっと、ずっと、昔ね?」
夢魔という存在を、ドリィという存在を理解できず、首を振る心陽に、ドリィは語り掛ける。
「ドリィの、ママ、は、魔王の、オンナだった。けど、魔王は、飽きて、ママを、切り捨てた」
心陽はそれを聞いて、はっと目を見開いた。
自分たちと同じように、大切なものを失ったことのある存在は、魔族側にもいたのだ。
「お前も母親に似て、愚かだったのだな、ドリィよ。母親は、お前の自由を俺に求めた。我が僕(しもべ)は永劫、僕でしかない。俺の意に背いたならば、罰は当然のこと」
巨体の肩の上から、魔王の冷酷な声が降ってくる。
「
魔王の嘲笑が響き、心陽は拳をきつく握りしめた。
「わたし、今わかった。ドリィの気持ち」
心陽の目と、ドリィの目が合う。
「自ら投げ出せるほど、人生は軽くないもんね? 運命とか、そういうものは関係なく、あなたは逃げずに生きて、耐えて、機会を待ち続けた。どんなに孤独で、辛かったことか……」
心陽はかつての自分と照らし合わせ、その目から涙を流した。
「わたしは、喉を切り裂いて逃げた。結果的には良い方向に向かったけど、わたしがやったのは、喜んじゃいけないこと。ドリィを見て、それを改めて、もっと強く理解した。人生はそれだけ重くて、意味のあるものなんだって」
「意味を語れるのは、絶対的な存在のみだ。貴様らのような、うつろい消えゆくだけの下等生物ごときに、その資格は無い! 貴様らに価値など無いのだ!」
魔王は吐き捨てるように言い、魔剣を頭上高く構えた。
地上の三人に、死が降り注ごうとしている。
「だからね? ドリィ。わたしも、もう逃げない。わたしは前のわたしとは違うから。ココじゃなくて、高峰心陽だから!」
心陽は身体により一層の力を込め、どうにか立ち上がる。
再活性のお札の補助を受けてもなお、魔王から受けたダメージは心陽を蝕んでいた。
彼女のバックルベルトが赤く点滅。魔力枯渇を知らせるアラームが鳴り出す。
しかし心陽の表情は、危機的状況を撥(は)ね退けるかのように晴れやかだった。
「今なら、ちゃんと言える。わたしの人生にだって、意味があったんだって、気付けたから!」
と、心陽は言い、胸に片手を当てる。
どうか、この言葉が彼に届きますように。
「――わたしは、かつてのユータン・ライスフィールド、そして、今を生きる山田勇太くんのことが、好きです」
それは、心陽の前世で、魔王がココに掛けた、【不告白の呪い】――その発動を意味する言葉。
でも、構わない。心が軽い。
一人の男の子を好きになった。好きになれた。好きって言えた。
「貴様、その名前――まさか! 前世でユータンと一緒だった、あの小娘か⁉」
かつて自らが呪った少女を思い出したか、魔王は言った。
「そうだ! わたしはかつて、ココという名前だった。そして今は、心陽という名だ! お前の呪いなんて、恐くなんかない!」
心陽の断固たる物言いに、魔王は嘲笑を響かせる。
「ドリィといい、貴様といい、抵抗虚しく潰(つい)え、無(む)になる定めだというのに、その反抗的な眼差し。弱き者は強き者の僕として、争いなく暮らすのが道理。それもわからぬとは、滑稽な!」
魔王が言った途端、ドクン! と、心陽の心臓が、刺すような痛みを伴い脈打った。
ついに呪いが発動したのか。と、心陽は察する。
ふと胸元を見下ろすと、ヒーローコスチュームさえも染め上げる形で、赤黒い染みが左胸から腹部、首元へと広がり始めていた。
もう間もなく、わたしは呪いによって死を迎える。
「魔王よ、愚かなのはお前だ。長く生き、圧倒的な力を持ちながら、人の尊さを理解できないなんてな」
かろうじて呼吸を落ち着かせたアイルが言う。
「好きに抜かすがよい。俺は貴様らのような愚か者を泡のように消し、忘れ去る」
心陽が目を閉じ、己の
たとえここを
だからどうした!
