第3話:目覚めた天使。

公介は拾って来た天使「セクサロイド」の体をさっそくチエックした。

体はどこも傷んでる箇所はないみたいだ。

だけど後頭部の一部が陥没かんぼつしていた。


「公介・・・どうだ?」


「おう、体は綺麗だけど後頭部に損傷があるみたいだな」

「これってトンカチとかバールみたいな金属で殴られた後じゃないか?」

「ガイノイドの頭なんか素手じゃまずこんなに陥没しないだろうからな」


「あ〜みたいだな・・・この子を捨てたオーナーがやったのかな?」


「だけど、よっぽどだぜ」

「損傷具合から見てこの子の脳を脳殻のうかくごと取っ替えたら直るかもな」

「俺、スクラップ工場に行って中古の脳が入った脳殻、買ってくるわ」


「入れ替えるつもりか?」


「それが一番てっとり早いだろ?・・・で、この子のデータだけ新しい脳に

移し替えればイケるだろ」

「そしたらこの子の記憶も人格も失われなくて済むからな」

「とにかく俺スクラップ工場まで行ってくるわ」


って訳で公介は行きつけのスクラップ工場まで足を運んだ。

スクラップ工場にはアンドロイドやガイノイドの損傷してない中古の脳を

脳殻ごと保存在庫している。

公介はその在庫の中から拾ってきたガイノイドと同じ規格に合った脳殻を

買って帰った。


「ちょっと高くついたけどまあいいや」

「よ〜し、新しい脳だぞ〜・・・今、入れ替えてやるからな」


拾ってきた天使「セクサロイド」に中古だけど新しい脳が入り小一時間ほど

の作業で元の脳からデータだけ中古だけど新しい脳に入れ替えられた。


「大丈夫なのか?公介」


「慌てるなって、この子が新しい脳を認識するまで少し時間がかかる・・・

もしダメなら拒否反応がでるから・・・」


「ほら、起動しろよ〜・・・」


「それにしても、おっぱいデカいなこの子」


「ああ、俺も最初はビビったわ、デカ〜って思って・・・」

「世間の男の大半は巨乳が好きって証拠だな」


そんなことを言ってたら天使がめでたく目を覚ました。


「お〜やったじゃん」

「公介・・・目覚めたぞ、この子・・・すげえ、すげえ」


目覚めた天使は目を、ぱちくりさせて目をくるくる回すと上半身だけ体を

起こして一番に公介と吉光を見た。


「こんにちは・・・」


「こんにちは、天使ちゃん、調子どう?」


「私、どうなったんでしょう?ここは?」


「君は、ごみ捨て場に捨てられてたんだよ・・・覚えてないの?」


「今、脳のデータを再構築してますから、しばらく待ってくださいね」


「君、自分の名前くらい分からない?」


「名前は「元子もとこ」」

「元子」もとは元子げんしもとです」


「元子ちゃんね、俺、公介・・・こいつは吉光・・・よろしくね」


「よろしくお願いします、公介さん、吉光さん」


元子は、脳にバグもなさそうだし普通に歩いて喋って特に問題はないようだった。


そして、元子は以前はどこかのメイドか家政婦をしていたのか家事がちゃんと

できて公介と吉光のために美味い料理を作ってくれるようになった。


「な、吉光・・・俺の言ったとおりだろ?重宝してるだろ、元子」


「本当だな、めっちゃ助かるな?」


「だけど気になることがあるんだよな・・・」


公介が不安げに言った。


「なんだよ、なんか問題でもあるのか?公介」


「元子がごみ捨て場に不法投棄されてたのが気になってな」

「この子を捨てるくらいの非情なやつだから探し出して元子を返すって気には

ならないけど・・・だけど、何かあるような気がするんだ」

「それにかなり固い元子の脳殻が陥没してたのも気になるしな・・・」


「吉光、なんか事件の匂いしないか?・・・」


「おまえ、なにかあるたび、そうやって事件の匂いがするするって・・・」

「はずれてる時のほうが多いじゃないかよ・・」


「いや、今度はまじで怪しい・・・」


つづく。





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