第2話:ヒューマノイドだって生きてる。

「不法投棄された天使だよ」


「あ〜セクサロイドか?」

「でもそれ、ぶっ壊れてるから捨てられてるんだろ?」

「そうやってなんでも拾って来てたらガラクタが増えるだけじゃん」


「直すんだよ・・・直ったら、絶対重宝するから・・・」

「女の子だから飯作ってもらったり掃除に洗濯、家事全般やってもらえるぞ」


「万が一にも直ったらな・・・」


「俺を過小評価してんじゃねえよ・・・絶対、直す!!」


ってことで公介はガイノイドを運ぶのに自分ひとりじゃ無理だからと吉光に

手伝ってくれるよう頼んで途中で近所の建築会社で一輪車を借りて捨てられてる

天使の回収に向かった。


「光吉・・・あれ・・・見かけは痛んでないからイケると思うんだ」


「お〜案外、綺麗だし可愛いじゃん」


「そりゃ、天使はみんな可愛いよ・・・男心をそそるように人間の可愛い子を

模倣して作ってんだからブスなガイノイドなんて聞いたことないし、いてもそんなの

誰が買うんだよ?・・・アイドルでも可愛いが基本だろ?・・・」


「公介、めっけもんかもな・・・天使なんて普通高くて買えないだろ?」


「この子は捨ててあるんだからタダだよ・・・持って帰っても誰も文句いう

ヤツなんかいないし・・・返せって言って来ても返さないからな」

「なんでも一度手放しちゃったらもう、そいつには所有権ないから・・・」


「吉光・・・俺、頭持つから、お前、足な・・・」


「ほい・・・」


天使の太ももを抱えた吉光・・・目が一箇所に集中していた。


「おい、なにしてんだよ、力入れろよ」


「いや・・・俺、はじめて見たけど天使でもちゃんとなってるんだなって思って?」


「なにが?、なにがちゃんとなってるって?」


「アソコ・・・女の子の大事なとこ」


「そんなの天使なんだからあたりまえだろ?・・・なところに釘付けになって

ないで、ちゃんと両足持って一輪車に乗せろよ・・・」

「セックスもできねえただのガイノイドだったら誰も買わねえよ、男はおまえと同じで基本スケベだからな」


で、公介と吉光は捨てられたガイノイドを一輪車に乗せてコケそうになりながら

大汗かいて事務所に持って帰った。


裸の状態のセクサロイド「天使、顔も体もあちこち汚れていたから公介はその子

を洗って綺麗にしてやった。


「ほい、綺麗になったぞ、洗ったら、見違えたな・・・まじ可愛いじゃん・・

こんな可愛い子直しもせず壊れた家電みたいに無造作に捨てやがって・・・バカ

やろうが・・・ヒューマノイドだって生きてるんだぞ」


※アンドロイドやガイノイドのような人造人間のことをまとめてヒューマノイドと

言う。


「公介・・・おまえ、まじでいい拾い物したな」


「俺はさ、公園にダンボールに入れて捨てられてる犬や猫だって見捨てられない

性格なの」


「そうだな、おまえは酔っ払って歩道でダウンしてる、おネエちゃんも拾って帰る

もんな」


「おネエちゃんも酔っ払うくらい悲しいことがあっただろ?当然慰めてやらないと

報われないじゃん・・・」

「さ〜て、天使ちゃんを直してやるかな」


メカに詳しい公介・・・しばらくバイトを休んでガイノイドの修理をはじめた。


つづく。








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