両足を肩幅に開き、両腕を腰溜めに構え、魔力を拳に集中する。
「
魔王が唱えると、魔剣の闇色のオーラが大きさを増し、渦巻き始めた。そして、
「滅びろ、愚か者ども!」
魔王はその魔剣から、黒き波状の剣撃を振り飛ばしてきた。
心陽が選んだのは、アイルとドリィの前に立ちはだかったうえでの、攻撃。
天目掛け渾身の打撃を放ち、魔王の剣撃にぶつけること。
「――っ!」
歯を食い縛る心陽の目尻から、光が散る。
面と向かって言えなくて、ごめんね。
どうか、元気で。
「はぁあああああああああああああああッ‼」
心陽が決死の咆哮を上げ、まさに拳を繰り出そうとした、そのとき。
ガキィン! という金属音を轟かせ、魔剣から放たれた黒き剣撃が、何者かの大剣に受け止められた。
そうして、心陽の前に。
――彼は、立っていた。
☆
「待たせてごめん、ココ。――いや、
心陽にその広い背を見せ、勇太が言った。
「っ⁉」
心陽の、驚愕と歓喜に息を呑む気配。
「そ、その姿は⁉ ――なぜだ⁉ 呪いはどうなったのだ⁉」
魔王の赤い眼光――その光度が増す。
「ゆう、タン?」
心陽が途切れ途切れ、自分が見ているものを確かめるかのように聞いた。
「ああ! 制限時間付きだけどな!」
勇太は眉目秀麗の顔に、勇ましい太陽の如き笑みを湛え、半分だけ振り向いた。
そんな彼の視界の隅には、残り三分〇〇秒という数字が表示されており、それが一秒刻みで減少を続けている。この秒数は、変身が解けるまでの残り時間であると、勇太は察していた。
「心陽。もう一つ、謝らないといけないことがある」
「え?」
「昨日、河原で話を聞いてあげられなくて、ごめん!」
言うべきことを言う勇太だが、顔が熱くなり過ぎ、心陽の顔は見れない。
「そ、そんなの、今言わなくても」
右の拳に込めた魔力を一旦収め、心陽は言う。
「わたしは、あなたが無事だっただけで、……それだけでいい」
「よくない」
勇太は魔王を警戒しつつ、背中越しに言う。
「俺には、心陽の話を聞く義務がある。ただ、俺からも一つ、伝えさせてほしい。両方叶わないと、よくないんだ」
「……?」
心陽はきゅっと口を結び、胸元を握りしめる。
続きを言おうとする勇太だが、視界の隅のカウントダウンがちらつく。
元は三分二〇秒だったのが、もう四十秒以上減ってしまった。
勇太が目覚めたのは防衛省。五郎がアイルたちを心配して連絡を試みている最中だった。
そこからの記憶は、必死だったこともあって曖昧だが、勇太はものの二十秒の間に、短距離の転移魔法(ワームホール)を繰り返し展開。この戦場に辿り着いていた。
勇太の頭にあるのは、転生してからこの方一度も味わったことのない、無尽蔵の魔力が溢れ出る感覚への、感謝と歓喜。
何が何でも、この【
そして、もう一つは――。
「ごめん! 続きはあと!」
「ごはぁッ⁉」
勇太の
「……顔色、良くなったね、ユータン」
眉を開いて、心陽がつぶやいた。
「その姿、その剣! ああ、俺は覚えている! 俺が唯一覚えている人間が貴様なのだ! かつての名は、ユータン・ライスフィールド! 我が呪いを受けていながら、苦痛に絶望せず、生意気にも足掻き続ける愚か者の名だ!」
魔王は驚愕とも歓喜ともつかぬ声を上げた。
「久しぶりだな、魔王。あのときの仮を、返しに来たぞ!」
勇太は言うが早いか、己が鍛えた聖剣を振り被り、空中を蹴った。
「覇ッ!」
瞬くよりも早く魔王に肉薄。その首目掛け、前世とは比べ物にならぬ強さの斬撃を見舞う。
「ッ⁉」
魔王は寸でのところで、聖なる刃を魔なる刃で受け止めた。
魔剣を渦巻くオーラが聖剣へと纏わりつくが、
「うおおおッ!」
勇太はそれを、気迫一閃で魔王もろとも吹き飛ばした。
「なにッ⁉」
魔王は己が操縦していた巨体から落下。だが、空中に展開した魔法陣を足場に跳躍。上空の勇太へ斬り掛かる。
無数の魔法陣による足場や障壁を交え、光と闇、二つの剣閃が幾重にも交錯し、重苦しい金属音が響き続ける。
「読めたわ!」
魔王が不敵に笑う。
「貴様の今の姿は、変身によるものであろう? 小癪な真似を!」
「うぉおおおおおおッ!」
勇太の大振りを、魔王はあえて受けず、自分の喉の寸前で躱した。
「しまった!」
そこで勇太に生じた隙を、魔王は見逃さない。
「これはどうだ?」
言うや否や、魔王は転移魔法を発動。姿勢を崩した勇太はそのままに、地上で見守る心陽の背後に姿を現した。
「心陽ッ!」
「⁉」
勇太が叫び、心陽を守るべく転移するのと同時。
心陽が事態を察し、拳を構え振り返る。
そんな心陽へ繰り出される、魔剣の刺突。
しかし、死の刃は心陽には届かなかった。
「――っ⁉」
心陽の眼前で、
「やはりお前は、その女が大切なようだな?」
勝ち誇ったように言って、魔王が魔剣の刃を、勇太の胸から(・・・・・・)引き抜いた。
鮮血が飛び散り、勇太はガクリと膝をつく。
「ユータン!」
心陽が我を忘れ、魔王に背を向けて勇太を抱きかかえる。
「心陽。伝えたいこと、言うよ」
勇太は、魔王が止めの一撃を振り被るのを視界に収めながらも、恐怖も焦りもなく、純粋に心陽のことだけを想いながら、その言葉を口にする。
「――きみが好きだ」
「っ⁉」
心陽の目が見開かれた次の瞬間、勇太は振り下ろされた魔剣を、片手で掴み取っていた。
「なんだと⁉」
驚愕に呻いたのは、魔王だった。
勇太の傷口から白い煙が上がり、みるみるうちに塞がる。
勇太の片手は、魔剣が纏う闇色のオーラを撥ね退け、軽々とその刃を押し返す。
そうして勇太は、何の痛みもなく立ち上がった。
「心陽。俺の後ろに」
「う、うん……」
心陽を背後に庇い、勇太は魔王に向き直る。
「い、一体、なにが起きている⁉」
魔王は一歩、また一歩と後退る。
「これが、
勇太が聖剣を正面に構え直すと、その聖なる刃から光の
勇太の胸から流れ出した血――そこに含まれていた魔法微生物が、聖剣に込められた魔力と、何らかの魔法的反応を起こしているようだった。
「心陽のおかげだ」
と、勇太は言う。
聖剣に込められた魔力とは、心陽のものだからだ。
聖剣が勇太と共に日本へ転生したのは、かつての戦場で
勇太はそれを、覚醒するのと同時に、魔法微生物(マジカリアン)たちから感じ取っていた。
勇太の魔力と心陽の魔力。二つが合わさり、聖剣の力をより強固なものへと昇華させる。
心陽も、それを己の魔法微生物を通して感じ取った。
「やめろ! そんなものを、この俺に向けるな!」
魔王の声に、震えが混じる。
「やれ、勇太」
アイルが言う。
『ユウタさん! ファイトですわ!』
『山田くん! 行けっ!』
キリエと誓矢の声。
「覚悟はいいか? 魔王。俺は今ここで、お前を断ち切る!」
「ま、待て、ユータン! 刃を収めろ! そうすれば、貴様と貴様の女は生かしてやる! 失った過去の楽しみを、これから楽しむことができるぞ⁉ お前の身体を、望む姿に変えてやってもいい!」
「望む姿? そんなもの無い。俺は、今の姿を受け入れる」
勇太は言って、眉宇を厳しく引き締めた。
そして、おもむろに目を閉じると、究極変身を解除。元の小さな姿へと戻ってみせた。
「ッ⁉」魔王が息を呑む。
だが、聖剣の輝きは消えるどころか強さを増し、勇太の黒かった髪までもが、金色掛かった白光を帯びた。
「もう俺は過去にはいない。心陽と同じ今を進む。今の俺は、山田勇太だッ!」
勇太は気迫と共に、魔王に立ち向かう。
「なんだ、この動きは⁉」
勇太の攻撃パターンが変わり、魔王が呻く。
勇太が繰り出すのは、小さな身体でも、諦めることなく積み上げた独自の剣術。
コマの如く身体を回転させ、遠心力によって速度と威力を増し、
「我が支配下に入ってこそ、争いなき平和が手に入るものを! この愚か者がァ‼」
「みんなを支配する権利なんか、誰にも無いッ‼」
幾重にも切り結ぶ魔王だが、勇太の猛攻に押され、後退する。
「小癪なチビがァァァァァッ‼」
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおッ‼」
他の追随を許さぬ勇太の聖剣は、魔王の魔剣を殴打し、削り、刻み、砕き、へし折る。
世界中の人々が口々に叫ぶ。
《いっけぇえええええええええええええッ‼》
勇太の脳裏に、ココが、仲間が、故郷が、師匠が、五郎が、ドリィが、そして、心陽の笑顔が浮かぶ。
あとは、進むだけ。
勇太は魔王の巨体と交錯。大振り横一閃を振り抜き、着地した。
勇太の聖剣によって、魔王の腹部は鎧ごと斬り裂かれ、爆発。
「グォオァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ‼」
魔王の雄叫びに、一部始終を撮影していたドローンが上下に激震。そのダメージの凄まじさを物語った。
巨体もろとも灰と化し、ボロボロと崩れ去る魔王を背に、勇太は空を見上げる。
どこか遠くで、多くの人々の歓声が上がる、そんな気がした。
「――勇太くん」
名前を呼ばれ、勇太は振り向く。
身体に広がっていた赤黒い染み――それが綺麗に消失した心陽が、両目に歓喜の涙を湛え、勇太を見つめていた。
二人ともボロボロに汚れていたが、その目だけは、澄んだままだった。
心陽は勇太に歩み寄り、ほんのりと頬を赤らめ、その場にしゃがむ。
「これが、わたしの答えです」
そうして目線を合わせ、さらに赤面しながら、彼女は両腕を、小さな身体に絡める。
二つの影が、一つに重なった。
☆
夏の暑さがピークを迎えたとある昼下がり。都内・某大学病院。
心陽は、戦傷治療のために入院中のアイルを訪ね、病室の窓から街並みを眺めていた。
「高峰さんも、来ていたんだね」
偶然にも、すぐ後から見舞いに現れた五郎の声に、心陽は振り向いた。
「魔王戦のあと、君が瓦礫の撤去を手伝ってくれたおかげで、建物の復旧は予定より早く完了できる見込みだそうだ。政府を代表して、お礼を言わせてほしい」
「ホントですか⁉ 良かった……」
五郎の報告に、心陽は胸を撫でおろした。
「ささやかながら、これは僕から」
五郎は、心陽とアイルにそれぞれ、洋菓子の箱を手渡す。数量限定高級マカロンだった。
「なぜ心陽には二箱なんだ?」
アイルが頬を膨らませる。
「一箱は山田くんに。甘さも控えめ。ランキング首位のお祝いだ。いずれ背も伸びるだろう」
「わかりました。……どうもありがとうございます」
赤面で一礼する心陽。
「アイルさんも快方に向かっているみたいだし、一件落着といったところかな?」
「はい。ドリィも退院しましたし」
心陽は頷いた。彼女の視線が向く先は、ベッドに横たわるアイルの枕元――鮮やかな紫の花。
「ドリィは、このまま日本で暮らすことにしたらしいね。彼女、山田くんのファンクラブを立ち上げたって聞いたけど?」
「そうです。でも、会員第一号はわたしです。ドリイじゃなくて、わたしです」
胸の前で拳を握る心陽に、五郎は困ったように笑う。
「君とドリィのことには、踏み込めないな」
「――もう行くのか?」
軽く会釈して背を向ける五郎に、アイルが聞いた。
「魔王の一件で、沖田内閣は責任を取って総辞職。今は再編に追われていましてね。まだ公ではないですが、僕は新・内閣官房長官として、やらなくちゃならないことが山積みなんです」
「出世の早さでは、父親を超えたな」
アイルが称賛の笑みを浮かべると、五郎は半分だけ振り向いて見せ、部屋を去る。
そんな彼の顔には、活力に満ちた笑みが宿っていた。
「……さて、心陽。勇太とのその後について聞こうか。そうしたら、私も夢見が良さそうだ」
と、枕元に飾られた【
この花は、ドリィがアイルにと、心陽に持たせたもの。ドリィが夢の世界から取り出した花で、花言葉は【恋の夢】。
心陽は頬を赤らめたまま、もじもじと身体を揺らす。
「建物の修復作業とか、いろいろ忙しくて、まだなにも無いんです……」
アイルの猫耳が萎れた。
「なにも無いだと⁉ ヒーローランク一位と二位が、デートの一回もしなくてどうする! 育むものをちゃんと育めば、
【育むもの】という言葉が示す事柄に、心陽の顔は赤みを増す。
「ま、マジカリアンって、そういう、ら、ラブ的なもので喜ぶんですか?」
「異能微生物は、世界のどこにでも存在する知的微生物なのは知ってるだろ? 連中が生物の体内に共生する理由は、一説では、【ラブ】に引きつけられるからだと言われている。つまり、ラブが強ければ、それだけ連中が寄って来るということだ」
異能微生物の生態や、魔力が生成される理由については諸説あり、明確には解明されていない。だが、アイルの話が事実である場合を想像して、心陽は頭から湯気を立てた。
「ら、ラブを育めば、勇太くんがもっとパワーアップできるかも? ってことですか?」
そんな心陽の問いに、アイルは朗らかに笑った。
「何事も、試してみるものさ」
ここで、心陽が手首に付けたヒーローリングが赤く点滅。
『緊急、緊急。渋谷区に強力な魔力反応を検知。異世界から何者かが転移してきた模様――』
「噂をすれば、だな。あいつとお前、先に現着するのはどっちだ?」
アイルの言葉に、心陽は眉宇を引き締め、力強く頷いた。
「――行ってきます!」
☆
夏の暑さがピークを迎えたとある昼下がり。渋谷・スクランブル交差点で悲鳴が上がった。
その悲鳴は一つではなく、十、二十と、次第に増えていく。
次いで、地鳴りが起こる。まるで重機が跳ねるかのような、暴力的な足音だ。
『さぁ始まりました、ヒーローチャンネル! 司会進行は、この前ようやく怪我が治ったドリィが務めまぁす! 今回東京の街で悪さをするのは? なんと、またも懲りずにベヒーモスくんだぁ! ガオぉ!』
弾むように快活な少女の声が、ビルの大型モニターから響き渡る。
「なんだぁこのメスガキの声は? オレサマは気高き獣だぞ? もっと厳かに讃えろ!」
車を角で突き飛ばし、看板を噛み砕いて、ベヒーモスが吠える。
『さて! 自称、気高きベヒーモスくんの前に、立ちはだかるヒーローはぁ⁉』
真っ先に現着するヒーローを、ドローンのカメラが大型モニターに映し出す。
背に小振りなマントをはためかせ、黒い天然パーマの頭にはヘッドバンド。ふっくらした身体にはシャツ、アンダーシャツ、バックルベルト、アンダーパンツ、短い手足にはグローブとブーツを身に着けている。ゲームに出てくる戦士のような出で立ち。
《キター!》
《今日は何秒で倒すかな?》
《スターと結ばれてから絶好調やん》
などと、ヒーローチャンネルには、リアルタイムでコメントが投じられる。
「来てくれてありがとう!」
「スターちゃんとお幸せに!」
そんな少年を見て、逃げる人々は歓声を上げ、エールを送る。
「おい小僧! オレサマに踏み潰されたくなかったら、若いメスの肉をたんまり持ってこい! 特に、人間とエルフの肉は格別だ! そいつを持ってくれば、お前は見逃してやる!」
ベヒーモスが荒い息を吹きかけるが、その少年は眉一つ動かさず、それまで引きずって来た大振りの剣を、頭上高く構えた。
《ユウタも決め台詞考えたら?》
《ヒーロー名、もうユウタじゃないし》
《新しい名前、英語でカッコイイぜ!》
《でもユウタで定着してて草》
魔王を倒したことで、少年には【ユウタ】に代わる、新しいヒーロー名が与えられていた。
『ヒーローランクが1位に急上昇! ノリに乗って人気絶頂の、ちびっ子坊やだぁ! もう身バレもなんのその! 今日も元気にヒーローを続ける彼に、ファンクラブも発足したとか!』
「チビで上等! かかって来い!」
と、その少年――山田勇太は、ドローンのカメラに切っ先を向けた。
『彼がいるなら街は安全! 勝利は完全! ではでは、皆々さま? コール
BRAVEman ゆう @TOYOTA1LRGUE
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